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ボクと海の幸と山の幸

 「はっきり言って気が進まない。

  ドリア姫は些かお転婆ではあれど、悪い御仁ではなく、民の人気も高い。

  

  特に下層の二等臣民に人気が高い。

  そも理想も素晴らしい。

  

  実現するには多大な労力がかかるであろうが……姫様なら成し遂げられるやもしれぬ。

  

  だが任務は任務だ。

  王の勅命には逆らえない。

  

  それにだ、王もまた苦渋の決断だったはずだ。

  双子の兄妹であり、幼いころは非常に仲が良かったのを私は知っている。

  ならばこそ、やり遂げねばならない。

  

  せめて苦しむこと無く逝けるように……それが私の役目であり……望みでも有る」

 

                              -白珠兵団 百人長“ヴァルフラム”-





 それから一ヶ月ほどが過ぎた。ボクは今……海に来ている。

 

 授業で使った海パンに着替えたボクは、大海原に飛び込んだ。

 

 目的は身体を洗うことだ。

 

 ことの起こりは、姫様がボクを指した後。自分の鼻を抑え、手を左右に振る……と言ったジェスチャーで、精神攻撃を仕掛けたきたことだった。

 

 森の近くに水源は二つあった。

 大きな湖……ボクにとっては、大きな水たまりだけど、それは貴重な飲用水になっている。

 

 もうひとつは小川だ。これもボクにとっては、小さな側溝でしかないので、洗濯や行水を行うのは無理だ。

 

 湖なら洗濯くらいは可能だけど、それをすると貴重な飲料水を汚してしまう。

 

 だからボクは、海に向かったのだ。

 

 街のある方向とは別の方向。森の向こう側に水平線が見えていたから、迷うことはなかった。

 ボクの感覚で、徒歩5分ってところだ。

 

 海についたボクは、おもむろに服を脱ぎ、持っていた学生鞄から、海パンとゴーグルを取り出した。

 

 どうせなら、薄汚れた制服のまま入って、洗っても良いかも? と、思ったけど、塩水なんで諦める。

 着替えの無い今、服をダメにするわけにはいかないもんね……。

 

 うーん、そうだ! 川の水でも適当に堰き止めて、ダムでも作るかな?

 ちょっと本格的な砂遊びの延長と考えれば、出来そうな気もする。後でやってみよう。

 

 そうやって着替えたボクは、海に飛び込んだ。

 

 ひとしきり泳いでいると、突然足に何かが絡みついてきた。

 パニックになったボクは、足を振って、それを海岸に蹴り飛ばした。

 

 海岸の砂浜に蹴りだされた、ウニョウニョと動く白い塊は……イカだった。

 ボクの目から見ても、かなり大きなイカだ。

 

 唖然として暫く見ていると、動きが鈍くなっていき、遂には動かなくなった。

 

 完全に死んだのを確認したボクは、カッターナイフを使って解体を始めた。

 イカなんて捌いたことないから、かなり手間取ったけど、何とか肉と骨と内臓に切り分けることが出来た。

 

 姫様のお土産にと、持って帰ったところ……悲鳴をあげ気絶してしまった。

 

 ……ああ、そうか。スケールサイズを考えたら、そりゃ怖いよね。

 

 とりあえず、ログハウスの屋根をひょいと外して、中にあるベットに寝かせて、屋根を戻した。

 

 さて、これどうするかな?

 

 イカ刺しにして生で食べるのも良いけど、やっぱりイカと言えば焼きイカだよね?

 

 火が欲しいけど、このサイズのイカを丸々焼くには、薪が全然足りない。


 火を起こすだけなら、筆箱に入れてた虫眼鏡(ルーペ)を使えば良いけど……どうしよう?

