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精霊使いと精霊と!  作者: ちょめのすけ
第一章 精霊の居る日々
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精霊同伴初登校



興味本位で幼馴染の後をつけて精霊を知った主人公龍牙。

その後、《はぐれ》の精霊に襲われ絶体絶命のピンチを迎えたとき、無意識のうちに熾天使のウリエルを呼んだ。

《はぐれ》からの危機は去ったが、ウリエル曰くより強大な者が龍牙を狙っているという。

そしてウリエルは龍牙を守るべく暫く共に過ごすことになった。






霊暦1996年、1月7日(月) 早朝



あぁ、朝か。

今日から三学期のスタートだな。

もう卒業も近いし、その前に入試だってある。

俺が進むのは地域のそこまでレベルの高くない高校だから心配はないんだけど、まぁ学校には行かないとなぁ……。


「はぁ、動きたくねぇ」


俺は布団の中でそう漏らした。

動きたくねぇというか、動けないというか。

冬休み最後の土日である昨日、一昨日が地獄だったのだ。


土曜日に目が覚めたとき、俺はまだ夢の中に居るんだと思いたかった。

何故か俺は丸太に縛り付けられ、火炙りの刑に処されていたのだ。

ウリエル曰く精神を鍛える修行だそうだ。火燐もウリエルの手伝いとして参加していた。

その後は滝に打たれる修行だとか、タイヤを引いて走りこみだとか、漫画とかでやってるような事をやらされた。

そして日曜の夕方には二日間に及ぶ拷問みたいな修行でぶっ倒れた俺に手を振って火燐達紅炎寺三姉妹は学園の寮へと帰って行った。


これがこの二日間の大まかな出来事だ。

それで今日から学校だなんて、体が動くわけがないだろう。

俺は歴戦の勇士とかじゃなく今まで平穏な日常を過ごしてきた極普通の男子中学生なんだから。

この布団の温もりの中で俺は体を休めるんだ……。


「朝ですよ、起きて下さい。龍牙」


……。

俺は黙って掛け布団の中に潜る。


「龍牙? 目が覚めているのは分かっています。早く布団から出てきてください」


…………。

ウリエルの声が近づいてきた。


「龍牙……?」


ウリエルの声がかなり近い所から聴こえる。

多分もう枕元辺りまで迫っているんだろう。

もう無理だっ!


俺は布団から飛び起きる。


「おはよう御座います、龍牙。今日から学校というやつですね」

「あ、ああ、そうだな。早く起きて支度しないと……」


俺は立ち上がって学校に行く支度を始める。


危なかった!

あれ以上寝ていたらどうなっていたことだろうか……。



朝食をとって学校に行く支度を終え、家を出る前に最終確認。


「ウリエルって、本当に誰にも見えないんだよな?」

「はい。精霊及び精霊使い、または精霊使い並みの魔力を持った人間。あとは特別にこちらが指定した人間以外は私の姿は見えません」

「意外に範囲が広い……?」

「はい、今の貴方は魔力が精霊使い並みに達していませんので、特別にこちらが指定した人間である貴方に姿を見せるためにはこうなってしまうのです」

「ははは……悪いね」

「それでも姿を見られるという事はまずないでしょう」

「それなら安心だな」


そう言って俺は玄関の扉を開けた。

通学路を歩きながら、俺は昨日言われたことを思い返していた。


「私を呼んだときのあなたの魔力は一般の精霊と契約するには十分な魔力がありました。しかし今は精霊使いの才能が全くないレベルまで落ちています……これは、少し厄介です」


俺の魔力が落ちた。

あれから何度イメージしても炎を具現化できない。

結局、火事場の馬鹿力の要領で魔力が跳ね上がったという結論に達した。

それで、命の危機があることも何回かやってみたが、魔力は少しも上がらなかった。

俺の魔力があの時なんで跳ね上がったのか、理由は解明できなかった。

それが釈然としない。


(大丈夫です。あれだけの魔力があるんです。修行次第で段々と引き出せるようになりますよ)


