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2日目  4

《登場人物》


 安田 将吾  大学生 20歳

 鬼頭 美津音

 河内  源  刑事  59歳

 木村 賢介  刑事  24歳

 ――― 2日目 4 ――――


 二人は、将吾の自宅へと向かう。向かう間に二人は自分達が置かれている状況を考えてみた。

「俺は、道端で倒れていたんだ。君は?」

「私は自分の車の中で……」

「そうか……奇妙だ。今、この町にいる人間は、君と俺だけそれに今叫んでみても全く誰も反応しないんだ」

「それっ、本当なの?」

「本当だよ。やってみなって!」

「分かった」

 美津音は将吾に言われた通り、叫んでみた。




「きゃあああああああああああああ~~~~~!!」




 美津音の声に驚き、将吾はとっさに両手で両耳を塞ぎ、彼女の大きな声から守った。コンクリートジャングルから美津音の高い声がずっとカラオケのエコーの様に響いている。

 やがてエコーは小さくなっていき、消える。

 その間に、その声で反応した人が現れる事もなく、ただただ、街に吹く冷たい風が、二人の腕の皮膚に当てる。

「本当だ。誰も反応してくれない……」

「な? だから誰もいないんだよ。それにおかしくないか?」

「えっ?」

「道路を見たらわかるけど、普通、あんなもん落ちてるか?」と将吾は三津音に首で道端の瓦礫や車を指した。

「確かに、よく考えたらでも面白い事に、同じ車と同じ形の瓦礫なのね~」

「それに車、見てよ。ナンバープレートの表記が見えないんだよね。スプレーとかで隠されていて……」

「ほんとだ~! でも、なんで何台もあるのかな?」

 美津音は、車に近づいてしゃがんでナンバープレートを見ている。

 確かにナンバープレートが見えない状態になっていた。

「でも、おかしいね」

「?」

「何で? 私たち二人だけなんだろうね?」

 美津音の素朴な疑問に将吾は答えることができなかった。今の状況でその答えを探す気力はない。その上に、二人だけの理由こそが今の状況から元に戻せる答えだと将吾は思っていた。

 将吾は黙ったまま美津音を見つめながら首を傾げた。

「いや。全く、さっぱりだ」

 その言葉を言ったその後で、以前の頭痛がまた将吾に襲いかかった。

「あっ!! 頭痛がっ! クソッ!」

 将吾は再び道端で倒れた。美津音は急いで倒れた将吾の下に駆け寄り、体を揺さぶる。

「どうしたの!? 将吾君! 大丈夫! ねぇ! 将吾君!」

 彼女の声が将吾にとってやまびこのように聞こえていき、美津音の顔がどんどん遠ざかって行った。将吾が見る映像は周りがどんどん黒くなっていく。

 将吾は目をつぶった。


       ――――――――――――――――――――



「将吾! 起きなさい。何時だと思っているの!」

 将吾が目を覚ますとそこは見慣れた自室。そしてさっきの声は誰かによく似ている声。将吾はベットから起きて、背伸びをする。

 階段を下り、一階の食卓の方に行くとそこには、今までいなかったはずの家族がそれぞれの朝を満喫していた。

「お、やっと起きた。ネボスケ兄貴」

 俊哉はニヤニヤと将吾を見ながら、ハムエッグをほおばった。

「将吾。何時だと思っているの? 朝食を食べなさい。遅刻するわよ」

「起きたか。早くしないとまた遅れてしまうぞ」

 将吾は目の前が信じられなかった。今までいなかったはずの両親と俊哉がいるのだから。

「美津音さんは?」

 将吾は周りを見たが、家族が一家団欒で朝ごはんを食ったり新聞を読んだりと一般家庭の朝の光景だった。

「美津音って誰だよ? 兄貴。もしかして、彼女できたのか!?」

 俊哉は大きく反応した。

「将吾。お前、寝ぼけているのか?」

「美津音って将吾の彼女さんかしら?」


【気のせいだったのか……】

 

 将吾は夢だったのかよくわからないまま時間は過ぎ、大学に行く時間になっていた。

 服を着替え、行く準備をして、大学に向かう。自転車に乗って考える。

「これは夢なのか? それとも現実なのか?」

 考えているうちに通ろうとしていた信号が赤になり、青になるまでに待った。


【本当に夢だったのだろうか? 現実なのかこの世界は……】


 信号が青になった。

 

 将吾は自転車のペダルをこいで、横断歩道の白線を車輪で踏んでいく。

 その瞬間、自転車は何かにぶつかり、将吾の体は高く宙を浮き、近くのアスファルトに体を強くぶつけた。数秒の事だったが、将吾の心にとっては数分かかるスローモーション。

 倒れた直後の将吾は、動くことができず、体の激痛を苦しみながら目を閉じた。

 


      ――――――――――――――――――――


「……吾、将吾。 将吾! 将吾!!」

 将吾は目を覚ました。そこには美津音が顔を近づけて凝視している。

 我に返り、辺りを見渡した。家族の姿は勿論、乗っていた自転車はなかった。

 将吾の後頭部辺りに激しい痛みをまだ感じていた。

 痛みは依然として弱まっていなかった。

「痛てて」

「大丈夫? いきなり倒れたから何が起きたのかよくわからなかったのよ」

「ごめん。夢を見てたみたいで……だけど、さっきのはなんだったんだろうか」

 将吾は立ち上がり、自分がどういう状況下に置かれているのかを理解できた気がしていた。



【どうして道の真ん中で倒れていたのか。みんなの行方。そして美津音の正体】


 将吾は心の中に秘めて、自宅に戻る為に、歩いていく。


2日目  4


月一連載企画「孤独都市」

です。

話は続きます。



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