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精霊使いと精霊と!  作者: ちょめのすけ
序章 天使が舞い降りた日
1/9

精霊という存在


皆様はじめまして。

ちょめのすけと申します。


このページを開いてくださりありがとうございます。

不定期更新ですが、どうぞよろしくお願いします。



まずは物語をお楽しみください。




霊暦1996年、1月4日(金) 正午




……一体どういうことなんだこれは……。



天地 龍牙(あまち りゅうが)、15歳。

現在危機的状況に立たされている。


とある森の奥を進んでいくと急に現れた泉。

そこには、一糸纏わぬ美少女が居た。


燃え盛る炎の様な赤い髪と瞳。

太ももまで届くほど長い髪は、水に濡れてその肢体へと張り付いている。

普段はポニーテールだが、今は髪を下ろしている。

身長は15歳の女子としては一般的なものだろう。

運動が得意そうな引き締まった体つきをしている。

そして……胸は15歳の割にはあった。


知らない人物ではない。

俺の幼馴染であり俺が追跡して来た相手、紅炎寺 火燐(こうえんじ かりん)だ。

だが何故、何故一糸纏わぬ姿で水浴びをしているのか。

こんな森の奥に水浴びしに来た訳ではないだろう。

まぁ、その姿を拝めた事はかなりの幸運だ。

そう幸運である。


しかしだ。

状況が悪すぎた。

俺は今、ゆっくり追跡してきたところ、急に現れたこの泉で足を踏み外し、泉に頭から落ちて顔を上げた瞬間。

という状況に置かれている。

火燐が此方を「?」を浮かべながら見ている。

つまり、完全気付かれてしまったのである。

そして俺を認識し、顔をみるみる赤く染めていく。


次の瞬間、水面を走り俺の目の前まで迫ってくる火燐の姿。

駄目だ、こうなったらもうどうにもならない!

死を覚悟しろ、俺。

火燐は勢いそのままに俺に飛び蹴りを放った。


「見え――ッ!!」


ガッっという音と共に俺の視界は暗転した。

見えなかったのが真に残念である。






話は約五時間前へと遡る。



「ごめんね。今日はちょっと用事があるから」


そういって火燐は早々に朝食の席を立った。

此処は天地(あまち)家。俺の自宅である。


「ん? どうしたんだ?」


俺は箸を止めて火燐に聞く。


「今日は精霊関係でちょっと用があるの」

「……精霊……関係? 学校の課題か何か?」


せ、精霊? 確か火燐達が通う学校はそんな感じのヤツを習ってるんだっけ。


「まぁ、そんな感じ。お姉ちゃんはないの?」


火燐がゆっくりと朝食を食べている焔姉(ほむらねぇ)へ投げかける。


「私? 私はないわよ」

「そ、そうなの? 烈火(れっか)はあるわけないし……とすると私だけかぁ……」

「うん、ないよー」


焔姉の横でもりもりご飯を食べている烈火が元気に答える。

冬休みに課題を出されているのが自分だけと知ると、途端にやる気のなくなる火燐。

まぁめんどくさいって言うのは分かるが、出たものはしょうがない。


「まぁ、火燐は来年高等部になるんだから、中等部の総復習として課題が出るのは仕方がないんじゃない?」

「そうだけど……」

「それと、この時期に契約する精霊は高等部での大事なパートナーになる筈だから、しっかりとやるのよ?」

「分かってるよー」


火燐は食器を片付けながら軽く返事をした。


「……それで、標的は決めたの?」

「ルビーカーバンクル」

「……へぇ」


焔姉の目の色が変わった。


「そんな精霊と、契約できるの?」

「出来る。というかしてみせる!」


火燐が堂々と宣言する。

よく分からないけど大物みたいだ。

だがしかし、俺はこの会話についていけない。

何故なら、精霊ってなんだっけ? というレベルだからだ。

いや、少しは知っているぞ。詳しく知らないだけで……。


「じゃあそういう事だから、いってくるねー」


出かける準備を済ませた火燐が玄関から出て行く。

……火燐がいなくなったところで。

俺は焔姉に向き直る。


「焔姉、精霊について詳しく教えてくれ」


紅炎寺 (ほむら)

