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問答

過去の投稿の修正をしますので更新しばらく遅れます。


たくさんのブックマークありがとうございます。

皆様と共に楽しい作品へとしていきたいと思いますのでこれからも応援宜しくお願い致します><


10月30日追記 http://ncode.syosetu.com/n5925dp/

 俺達は逃げるかのように隠れてあの場をやり過ごした後、予定より少し遅れたが王都へ帰還することが出来た。朝から何も食べてなく腹を空かせていたのもあり適当な店を見つけて食事を済ませると任務の報告のために冒険者組合へと向かった。


 冒険者組合の報告窓口で採集した根っこから引き抜いた解毒草を渡すとその場で報酬が渡された。報酬は少なくも多くもなく下位冒険者らしいとも言える。正直、お金に関しては冒険者組合に登録してからは素材をいろいろと売ったりしているので大して困っていない。


 そして任務を終えたことによって再び別の任務を受けようと受付へ行くと相変わらず忙しそうに広いとも言えない空間で行ったり来たりを繰り返している姿が目に入る。


しかも先日の女性ではなく今日は全く別の女性が作業をしていたのだった。


「すみません!任務を受けたいのですが・・・」


 申し訳なさそうに彼女に聞こえるよう少し張った声を掛けると一瞬身を震わせたかと思うとしゃがんでいたその身を起こしその場で立ち上がって此方を振り向いた。


「イレイド様ですね?お待ちしておりました」


ん、お待ちしておりました?聞き間違いなのかはわからないが

今彼女は待っていたと言っていたような・・・


「あの僕をお待ちしてたとはどういうことですか?」


恐る恐るそう尋ねると彼女は営業スマイルと思われる笑顔を絶やさずに受付より奥の廊下を指差した。


「先日の件についてお聞きしたいことがありまして・・・・お時間少々よろしいでしょうか?」


つまり向こうに行けと・・・そういうことですか。


「なるほど・・・奥のあの部屋でいいのですか?」


 彼女にそう問いかけると無言で頭を縦に振った。それに対して自分も無言でその場で小さく会釈をすると

受付嬢が指を差した方向へと歩を進める。


マールとマーレだが今回は冒険者組合の施設内で待っていたため俺が目で合図すると直ぐに合流して部屋の前に集まった。


「えへへ、我が君〜なんか悪いことしたの?」


楽しそうにその場で笑うマール。てかお前は俺の心を読めるから知っているだろ。


「ご主人様にお話とはなんでしょうか・・・」


 そして上目遣いで心配そうに自分を見上げるマーレ。彼女が唯一自分にとっての癒しになっている。

まあ、少々危険な物件なのは玉に傷だが。


廊下を歩き奥の扉の前に着くと中で待っているであろう人物に聞こえるように告げる。


「あのー!、イレイドですけど・・・」


 名前を言うと突然目の前の扉が叩いてもいないのにひとりでに開いた。

え、なんだこれは流石に怖すぎる。


ゆっくりと僅かに開いた扉から覗くようにして中を見る。


「失礼しまーす、イレイドです今日は何の用で・・・・」


目に飛び込んだ光景に思わず口が止まる。



お、おい、おいおい!嘘だろ、なんでこんなところにいるんだよ!

リア!!!


「ええ、お待ちしていました。イレイド様」


 和かに歓迎する彼女とは違い内心今すぐにでもここから逃げ出したいレイド。

次捕まったら恐らく逃げれない。いや彼女なら逃がさないのだろうと本能がそう言っている。


 窓が無く人工的な光によって美しさを奏でる煌びやかな部屋。おそらくお偉い客人向けの客間にあたる場所なのだろう。そしてその中で待っている者を一体誰が予想できたのか・・・。


