ボクと異世界
「私にとって巨神様は救いの神であり……導きの神でした。
―――ですが、何故でしょうか?
私が胸に抱いた思いは、崇拝でも、畏敬の念でもなく……親しみだったのです。
誤解を恐れず敢えて言いましょう……“彼”は、私の大切な……“人”であった、と……」
-初代女帝“ドリアテッサ”-
姫様たちから魔族? たちを遠ざけることに成功した。
頭痛が痛くなるような強引で、どうしょうないほど力ずくな方法だったけど一応解決したと思う。
物理的に距離をとって関わらなければ、それで大概の問題は解決する。
臭い物に蓋とか、問題の先送りでしかないことは解ってるけど……ボクじゃこれくらいしかできない。
後の事は後になって考えればいいさ! ……と、混乱している魔族の人たちを放置して、ボクは姫様たちの所に戻ろうと思ったんだけど……。
―――帰り道がわからない。
え?! ここ何処ッ?!!
無我夢中だったから自分がどっちから来たか覚えてない。
魔王城を押してきたんだから、その跡をたどれば……と、辺りを見渡してボクは愕然とした。
え? なんで何も無いの!?
アレだけ大きな物を力任せに押してきたんだから、土の地面には引きずったとうな跡が残り。
進路上にあった森とか丘とか岩山とかにも、大きな傷跡というか、ボクがむちゃやらかした痕跡が残ってないとおかしいと思うんだ……。
なのに、目に映る光景は、何の変哲も無い……豊かな大自然だった。
振り返ると、少し離れた所に魔王城が見える。
でも、それは最初からそこにあったかのように自然に馴染んでいて、移動してきたような……それも力ずくで押してきたような痕跡は全くない。
この世界の自然の、自己修復能力が異常なのだろうか?
それとも魔王城に、未来から来たらしい青狸みたいに、地面から少し浮き上がるような特殊な機能でもついていたのかな?
辺りを見ながらそんなことを考えていたら、後頭部に衝撃が走った。
アイタッ!?
鈍器で殴られたような痛みに涙目になりながら振り返ると、魔王城の一部が変形して、なんかこう……竹じゃないけど門松みたいなものが出てた。
ボクの腕と同じか、それよりも少し大きいくらいの黒い筒の先から煙が登っている。
そして、ゆっくりとソレが動き……キュインキュインキュインって感じで、何かエネルギーをチャージしてるかのような音が聞こえてきた。
大砲じゃなくて……波動砲? いや、電磁砲かな? 異世界の技術ってすごいなあ……と、半ば現実逃避してたけど、その砲塔がこっちを向いてる事を思い出したボクは、慌てて逃げ出したのだった。
――――
―――
――
完全に道に迷った。
あれから何処をどう逃げたのか……。ふと気がついたら、姫さまたちの所どころか……魔王城の場所さえわからなくなっていた。
普段ならなんだかんだ言っても、姫様の居る場所が、目に見える範囲でしか行動してなかった。
だからボクは気が付かなかった。
世界は広いって言う当たり前のことを……。
たとえスケールサイズが違えども……世界は広くて大きい。
土地勘も無い。
方角も分からない。
誰かに訪ねようにも誰もいない。居たとしても、言葉が通じない。
誰も助けてくれない。
姫様の所に戻る方法が分からない……。
そのことに思い当たった時。ボクは初めて気がついた。
見知らぬ異世界で、ボクは……ひとりぼっちだと……気がついてしまった……。
そして、ボクは膝から地面に崩れ落ちたのだった。
次回シリアス&鬱展開。
……には、なりません (*´∀`)




