なんですか、母上?
「可愛い………」
「………えっ??」
「あ、いや、なんでもないよ」
ルーカス様が、何か言ったような気がしたのに小声で聞こえなかったわ。
そのルーカス様は、なぜか、温室のガラス窓の方を向いてしまいました。
どうなされたのでしょうか??
「あらあらあら!」
「………なんですか、母上?」
怪訝ながら、恥ずかしげな表情のルーカス様。
お母上であるエレーナ夫人は、ニコニコニコと持っている扇子で、ツンツンしております。
本当に、何があったのでしょうか?
「私達と、一緒に話しませんこと?」
「皆様と話したい気持ちはありますが…」
「あら、ルーカス?
これから、何かあるんですの?」
「実は、これから、スーゼン公爵家やマイゾール公爵家にも行く予定でして、いろんな方々に、早めに、お伝えしないといけませんから…」
「あら、ごめんなさいね、確かに、この情報は、早めに伝えないといけないわ、残念ね」
「また別の機会にお願いします、お祖母様」
「ええ、そうするわ」
確かに、国王陛下に、待望の孫息子誕生というお知らせは、郵送の手紙より、直接渡す手紙の方が早くて良いでしょうね。
ルーカス様は、なぜか、わたくしに向かって、ニコッとした後に、去って行きました。
なんだか、凄い場面に遭遇してしまったわ。
「うふふ、面白いものを見ましたわ!」
「まあ! ミリーエ夫人ったら、若い子達をからかわないように、お願いしますね?」
「ええ、もちろんですわ、イストレラ夫人!」
ミリーエ夫人とイストレラ夫人は、何をお話ししてらっしゃるのでしょう?
お二人は、本当に仲の良い方々なのですね。
「ファウスティーナさんは
婚約者は、いらっしゃいますの?」
「いいえ、今のところは、おりません。」
先程、噂話に出てきたルドヴィーコ様が婚約者候補でしたけれど………
それ以降、お見合いしていますが、なかなか、平凡な男爵令嬢を妻に迎えたい殿方は現れずにいますからね。
仕方がありません。10代、20代の殿方は、女性に夢を見るのでございましょう。
「あら、そうなのね」
「はい、エレーナ夫人!」
「次回からは、お手紙で招待状を送りますから、ぜひ、我が家のお茶会にいらして下さいな。」
「はい、ありがとうございます!」
なぜかは分かりませんが、再び、わたくしは、お茶会に呼ばれるようでございます。
公爵家のお茶会………
慣れることは出来るのでしょうか?