 俺が入った魔境、いや失礼。客間で待っていたのは先日宿屋にて襲撃を行った狂信者アリス

そして昨日、受付を担当した女騎士。


トドメに我が幼馴染で現聖女でもあるイリア=アーデルダンテの姿がそこにあった。





ーーーーー

 私たちはイオリアが目撃した黒髪の男イレイドについて情報を得るため冒険者組合に足を運んでいた。

イオリアが言うには彼がその日に任務を受けたのは間違いない。つまり彼は任務の報告のために再びここ冒険者組合へと現れるということだ。


既に受付の者への手引きも済んでおり彼が戻り次第、この部屋に来ることになっている。


今か今かと待ち望んでいると廊下から何者かが歩く音が聞こえた。


いよいよだと落ち着かない自分を抑えるかのように深く息を吸う。そして足音の音が止むと扉の前で声がした。


声を確認するとイオリアがすぐさま扉を開けた。するとゆっくりと開き始めた扉から彼が現れることを信じずっと見つめていると顔を覗かせたのは同じ黒髪だったのだがレイドではなく全くの別人だったのだ。


勿論イリアは気づいていないがレイドが驚いたのは彼女の考えとは全くの別である。


「失礼しまーす、イレイドです今日は何の用で・・・・」


 彼は自分を見ると言葉を詰まらせた。こういうことはよくあるのだ。聖女だ聖女だと驚かれその場で縋るかのように祈りを捧げる彼らも目の前のイレイドという少年のようにこのような驚いた反応をするのだ。


「ええ、お待ちしていました。イレイド様」


顔には出さないが怪しまれないように彼に返事を返す。


勝手にイレイドが自分が知っているレイドだと確信し、万が一暴れだした際に取り押さえるための魔法も練っていたのだが全くの別人であったため不発に終わった。


 イオリアとアリスは目の前の彼が例の魔族の男なのかと未だ警戒を続けている。そのためイリアは近くにいる彼女達だけに聞こえるよう耳元で小さく全くの別人だと伝えた。それを聞いたアリスは安心した顔を浮かべ、それとは逆にイオリアは複雑な顔を浮かべている。恐らくイリアが言う男に関する情報は振り出しに戻ったからなのであろう。


そう、ここで悩んでいてもしょうがないわ。


さっきまでの思考を強引に終わらせ、次の話に移りたいが外で待っている彼の仲間に失礼だと思い招き入れるために声を掛ける。


「えーと、たしか他にも連れの方がいるのよね?どうぞ入ってちょうだい」


イリアがそう言うとレイドの後ろから二人の少女が姿を現した。

年齢は目の前の彼と同じくらいなのだろうか。


「イマールです、よろしく!」


「もうお姉さまったら!あ、えーとお初にお目にかかります。イマーレともうします」


二人を見て更に難しそうな顔をするイリアを見て彼はこの場の様子を伺っていたのか突然訪れた場の沈黙に耐えられなくなり口を開いた。


「二人は昔からの幼馴染でして・・・それと今日はどういったご用件でしょうか!?」


「そう!我が君と私は幼馴染ぃ〜!」


「はい、昔からの幼馴染でもありますが今は家族です」


お転婆な黒服の少女とは違い神秘的な空気を纏う彼女は落ち着いた声でそう言った。


「家族?・・・それほど昔からずっと一緒なのでしょ?とても羨ましく思うわ」


家族・・・いいわね。信頼できる仲だからこそ一緒に冒険者になったのでしょう・・・。

イリアはふと悲しそうな顔を見せると隠すかのようにその場で笑って見せた。


「えーとはい、まあそんなところです、ところで今日は何のようで私を?」


 あなたがレイドだと思って捕まえに来たのよ!とは言えるはずもなく咄嗟に思いついたそれらしい用件を並べる事にしようと思考を巡らせたが思いつかない・・・言葉に詰まって顔には出さないが焦っていると

