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精霊使いと精霊と!  作者: ちょめのすけ
序章 天使が舞い降りた日
5/9

舞い降りた日の終わり

舞い降りた天使の名は熾天使ウリエル。

『神の御前に立つ四人の天使』の一角という超大物だった。

ウリエルは蜘蛛の精霊をいつの間にか炭にしていて、龍牙の危機を救った。

そこに幼馴染の火燐が現れて――


「霊……力……?」


聞きなれない単語に引っかかる。


「《霊力》とは、私達精霊が人間達の魔力から作り出す力のことです。これが精霊の力となっています」


ウリエル様が俺の様子を見て補足してくれる。

とてもありがたいことであります。


「貴方がいるという事は……そういう事ですか。通りで」


ウリエル様が俺と火燐を交互に見て、何かに納得したようだ。

というか、ウリエル様は火燐の事をご存知なのか。


「もしかして、火燐って精霊の中でも有名人なんですか?」


俺がウリエル様に問う。


「……彼女はあの紅炎寺の娘ですよ? その辺の精霊なら尻尾を巻いて逃げるほどです」


ウリエル様が少し考えてから答える。

火燐の両親はどちらも有名な精霊使いで、その子ども達である紅炎寺三姉妹はかなり期待されている存在なのだ。

だが、まさか精霊の間でも知れ渡っているとは思わなかったなぁ。


「あ、あの……どうしてウリエル様がここに?」


独り状況を掴めずに居る火燐が恐る恐るといった感じで訊ねる。


「あぁ、この龍牙という少年に召喚されたので」


っ!?

今俺の名前言った!?

俺は名乗った覚えはないぞ……?


「龍牙がウリエル様を召喚――?」


火燐がしこし考えた後、ハッとした表情を浮かべる。

こちらも何か納得したようだ。

なんか、俺だけ取り残されてる?


「――ただし、魔力不足で正式な召喚ではありませんがね」


ウリエル様がとても重要な訂正を加える。

そう、正式な召喚ではないのだ。

でも……俺って本当に魔力高いんだろうか?


「そして、暫くこの少年を守ることになりました。よろしくお願いします」


ウリエルが火燐に頭を下げる。

つられて火燐も頭を下げる。

が――


「暫く守るって!?」


耳にした言葉を理解したのか急に頭を上げて問う。


「言葉通りの意味です。精霊に対しての対抗手段がないこの少年を私がお守りします」

「それなら私が――」

「貴方は学校の寮に住んでいるのでしょう?」

「そ、それもそうか……」


納得した様子の火燐。


「それで、用事は済んだの?」


ルビーカーバンクルはどうなったんだ?


「あ、あぁ。契約は成功したわ。この通りよ」


火燐が腕を上げると頭上の空間からいきなりリスのような生物が降ってくる。

ルビーカーバンクルだ。

ルビーカーバンクルは火燐の頭に着地し、そこで丸くなった。


「この子はね、ルルって言うのよ」

「ルビーカーバンクルのルルか……」


これまたストレートな名前だなぁ。

とか、思うだけで口には出さない。


「あ、これ私がつけたんじゃなくてこの子自ら名乗ったんだからね?」

「っ!?」


自ら名乗った……だと!?


「何を驚いておるのじゃ? 人間。精霊が喋るのは当たり前じゃろう?」


喋った。

このリスみたいな生物すら喋った。

声色的に雄だな。こいつ。

しかも相当歳くってそうな口調だ。

どうやら、精霊って奴はどいつもこいつも喋るみたいだな。


「ほぅ、ルビーカーバンクルですか」

「はい、先ほど契約を済ませました」

「流石紅炎寺の娘、と言った所ですかね。彼と契約を結ぶだなんて」

「いえ、それほどでもありませんよ」


ウリエル様と火燐の会話を聞くに、やはりルビーカーバンクルは大物のようだ。


「紹介はもういいじゃろう? わしはもう疲れた……戻らせていただこうかのぉ」


そういうとルビーカーバンクルは消えた。

相当疲れた様子だったが、火燐との契約時に何かあったのか?


「じゃあ、目的も済んだことだし暗くなる前に帰ろうか」


火燐が提案する。

時計を見ると5時になる前だった。

辺りはまだ明るいがそろそろ暗くなり始める頃だろう。


「ご自宅に着いたら火燐と今後の相談をしなくてはいけませんね……」

「そうですね。ウリエル様」

「……火燐。それと龍牙。これから暫く共に居るのです。私の事は呼び捨てで構いませんし、無理に敬語を使わなくてもいいですよ」


ウリエル様がそう告げる。あ、様は要らないのか。

うん、確かに敬語は苦手だからさっきから上手く話せていない。

そう言ってくれるのはありがたいな。


「で、ですが……」

「いいですね?」

「はい……」


火燐も大人しく従うようだ。


「さて、じゃあ帰ろうか」






「あ、おかえりー!」


玄関で出迎えてくれたのは烈火。

オレンジ色の短髪に黄色の瞳の13歳の少女。

姉二人とは髪や瞳の色が多少異なるが、これは姉二人が母の血を濃く受け継ぎ、烈火は父の血を濃く受け継いだということらしい。


「ただいま、烈火。焔姉は?」

「焔ちゃんは今晩ご飯を作ってるよー!」


烈火は姉二人の事をちゃん付けで呼ぶ。


「ただいまー。烈火、お姉ちゃんは今日のご飯はなんだって言ってた?」

「カレーライス!」


おぉ! カレーか!

