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ボクと街づくり

 「姫を攫った巨人の討伐。

  姫が使役した化物の討伐。

  

  真実など我は知らない。

  だが、国を見だしたあの黒衣の巨人を……これみよがしに森に住み着いた巨人を、国家として放置できないのは知っている。

  

  勝ち目があるか?

  おそらくは無い。

  

  アレは化物だ。

  城に常駐している精鋭の親衛隊の攻撃すら痛痒を与えることが出来なかったと聞く……。

  さらに不確かな情報だが、災厄とまで呼ばれた火竜“ディルガイスト”を仕留めたと噂されている。

  

  噂は噂だが……我は真実だと確信している。

  なぜならば、エスト火山の裾野に広がる彼の森は、竜のテリトリーに含まれる。

  

  豊富な資源があれど、森が開発されなかった由縁でも有る。

  ソコに悠々と住み着いたばかりか……街を作り上げたのならば、竜を降してなければありえぬ所業ではないか‥‥

  

  しかし、ヤラねばならぬ。

  ヤラねば、国の威信が揺るぎ、属国の反乱を招くであろう……。

  

  ならば乾坤一擲! せめて一矢でも報いねば、交渉の場を創ることすらできまい

  

  勝ち目は無い……無いが、一矢報いるくらいはしてみせようぞ!!」


                               -白珠兵団 騎士長“イルルバッハ・フォン・エスクス”-





 集落はいつしか村になり。ボクがアレ? ……って、気がついたら町になっていた。

 

 赤い土を手でこねて、適当に家っぽい形を作り。火山の火口近くにしばらく放置すると……あら不思議! 一体形成のレンガのお家の出来上がりだ!!

 

 うん、なんか間違ってる気もするけどそれっぽく出来てるし、人々も喜んでるみたいだからいいよね?

 

 それと、森の中だけあって野生の獣が結構いるんだ。

 

 ボクにとっては、ハムスターサイズの小動物なんだけど……町の人達からみれば化け物級の獣に違いない。

 

 普段、ボクがそばにいる時は、動物の方から近づこうとしないから大丈夫だけど。

 何か用事があって離れると途端に襲いかかってくる。

 

 姫様は上手く魔法っぽいモノで追い払ってるけど、他の人々はそうは行かないみたいで、何人か犠牲者も出てる。

 

 そこでボクは町に囲いを造ることにした。

 

 近くの岩山を蹴り飛ばして砕く。

 

 膝丈以上の岩を蹴ったら、普通ならこっちがタダじゃ済まないところだけど……やっぱりこっちの石は脆いのか、見事に蹴り崩すことに成功した。

 

 崩れた岩山の瓦礫を町のそばまで運んで、囲むように積み上げていく。

 

 積み上げた石が崩れないように、串に使ったので少し焦げてる鉄定規で、岩を切断して形を整える。

 

 石より鉄の方が硬いから、切れるのはわかるけど……ここまでスパスパっと切れるのは、やっぱりこっちの世界の物質は脆いんだろうな……。

 

 釈然としないけど、加工しやすくて便利なんで気にしないことにしよう。

 

 そんなこんなで作業を続けていたら日が暮れ。朝になって日が昇る頃には、立派な市壁が出来ていた。

 

 思いの外に立派で頑丈なのを作っちゃたけど、その分安全だろうから良いよね?

 

 チラッと姫様たちの方を見ると、ポカーンと呆けていたけどボクと目が合うと再起動して、ナイスッ! ……ってな感じをジェスチャーで伝えてきた。

 

 それから壁を指して、手でカッコを作り開け閉めする動作で、門を作って欲しいと言ってきた。

 

 実際に使うのは姫様たちなんで、使用者の意見は大事だよね~とか思いながらボクは指示通りの所に、丸太を束ねて創った簡素な作りの門を置いた。

 


 正直やり過ぎたかな? と思わないでもないけど、考えてみれば、ボクの知ってる野生動物は、火を吐いたり、角を飛ばしたり、電気を放ったりしない。

 

 スケールサイズの問題でボクからみれば物珍しくて可愛いらしいものだけど……それで犠牲者が出ちゃったら洒落にならない。

 

 だったらこのくらい頑丈に作っといた方が良いよね?

 

 う~ん? でもちょっとアンバランスかな?

 

 町並みに比べて囲いの塀が立派過ぎるように思う……そうだ! だったら中もそれっぽくしちゃえばいい!

 

 そう思い立った後は早かった。

 

 ボクはカバンに入れっぱなしだった教科書を取り出して、それに書かれたイラストや写真を参考に、外見を決めて、粘土をこねる要領で赤土を固める。


 このままだと煉瓦色の建物に成ってしまうので、壁に使った石をすりつぶして粉にして混ぜてみた。

 

 そしたら、いい感じの色に成ったので、パーツに分けた後で、個別に火山に持って行って二、三日放置してみたら良い感じに焼きあがった。

 

 焼きあがったモノを町に持ち帰り。崩れたりしないように慎重に組み立てると……白亜の城のできあがり!

 

 元々ボクは、こういった工作は好きだし、得意だった。

 

 それが、こんなところで役に立つとは思わなかったけど、みんな喜んでるみたいだから良いよね?

 

 姫様なんか、最初はありえないくらい唖然としてて、不意にポロポロと泣きだしたから焦ったけど……喜んでくれてるみたいなのでいいかな?

 

 あっちの城に戻れないなら、その代わりに……と思って作って良かったよ。

 

適当な作業なのに上手く形に成ってるのは、ご都合主義や主人公の器用さだけではなく。もちろん特殊能力が関係しています。


普通は難度も失敗して、試行錯誤しないとダメですが……主人公の場合は違います。


 タイトルの「だいだらぼっち」の比喩は伊達ではなく。何相応しい能力を持っているのです!


 ……自覚してない&常識的判断が邪魔して、あまり生かされてませんけどねw


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