先程から会話を傍聴していたイオリアが口を開いた。


「今日はここに呼んだのはある男についての情報を聞くためです」


勿論、イオリアもそのような事は今考えたのである。


「そうです、最近王都で魔族が出たのは知っていますか?」


イオリアのフォローのおかげでなんとか会話をつなぐ事ができた。イリアはそのまま話に乗るかのように言葉を続ける。


「その魔族の男を追って私たちは情報を集めているのです」


そう言うと目の前の男は少し考え込むかのように黙り重々しく口を開いた。


「あのもしかして翼の生えた者のことでしょうか?」


目の前の彼の耳にもその話を届いていたようだ。


レイドは私に何かを伝えたくて会いに来てくれたはずなのに・・・

彼は私を優しく眠らせるとまた何処かに行ってしまった。

きっと助けてほしかったから私のところに来たの・・・そうに違いない



勿論だが断じて違う。レイドはからかいに来ただけで彼女を好きか嫌いで言えば好きなのは本当である。

しかしあそこまで大事になるとは知らず窓から脱出したのも城の中を走るよりマシだと思ったからだ。


それに彼女のそばにいては”あの目的”を果たせないのだ


「そうよ黒い翼を生やした男の情報を探しているの」


その場で彼はもう一度考え込むかのように下を向いたまま顔を上げようとしない。

彼の言葉を待っていると隣にいる黒服の少女がその場でまっすぐと手を挙げた。


「えーと、たしかイマールさんよね?どうしたのかしら?」


「はーい、その翼を生やした人なら私たちも見たよ森を飛んでいったもの!」


黒服の少女の言葉によってこの場にいる人間の顔が彼女へと集中する。(レイドを含む)

レイドを追っているイオリア、アリスに続きイリアも真剣にそれに耳を傾けているようだ。

なにせ振り出しに戻るはずの状況がまさかこんなところで新たに有力な情報を得れるとは思わなかったのだろう。


イリアは興奮のあまり身を乗り出して問い詰めるかのように顔をすぐそばでまで近づけている。


「どこ?それはどこなの!?教えてちょうだい!」


「覚えているのなら!覚えているのなら是非とも教えていただきたい!」


思ってもいない情報に沈黙を守っていたアリスでさえマールの元へと詰め寄っている。

マールが怯えたような顔をしている。しかしそれにすら気づかない彼女達は目の前の情報への重要性から些か冷静さを欠いているとも言えるだろう。


「あ!ああ、俺らは確かにそいつを見た。場所も覚えているから地図にでも書いて教えよう」



彼は急に立ち上がるとその場から奥にある机の上の紙を指差した。イオリアは意図を汲みすぐさまその紙を取り、筆といった書きものを彼に手渡す。


「イレイドでしたね、この度は大変貴重な情報をありがとうございます!」


そう言うと彼は苦い顔をして嬉しさを誤魔化すかのように笑ってみせた。


ああ、これで少しでもレイドの元へ行けると僅かな湧いた希望へと感謝を捧げるかのようにその場で両手を合わせる。そして彼は目撃した場所の地図を紙へと書いていくが突然その手が止まった。


「どうかしたの?」


彼は返事もせずに紙を持ったまま固まっている。地図の完成を心待ちにしていた私たちはその様子を見ることができない。そして彼はしばらくすると紙を置いて私たちの顔を見てこう言ったのだ。


「わるい・・・地形が複雑でここまでしかわからない」


彼が置いた紙を確認するとそこはここから遠くもないある川と山のような模様の大雑把な地図だった。

さすがにこれだけでは範囲が広すぎる・・・方角の特定もとてもではないが難しいだろう。


「すみません、すこしいいですか?」


イオリアが地図を手にとってそれを見たまま言葉を続ける。

彼女は地図を見て何か思いついたのか。その場で一人で納得したような顔をしてみせた。

私とアリスはイオリアの顔を見て彼女の返事を待った。


「これですけど、たしか先日受注した採集任務の付近ですよね!?ここからも遠くありませんし・・・私にいい考えがあります!」


再びこの場に沈黙が訪れる。地図を書いたイレイドという男でさえも彼女の返答を待って黙っているのだ。

そしてイオリアが思いついたでいい考えというものは実に簡単なものだった。



「イリア様を含める私たち3人とイレイドさんのパーティ含めた3人の計6人で探索にいきましょう」


この提案に納得する三人の中、レイドの顔だけが優れなかったのは言うまでもないだろう。



次話の予告です。


彼らのパーティに新たにイリア、アリス、イオリアの3人が加わり、魔族の男を探すべく森へと入った。しかし目的の場所へと行く途中にマールとレイドが謎の黒い靄によって姿を消してしまった!?その二人の行方を探すべく森の奥へと進んだイリア達の前に現れたのは魔族のような黒の翼を身に纏うレイドの姿だった・・・。







定期的に過去の作品を含めて修正をしています。読みにくい点もあると思いますが温かい目で見ていただけらなと・・・。



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