我が家にいらっしゃい!
「ねえ、ファウスティーナさん
貴女は、今、何歳になられたのかしら?」
「桜の月生まれです。
今年から、18歳になりました。」
「ふふ、そうなのね?
可愛いらしいですこと!」
18歳にしては小柄な体型、細身のスタイル、可愛いらしい小動物のような少女。
エレーナ夫人は、
一目見て、気になりました。
嫡男のお嫁さんも、次男のお嫁さんも、三男や四男の恋人達も女騎士なので、小動物のような可愛いらしい少女と会うと、気になるのです。
特に、ファウスティーナは、純粋な雰囲気で、仲良くなりたいと思えるのです。
小動物のような容姿をしていても、内心は公爵夫人とお近付きになりたいと考えているような貴族令嬢が多いから、尚更です。
「あら、ちょうど良かったわ。
来週、我が家の温室でお茶会を開催するの。
貴女を招待しても良いかしら?」
「………公爵家のお茶会に?わたくしで宜しいのでしたら、宜しくお願い致します。」
男爵令嬢が、公爵家のお茶会に誘われるということは、奇跡に近いのです。
夢でしょうか?本当に、誘われましたか?
「ええ、貴女で良いのですよ、また、ゆっくりとお話し致しましょうね!楽しみだわ!
「エレーナ夫人、ありがとうございます!
宜しくお願い致します…!」
「ファウスティーナさん
我が家にいらっしゃい!歓迎するわ!」
「おはようございます、エレーナ夫人
この度は、ご招待ありがとうございます」
「うふふ、こちらにいらしてくださいな」
ご招待を受けまして、アールノルフォ公爵家の敷地にあります、温室にやって参りました。
一面ガラス張りの、2階建ての巨大な温室は、
あちこちに咲いている花たちが可愛いらしく、とても美しい空間となっています。
このような場は、初めてで緊張していますが、エレーナ夫人の柔らかい優しい笑顔を見たら、少し落ち着きました。
「皆様、今回、急にご招待いたしました
ファウスティーナさんです」
「お初にお目にかかります、ベルナルド男爵家の長女、ファウスティーナと申します。」
広々とした温室の中で始まった、こじんまりとしたお茶会には、赤髪の貴婦人の方と黒短髪の貴婦人の方がいらっしゃっていました。
夜会の時に見かけたことはありますが、お話はしたことがありませんね。
こちらにいらっしゃる貴婦人の皆様は、高貴なお方すぎて、話す機会は滅多にありません。
遠目で見かけるくらいですもの。