プロローグー木村 史緒ー
久しぶりに書きました。
文章がめちゃくちゃかもしれませんが
読んでくださると嬉しいです。
木村 史緒。
僕は幼い頃から人のあるモノが聞こえる。それは成長すると共によりはっきりより詳しく聞こえるようになった
。幼い頃はそれが普通のことだと思っていた。だから聞こえるたびに身近にいる人達に伝えてしまっていたんだ。
「あの人はこう思ってるよ」「本当はこうみたいだよ」
最初はみんな『そうなの?』『教えてくれてありがとうね』と、”勘がするどい子” ”人のことをよく見ている子”という認識で終わっていた。
でも、大人達の中では度重なる僕が伝えたことの的中率の高さに疑問と不信感を持ち始めていたらしい。
なのに僕は伝えるたびに言ってもらえる『ありがとう』が、”褒められている” ”喜んでもらえてる”と勘違いをし、嬉しくなってしまった。
だから聞こえるたび、僕は大人達に伝え続けた。するとある時から大人達の反応は変化していったんだ。
『どうして分かるの?』『目を合わせたら駄目』『気味が悪い』
僕はどうしてそんなことを言われるのか意味が分からなかった。ただいつもみたいに『ありがとう』という言葉が聞きたかっただけなのに。
「どうして褒めてくれないの?」「どうして僕は避けられているの?」「どうしてそんな冷たい目をするの?」
そして誰も僕と話してくれなくなった。僕と目を一切合わせなかった。僕の周りから人はいなくなった。
そして何より一番辛かったのは、母から避けられるようになったことだ。
『お願い、私に近寄らないで、話しかけないで』『いつからそんな子になってしまったの?』『あなたは私の子じゃないわ』
母は僕と一切話してくれなくなった。何か用があるときは部屋の扉の隙間から内容の書かれたメモが入れられるようになった。
そして小学生の時、僕はとうとう施設に入れられたのだ。僕は完全に独りになった。
僕が”聞こえてしまうモノ”。それは人の”本心”だ。
もし相手が嘘の発言をしたとしても、目を見れば本当のことが頭に響くように聞こえてくる。
逆に相手が本当に思っていることを言ったとしたら、いくら目を見続けても何も聞こえない。僕自身、どうして”聞こえる”のか分からない。
ただ、自分は普通じゃないから独りになったということは幼いながらに理解出来た。こんな状態になってしまった以上、理解せざるを得なかったんだ。
そして僕は決めた。”普通じゃないなら普通になればいい”と。ただ、今の環境では僕の異常を知っている人が多すぎる。
僕は中学を卒業後、施設を出て少し離れた場所で一人暮らしを始めた。ここなら僕のことを知っている人はいない。ここから始めればいい。
僕はここで普通になるんだ。
そして期待と不安の中で入学した高校で、”普通”の僕は初めての友達が出来た。
読んでくださって
ありがとうございました。
よければ感想を教えてくださると嬉しいです。