カレーは俺も大好きだぞ!


「カレーですか……最後に食べたのは何時だったでしょうか」


俺と火燐の後ろにいたウリエルが玄関に入ってきた。


「……誰?」

「私は、天界にて――「あー、後で焔姉と一緒に紹介するから」


烈火にそんな挨拶しても理解してくれないよ!

あと、事情もあるし纏めて話したほうがいい。

と、言うことでウリエルの紹介は食卓で。という事にする。


「……? わかったー」


烈火がリビングの方へ駆けていく。

焔姉に俺達が帰ってきたことを伝えに行くんだろう。

俺たちも向かうかな。






「……それで、龍牙がウリエルを呼んだ……と」


食後、一通りの紹介を終えた後だ。

焔姉とウリエルが話している。


「はい、そこまでの魔力を持っていれば、《はぐれ》が彼を狙うでしょう。なので、私が彼を《はぐれ》から守る為に暫く共にすることにします」


《はぐれ》……?


「《はぐれ》ねぇ……それは確かに危険だけど……貴方が出るほどでもないんじゃないの?」


確かに、部下か何かでも着かせれば済む話だろうな。


「いえ、貴方は存じないと思いますが……今日、彼が《都市伝説の姫》と接触しました」

「《都市伝説の姫》!?」


焔姉が驚く。

《都市伝説の姫》って何だよ!?

もしかして後ろから話しかけてきたやつの事か?


「《都市伝説の女王》に次ぐ《はぐれ》の大物が既に龍牙に目をつけていると言うの!?」

「はい、ですから、私が責任を持ってお守りします」


なんか俺が置いていかれてるぞ……《はぐれ》って何だ?

《都市伝説の女王》とか《都市伝説の姫》とか誰だよ!?

くそぅ、知らないことが多すぎてさっぱり分からんが、俺は今凄く危ないって事だけは分かった!


「《はぐれ》というのは、今日の蜘蛛の精霊のように人間を襲ってたり、恐怖させて生きている精霊の事です」


一人頭を抱えている俺を見かねてウリエルが説明してくれる。

あぁ、あんなのがいっぱい襲ってくるのか……俺、生きていけるんだろうか。

心配になってきた。頭が重いわぁ。

……あれ、何か違う。重いんじゃなくて頭がクラクラしてき――――。


そこで、俺の意識は途切れた。







ここは何処かの巨大な泉のほとり。

近くにはこの世の物とは思えないほどの大樹の根がある。

そんな泉のほとりに家がぽつんと建っていた。


その家の中には、家の殆どを埋める程並べられた沢山の本と一人の女性の姿。


「全く、あの子達ったら……私だけ留守番だなんて……」


どうやら一人で愚痴を呟いているようだ。


「しかも勝手に一人加えだすし……そりゃあ、私はここでの仕事があるし、あの子達は向こうでの仕事があるのは分かるけどさー……」


その女性は机に積まれた本をパラパラと捲り、最後のページまで見終わると本棚に戻す、という作業をしながら愚痴っている。


「やっぱ、酷いわよねぇ……」


彼女の手が止まった。


「ヴェルちゃんの記録を確認するのも大変だし、あの糞じじいは息子が殺されたことにまだ気付いてないし……本当に大丈夫かしら?」


彼女は色々と大変そうだ。

そっとしておいた方がいいだろう。


「早くあんたの義兄弟をなんとかしなさいよね……」



ちょめのすけです。

更新が遅れてしまい、申し訳ありません。


最近余り時間が取れず、更新が遅れてしまいました。

物語は頭の中で出来上がっているので書く時間がないのは辛いですね。

自分でもガンガン更新して行きたいと思っているので……。


さて、今回はかなりの量の単語やヒント(?)が出てきましたね。

まずは《霊力》の話ですが、これは本文で触れた内容で十分だと思います。

《はぐれ》についても本文で普及した通りですね。

人間を食べなくても襲って恐怖させ、それを逃がすことにより話が広がる……というパターンもあります。

《都市伝説の姫》……そろそろ予想できた人も多いんじゃないでしょうか?

都市伝説、後ろに立つ、絶対……そう、あの人です。

女王については、姫が想像できた人なら分かると思います。

姫よりも遥かに認知度が高く、その昔小中学生を恐怖に叩き込み、パトカーの出動や集団下校などを引き起こしたと言われるあの方です。

これらについては後々出番がありますので期待して待っていてください。

ただ、女王の出番は相当後になります。


そして最後の謎の女性!

これは多分それに詳しい人ならすぐに連想できたんじゃないかなぁ……と思います。

いや、詳しくなくてもある程度特定できるかもしれません。

正直言ってかなり出しまくりました。

今回登場したキャラは結構重要な人物であり、これから巻き起こる一つ目の大きな物語を側面から説明してくれます。

よって、やっと物語が動き出します。

いや、主人公がウリエルを召喚した時点で動き出してたんですけどね?



このお話をもって、《序章:天使が舞い降りた日》の終わりを向かえ、第一章が始まります。

第一章は冬休みの終わりから龍牙が中学校を卒業するまで……の予定です。

少し前に名前の出ていた凪ちゃんや白ちゃんがついにでるぜ!

新キャラぞくぞく(?)でお送りする《第一章:精霊の居る日々》お楽しみに!




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