 

 なにかないかと辺りを見渡すと、かなり遠くの山から、噴煙が登ってるのに気がついた。

 

 カバンから、鉄製の50センチ定規を取り出し、イカを串刺しにする。

 このままだとヤケドするから、ハンカチを二重に巻いて取っ手を作った。

 

 ついでに、ここが使い時だとお弁当の時に使った、醤油入れを取り出し、それを持って山に向かう。

 

 火山の火口に近づき、コレならイケると! 確信したボクは、マグマの放射熱でイカを炙り始めた。

 焼き加減を見ながら、適当に醤油を掛けて、こんがりと焼き上げていく。

 

 焼き終わった後、森に戻ると、姫様が目を覚ましていたらしく、こっちに手を振っていた。

 

 手に持っている焼きイカに気づいたらしく、数歩下がった。

 

 まあしょうがないかと思いながらも、下敷きをまな板代わりに、カッターを包丁にして、イカを食べやすく、さらに切り裂いて食べてみた。

 醤油が効いて、かなり美味しい。

 

 何よりも、ボクが食べるのにも、十分な量があるのが嬉しい。

 

 そうやって食べていると、姫様も興味を持ったのか、少し分けるようにジェスチャーしてきた。

 ボクは、まだ手を付けてない部分を適当な大きさに刻んで、適当に木の皿に乗せた。

 

 どうやらお気に召したらしく、美味しそうに食べている。

 

 それをぼんやりと眺めながら、ボクは……これで、ご飯があればイカ飯が出来て、完璧だったんだけどなぁ……とか考えていた。

 

 次の日……と言っても、主観的には数時間しか経ってない。

 時計がないのでハッキリとは分からないけど、ボクの主観では1日=6時間。1ヶ月=1週間と言った感覚で、とにかく時が経つのが早い気がする。

 

 携帯を忘れて来て無ければ……あ、でも充電出来ないから、あまり意味ないか? 姫様とかイカの写メ撮って送ったら皆驚くかな? いや圏外だからやっぱ意味ないか……?

 

 そんな取り留めもないことを考えながら、ボクはイカの残りを焼き上げに火山に向かった。

 

 今日もイカを焼こうと火口を覗きこむと、いきなり炎が吹き上がってきた!?

 

 すわっ噴火か? ……と、慌てて飛び退くと噴煙に紛れてナニかが飛び出してきた。

 

 グギャアアアアアーッ!と言った感じの重低音の叫び声を上げながら、真っ赤な仔犬くらいのバケモノが襲いかかって来た。

 

 羽をバッサバサと羽ばたかせ、ボクの周りを飛び交いながら炎を吹き付けてくる。

 

 大した熱さじゃないけど、それでもいきなりの奇襲と熱気に当てられパニクったボクは、手に持ったイカ付きの鉄定規を振り回す。


 ザクッと嫌な手応えが有り、飛んでた敵は地面に落ちた。

 

 ヤラなきゃヤラれる!? ……と、ボクは落ちた相手をサッカーボールを蹴るように全力で蹴り飛ばした。

 

 森林を一直線になぎ倒しながら吹き飛んだソイツは、そのまま動かなくなった。

 

 早打つ心臓に焦りながらも、胸に手を当てて、呼吸を整える。

 

 動悸が収まり混乱から立ち直ったボクは、襲ってきたバケモノの倒れた場所に向かった。

 

 ソコに横たわっていたのは真っ赤な鱗の大トカゲだった。

 

 ……うん。正直になろう。

 

 普通のトカゲは、羽も生えてないし、炎を口から吐いたりしないよね?


 

 

 ちゃらら~ん♪ ボクは[ドラゴンスレイヤー]の称号を手に入れた!!


 

 

 ………なんてね。

 

 はははっ……魔法っぽいモノとかあったから、薄々気がついてたけど……ここってやっぱりファンタジー世界なんだ……。

 

 じゃあ、あのイカってもしかするとクラーケン?

 

 なんだろう……ゲームみたいでテンションが上がりそうな事実に気がついたのに、妙に冷めた感があるんだけど……。

 

 ……やっぱりサイズがサイズなので、小動物虐待とか、弱い者いじめしてるみたいな感覚があるからかな?

 

 まあいいや……久々のお肉だし、美味しく頂かせて貰おう。

 

 ……と言っても、たぶん貴重な素材とかになるだろうから、半分くらいはおみやげに持って帰ろう。

 

 姫様。よろこんでくれるかな?


主人公は特殊能力をいくつか持っています。

作中で物理法則のオカシイ部分は概ね。その能力が影響した結果です。


ただし、主人公は己の能力に全く気がついていません。気づく予定も有りませんw


またスケールサイズの対比や描写がオカシイ場合。


身長57m・体重550tの耄碌怪獣が、333メートルの東京タワーを杖にするような作画的問題なので気にしないでください。


小説なのに作画?


こまけぇこたぁいいんだよ!!(AAr


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