表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

ボクと魔王城

 「吾は魂魄の簒奪者。

  魔成るモノの王。深緑の名を冠する魔王也!

  

  今ココより吾の覇道は開かれる。

  影に潜み、闇に紛れ、光を忌み、歴史の影にコソコソと生きる同胞たちよ!

  

  吾らを悪と断じ、地に封じた傲慢なる神々に復讐の嚆矢を射掛ける時は来た!!

  

  天の走狗と成り、吾に仇なすはずだった“勇者”の招来は阻止された!!

  

  善を気取る神々に、邪神へと貶されたまつろわられぬ旧き神に感謝を!

  

  そして、誓いを!

  

  必ずや世界を吾等が……どうした? 今は演説中であるぞ?」


                               -深緑の魔王“バラゴ=ロンド”-






 一騒動が落ち着いてから、ボクは街づくり……と言うかコレ、もう国だよね?

 

 あれから調子に乗ったボクは、国づくりを頑張った。

 

 水車作ったり、森の3分の1を開拓して農地を作ったり。邪魔な山に穴を開けてトンネル掘ったり。地面に大穴を開けて水たまり……人工湖を作ったり。

 海の幸を堪能できるように、海まで道を作ったり。

 

 鉱山を見つけたので、鉄を集めて、赤土で作った型の上に載せてから火山に放置して、レールっぽいモノを作って、鉄道モドキを作ったりした。

 

 鉄道は肝心の汽車を造るのは無理だったので、トロッコモドキになったけど、交通の便は一気に上がったと思う。

 

 特に街道に、石で作ったタイルを敷き詰めたのが大きい。

 

 森の内外にある村や集落を道で繋ぎ、交流を促進させてみたところ……なんか諍いが起きたので、強引に割って入る。

 そこに姫様が割り込んできて、なんやかんやと話してたら双方納得したようで、滞り無い交流が始まった。

 

 あーそうか、そう言えば“道”って、戦争にも使われるんだった……。

 

 殺伐とした感じのこの世界で、いきなり道を引いたら宣戦布告と思われても仕方ないような気もする。次からは、勝手に作らず。姫様に聞いてからにしよう。

 

 反省反省……と、おや?

 

 遠い遠い西の果ての方の空模様が変だ……具体的に言うと、昼間なのに夕焼けより赤く染まった空に、暗雲が渦を巻いて雷が鳴っている。

 

 それだけじゃなく、その渦巻く雲は、地上から黒い光としか例えようのない光の柱? ……っぽいモノを中心に渦巻いている。

 

 凄く気になるけど、不気味なんで近づきたくない。でも、近づかないと良くわからない。

 

 そんなジレンマを抱えたボクは有ることを思い出し、カバンを開いた。

 

 えーと、確か……あった!

 

 野球部の応援に駆り出された時に用意して、そのままカバンに入れっぱなしだったオペラグラス! コレなら……。

 

 さっそく取り出して覗いてみると……双眼鏡越しに見えた光景はまるでゲームだ。

 

 黒に染まった大きなお城。

 周囲を飛び交う、蝙蝠のような羽を持った人型生物。

 

 そして、その白から立ち昇る禍々しいオーラっぽいモノが、天を貫く柱みたいに見える。

 

 まるでドコゾの悪魔の居る城や、竜を探さない竜探しとかのオープニングのような光景だった……。

 

 え? この世界……魔王とか居るの?! え? えええー!!?

 

 ボクが驚愕してうろたえてると、それに気づいた姫様が声をかけてきた。

 

 何を言ってるかは相変わらず分からないけど、何を言いたいのかは、なんとなく分かる。

 

 姫様の前に手の平を置くと、戸惑うことなく乗ってきたので落とさないように注意しながら持ち上げる。

 

 それから終末的な光景が見える方を指さして観るように促すと……姫様は怪訝な顔を浮かべた後、なにか魔法を使った。

 

 どうやらそれは視力強化とか遠見的な魔法だったらしく。状況を把握できたのかボクと同じように驚いて、目を丸くしたまま座り込んで唖然としていた……。

 

 それでもさすがと言うか姫様は、あっさりと立ち直るとボクと目を合わせて何やら捲し立て始めた。

 

 ……うん。まだ完全に立ち直ってないね。パニクってるみたいだ。

 

 いつもの毅然とした姫様も良いけど慌てふためく姫様もいいなあ~とか和んでたら、姫様も我に返ったのか、コホンと一息ついてジェスチャーを始めた。

 

 頬が少し赤くなってる事を敢えてスルーして、ジェスチャーを読み取ろうと集中する。

 

 うん。わかんない。

 

 ただまあなんとなく。向こうに見えてるものが危ないものなので、なんとかしないとキケンが危ないって事は分かった。

 

 うーん? やっぱり魔王とかかな?

 

 だったらそれこそ勇者とか騎士団とかの出番?

 

 あーでも勇者っているのかな?

 

 魔王が居るなら勇者も……って、姫様?

 

 手の平の上の姫様は、ボクを潤んだ目で見つめている。

 

 え? ボク?!

 

 いやいやいや! ボクはただの……と言うにはちょっとスケールサイズがオカシイけど、普通の学生だよ? 勇者じゃないよ?!

 

 それにボクが勇者だとしても、勇者と言うより光の国から来た宇宙人と言った方が合ってるんじゃないかな? 色々間違ってない?

 

「勇者よ早く来い!」と世界観は同じですが、時間軸が全く違いますのでリンクはしていません。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