男爵のご息女かな?
あれから
3年という年月が経ちました。
たくさんの殿方にお会いしてみましたけれど、男爵家の長女、ファウスティーナは、18歳になった今も、婚約者が決まっておりません。
野心家の殿方は、自分よりも身分が上の家柄の御令嬢を選ぶ人が多くて…
あまり目立たない、平凡な、ごくごく普通の、男爵令嬢を選ぶ方がおりませんでした。
残念ながら、即、断られてしまいました。
勿論、婚約者が決まっていない方もいますが、そういう方は、次男や三男で自由な庶民生活を送りたい者、仕事に集中して生きたい者、恋愛結婚派な者が多いようなのですよ。
父母も、親戚も、皆様、最近は、諦めまして、仕事人間な殿方か、恋愛結婚派な殿方と出会いなさい、とおっしゃっています。
恋愛結婚? 結婚も、恋愛も、よく分からないわたくしには、難しいことなのですが……
とりあえず、夜会デビューしたばかりのため、今夜も、のんびりと、夜会に参加します。
ちなみに、エスコート役は、婚約者がいない身なので、お父様が担当しています。
「やあ、ベルナルド男爵、こんばんは。
わざわざ、来てくれたんだね?嬉しいよ。」
「うふふ、ベルナルド男爵、夜会にいらして
下さって、ありがとうございます」
「アールノルフォ公爵閣下、エレーナ夫人
こんばんは、ご招待ありがとうございます。」
今回の、この場の、夜会の主催者は、
アルファーヌ王国の王弟殿下、アールノルフォ公爵閣下、王都立騎士団長、グントライ様と
辺境伯家出身の奥方様、エレーナ夫人です。
おふたりとも、王族特有の銀の短髪に青い瞳をしている夫婦です。
騎士団長が主催者なので、お父様とわたくし、ふたり揃って、招待して下さいました。
「そちらは、男爵のご息女かな?」
「はい、私の娘のファウスティーナです。」
「お初にお目にかかります、ベルナルド男爵家の長女、ファウスティーナと申します。」
「アールノルフォ公爵、王都立騎士団長を務めているグントライだ。宜しくね、お嬢さん。」
「うふふふ、可愛いらしい方ね。グントライ様の妻エレーナです。宜しくお願いしますね。」
「アールノルフォ公爵閣下、エレーナ夫人
こちらこそ、宜しくお願い致します。」
神秘的な容姿にしては、にこやかな、穏やかなのんびりとした御夫婦ですね。
だからこそ、この方は、お父様を含めた騎士の皆様に好かれているのでしょう。