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バツ  作者: ぺけぺけ
3/3

クロ

 どれくらい眠っていたのだろう


 体の感覚はとうの昔に失われ、視界には何も映らない


 自分が何者なのかということを完全に忘れてしまったその時


 僕は人の感情を視認できる黒猫としてこの世に新しく生まれ変わった


 生まれる変わる前に真っ白な女の子が僕に言った


 これは僕への罰なのだと


 そして、白い少女は僕に前世の記憶と感情を視認できる力を僕に与え、森に囲まれた田舎に僕を黒猫として送り込んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 頭上から降り注ぐ好奇心と優しさを混ぜ合わせたような視線に耐えながら僕はキャットフードを口にふくんだ。不思議と味は悪くない。猫と人間の味覚の違いについてなんとなく考えながら食事を続けていると小さな黒い球体が視界に入った。


この黒い球体が現れたということは近くでマイナスな感情が発生しているということだと白い少女は言っていた。実際、その通りで黒い球体が現れたときは機嫌の悪そうな人間が近くにいた。


 黒い球体の名前はクロというらしい。


 クロはマイナスな感情が発生している場所を好み、人が抑えきれなくなった悲しみや怒りなどを喰らい肥大化していく。手のひらサイズ程度なら特に問題ないが、人の頭ほどのサイズまで成長するとクロは意識をもち始める。意識をもったクロはより多くの感情を喰らうために人にとりつきマイナスな感情を発生させ更に成長していく。


 クロの成長を止めるにはプラスの感情を発生させるしかないのだが、いったんマイナスな方向へ傾き始めた人間の感情はなかなかプラスに向かないものだ。


 そこで僕が白い少女から与えられた感情を視認できる力を使いクロの肥大化を防ぐ。それが僕にかせられたペナルティだ。


 正直、こんなペナルティを受けなければならない覚えはない。


 しかし、白い少女曰わく


 「やらなきゃ殺すよ」


 なぜ一度死んでいる僕がそんなことを、と思ったが逆らえる気がしなかった。


 仕方なく僕はさっき視界に入ったクロのあとを追うことにした

 

 


 



 

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