俺は焔姉と呼んでいる。

紅炎寺三姉妹の長女。

国立精霊使い学園大和高等部二年、歳は17歳。

火燐と同じ赤い瞳と髪。

腰ほどまであるロングヘア。

知的で優しい印象を受ける尊敬する姉である。

……胸が素晴らしい。



「? いいけど。どうしたの?」

「いや、俺精霊について詳しくないからさ」

「まぁ、いいわ。それじゃあ説明するわよ」

「おう」




「まず、精霊はこの世界を支えている需要な存在よ」

「それは知ってる」

「世界や人間の生活を支えることで人間達に認知されようとするの」

「どうして?」

「それは、精霊が生きるには人間の想像によって生まれる魔力が必要だからよ」

「魔力?」

「そう、人間はものを想像する時に魔力を発生させるわ。そうね……例えばレンガを思い浮かべてみて」

「レンガ……?」


俺は頭の中でレンガを思い浮かべる。


「今レンガを思い浮かべたでしょう? 頭の中でレンガを想像した時、魔力が生まれたの。その魔力はレンガを司る精霊の元へ行くことになるの」

「想像するだけで?」

「そう、想像するだけで。だから精霊は多くの人に自分の存在を知ってもらう必要があるの」

「存在を知られないとどうなるの?」

「存在を知らないものの想像は出来ないわ。だから、その精霊は生きるための力を補給出来ずに消滅する」

「そ、そうなのか」

「精霊には大きく分けて二つの種類があって、草木や動物、家や雲など、この世の様々なものに宿って世界を支える環境精霊。

伝説や噂など、元々姿なき存在である伝承精霊がいるわ」

「伝承精霊?」

「さっき火燐が言っていたルビーカーバンクルがそうよ。額にルビーがある伝説の生物……そういう言い伝えなんかが伝承精霊なの」

「でも、姿が無いならどうやって見つけるのさ?」

「元々って言ってるでしょ。伝承精霊は目撃され、言い伝えが広まるように時々姿を現すのよ」

「ほう、だから大物なのか」

「そう、特別な術を使って呼び出す召喚術じゃないと契約を結ぶのは難しいわ」

「あ、そうそうその契約って何?」

「契約は人間がある精霊を自分の管理下におくことよ。契約すれば精霊は契約主から存在の維持に必要な魔力の殆どを供給してもらえるから楽なのよ。

その代わり契約主の想像の影響を強く受けやすくなるのだけど……。まぁこれの説明はいいでしょう」

「じゃあ契約主側のメリットは?」

「その精霊を従えることが出来るということね。精霊は世界を支える力を持っているのだから、契約すると色々と楽よ」

「じゃあ大人はみんな精霊と契約を結べばいいんじゃない?」

「確かにそれが出来ればいいんだけど……精霊と契約を結ぶには、その精霊が存在を維持するのに必要な魔力の殆どを補わなくてはならない。

残念ながら一般人はそこまで膨大な魔力を持っていないのよ。だからその精霊を契約を結べる精霊使い(せいれいつかい)を育てる学校があるわけよ」

「よし、大体分かった」


俺はそういって席を立つ。


「あら? どうしたの?」


焔姉はクスクスと笑いながら問いかける。

この人は答えなくても絶対に分かってる。


「お兄ちゃーん? どこ行くのー?」

「んー、ちょっと急用」


食事も終わり暇を持て余した烈火を軽く流す。


俺は手早く出かける準備をして家を出た。

まだこの時間なら余り遠くへ行ってはいないはず……。


俺は自分の自転車に乗り駅への道を走った。

そんな伝説っぽい生物に会いに行くんだ。

どうせ森とか山の奥へ行くに決まっている。

それなら向かう場所はとりあえず駅!


俺は全力で自転車を飛ばす。

こんな面白そうなこと、逃してたまるものか!


自転車を飛ばして駅に着く。

道で見かけなかったんだ。もう駅の中だろう。

問題は此処から、どこまで電車に乗っていけばいい?

それが分からない。


俺は目を瞑り意識を集中する。

頭の中で火燐を思い浮かべると、存在を近くに感知した。


居たのは切符売り場。

人混みの中、火燐がいくらの切符を買うか辛うじて確認に成功する。

そして自分も同額の切符を買って後をつける。

相手に気付かれないよう、ギリギリの距離を保ちながら。


こうして火燐を追跡し、とある森の奥までたどり着いた。

森についてからは目を瞑って存在を感知しながら追跡することにしたのだ。

何故なら田舎のような人の少ない場所で目で見える距離で追っていたらすぐばれてしまうからだ。


こうして目を瞑りながら進んだ結果。

目の前が泉である事に気が付かず……冒頭に戻る。


それが、この話の発端である。






ここまで読んでくださりありがとうございます。

『精霊使いと精霊と!』は如何だったでしょうか?

途中、精霊について語られている場面がありますが、難しく考えず流してくれちゃって結構です。

簡単に言えば、精霊は生きるために目立つってことですので。

物語を読み進めていく内に分かるようになっていくように頑張ります。

まぁ主人公も理解していない状況なんで、大丈夫だと思います。


さて、次回は『精霊・ルビーカーバンクル』です。

主人公が気絶したところからストーリーが始まります。

まだまだこのお話は始まったばかりですので次回もお付き合いいただけると嬉しいです。


更新予定は……まだたっておりませんが、出来るだけ早く更新したいものです。

それでは皆様また次回!



※追記:次回の題名は『精霊との出会い』に変更されました。




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