俺の考えている事を悟ったのか、後ろをついて来ているウリエルが念話でそんな事を言ってきた。

念話とは、文字通り念じて話すということで、テレパシーとかそんな感じだ。

頭の中で相手の事を考えて話しかける……といった感じだ。本当はもっと難しいらしいが、ウリエルの補助のお陰で俺もウリエルとのみ念話が出来る。

姿が見えないウリエルに普通に話しかると独り言いってるみたいになってしまうから外で話す為に必須だ。


しかし、あの修行を続けると思うと……今から気が重くなるな。

いつか死ぬんじゃないのか? 俺。




「やぁ、龍牙。おはよう」


通学路を暫く歩くと、後ろから見知った人物が声をかけてきた。

俺のクラス、三年一組の委員長務める五十嵐 優斗(いがらし ゆうと)だ。


金色のサラサラしたショートヘアに青い瞳。

身長は165ぐらいの俺より僅かに高い。

少し細身だが、運動能力も高い。

見るからに優等生なイケメン君だ。


こいつとは小学校からの仲で、殆ど毎年クラスが同じ、そして席も前後だった。

それで最高の親友と言ってもいい仲となった。

とある部活に属していることもあり、俺と五十嵐のコンビは校内でも知名度が高く、それなりの人気もある。

真面目で成績優秀、誰にでも優しく接するが厳しいときは厳しい。そんなやつだ。


「おう。おはよう。正月ぶりだな」

「そうだね。三学期はいよいよ入試もあるし、なんといっても中学校最後の学期だ。ちゃんと勉強してる?」

「お前は真面目だなぁ……正月が明けたばかりじゃないか」

「そんな事言ってると入試に落ちるよ?」

「大丈夫だって。俺の成績なら確実にいける地元校だし」


俺は地元にある高校に進学。

優斗は有名な国立高校にに進学するらしい。

小学校からの付き合いだったこいつとも、もうすぐお別れだ。


「なんだか、少し寂しいな……」


俺が空を見上げてそう呟くと、優斗は笑った。


「龍牙らしくないね。なんか変な感じ」

「ははっ、なんだよそれ」


つられて俺も笑う。

気がつくと俺達二人は足を止め、揃って空を見上げていた。


「天地先輩ー! 五十嵐先輩ー!」


後ろから聞き慣れた声が聞こえる。

振り返ると、俺達の後輩である凪ちゃんが走ってきた。


「天地先輩、五十嵐先輩。おはようございます」


凪ちゃんが俺達の前まで来て挨拶する。


「おはよう、凪ちゃん」

「おぉ、おはよう。凪ちゃんも正月ぶりだな」


薫風 凪(くんぷう なぎ)

俺達の後輩である二年生の女の子だ。

俺、優斗と同じ部活に属している為、非常に仲がいい後輩といえる。


薄くて透き通るような柔らかい黄緑色の髪と瞳は見る者に安らぎを与える。

癒しという言葉をそのまま表したような雰囲気をもっているのだ。

髪型は肩位までの長さのポニーテール。身長は俺より頭一つ分小さい、火燐より少し低いぐらいだろうか。

少し気が弱く、自分に自信の持てないが、自然や動物を大切にするとても心優しい子。

外見でも内面でも校内で人気の美少女だ。

……胸も歳相応のそれを持っている。


「お二人とも。何をしていたんですか?」

「あぁ、ちょっと優斗と二人で話してたんだよ。もうすぐこの長い付き合いも終わりだなって」

「そういえば、お二人はもう卒業で、別々の学校になるんでしたね……お二人のコンビが見られなくなっちゃうのは残念です」


俺たちの話を聞いて、凪ちゃんまで寂しがる。

そこから三人の雑談が始まった。




(あの、龍牙?)

(どうした? ウリエル)

(話の流れ的にとても申し上げにくいのですが……そろそろ急いだ方がいいのではないでしょうか?)


……周りを見渡せば、誰も居なかった。

いや、一人いた。

いつも時間ギリギリに登校する五月雨 瑞樹(さみだれ みずき)が走っていた。


「やばい! 急がないと遅刻するぞ!」

「あぁ! 本当だ! 僕とした事が……凪ちゃん僕の背中に!」


優斗が凪ちゃんを背負った。

懸命な判断だと思う。

ここから学校までの距離を全力疾走は凪ちゃんにとってははキツい。


俺と優斗が全力で通学路を駆け抜ける。


この角を曲がれば――俺達の市立扇中学校は目の前!


全力で駆ける。

昨日の事もあり、ボロボロな体だがそんな事言ってられない!

俺の皆勤賞を失ってたまるものか!


(まだまだ動けるじゃないですか。龍牙)


ウリエルがそんな事を言う。

……なんか、やばい気がした。


俺達が門を潜り、靴を履き替え、凪ちゃんを教室まで送って自分達の教室に着くまでの間、チャイムは待ってくれた。

俺達は、遅刻せずに済んだのだ……。

全力を出し切った俺は自分の席に着くなり机に突っ伏した。


そこで、チャイムが鳴り響いた。






皆様お久しぶりです。

ちょめのすけです。

まずは、更新が遅くなってしまったこと、申し訳なく思います。

第一章、どこからはじめるかとか。どこまで物語を進めるかだとか色々悩んでしまいました。

それと、小説に手をつける時間がなかった。というのもあります。

更新するまでの間、いくらかお気に入りが減ってしまったのもとても残念に思います。

失踪してはいないんですけどね……。


さてと、では本題です。

いよいよ始まりました。《第一章:精霊の居る日々》。

新キャラぞくぞくと言った通り、今回で三人のキャラクターが新登場しましたね。

まぁ、一人はほぼ名前だけという形ですけど。


まず最初に第一章ですが、章の名前通り龍牙の今までの日常に、精霊が加わった感じでお送りしていきたいと思います。

今まで龍牙はどんな感じで過ごしてきたのか、学校での活動、仲間達等を中心に物語を進めていきます。

こうやって言うと、「精霊あんまり関係ないんじゃ?」と思う方もあると思いますが、物語に精霊は確り絡んできます。

今までの日常に、精霊が加わった日々、というお話ですからね。

それと、最近のラノベとかは展開が早いものが多かったりしますよね。

あれは商業作品ですから早く面白い展開に持って行こうというのも仕方がありませんが、この小説は作者の趣味で書いておりますのでダラけない程度のスピードで進んで行こうと思います。

それでカットされたのが冬休み最後の土日です。

本当は暫く出番のない紅炎寺三姉妹をもう少しピックアップしたかったのですが、物語の進行が遅れてしまうため、泣く泣くカットしました。

紅炎寺三姉妹……また会う日まで……。


さて、第一章ってどんな話かを説明するだけで長くなってしまいました。

なので、新キャラの紹介はまた次回のあとがきでやろうかなーとか思ってます。

粗方は本編の方で書いたので優先順位は低いですが……。


次回のお話は《中学校最後の学期のはじまり》です。

簡単に言えば日常回……みたいに出来れば良いなぁなんて思います。


更新日……とまでは行きませんが来週中……つまりは3月18~24日の間には投稿したいです。

一気に出ちゃうけど新キャラクターも出せれば出したいですね。

この章ではまだまだ新キャラクターが出るので様子を見て出していきますが……


乞うご期待!



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