政略結婚なのですよ?
「これは、政略結婚なのですよ?
その令嬢とは、この婚約話が決まりましたら、別れることになるのではなくて?」
「急に、別れるでしょうか…?」
次期伯爵様と伯爵令嬢ならば、別れる必要性が全く無いではないですか。
むしろ、このまま婚約をしても、周囲の反対を押し切って、ひっそり付き合うのでは?
「お母様は、伯爵令嬢でしたから、気にしないのかもしれませんが、わたくしは男爵令嬢です。伯爵令嬢に立ち向かうことは出来ませんよ?」
「まあ! そうなのでしたわ!」
お母様は、伯爵令嬢だったからでしょうか?
今は男爵夫人なのに、伯爵令嬢の方々と対等になろうとする癖があります。
わたくしは男爵令嬢ですから、伯爵令嬢であるマルティーナ様に立ち向かえませんよ?
「先に、調査して、ご確認した方が…」
「………その方が良さそうね、その噂について、旦那様に調査を依頼してみましょう。」
「はい、宜しくお願い致します。」
「ただの噂話なら、婚約を続行しますよ?
良いですね、ファウスティーナ?」
「………はい、かしこまりました。」
その後のことです。
お父様が、親戚のゲオンリーグ伯爵閣下に頼み込んで下さって、調べてみましたところ…
ルドウィーゴ様は、ケルディノ伯爵家の三女、マルティーナ様と恋仲だと確定しました。
その為に、伯爵閣下が連絡して下さいまして、顔合わせの前に、婚約破棄となりました。
ルドヴィーコ様は、お父様の所属する騎士団に配属されることが決定いたしました。
しかし、お父様と合わないだろうという事で、お父様とは、別の部隊に見習い騎士として配属とのことでございます。
顔合わせして正式な婚約になる前に、お母様に伝えることが出来て、ほっとしました。
「ファウスティーナ」
「お母様………?」
「この間は、私達の確認不足だったみたいで…
ごめんなさいね…」
「顔合わせの前に、婚約破棄出来て、良かったと思っていますから、大丈夫ですよ」
「今度こそ、今度こそ、婚約者も、恋仲の噂も、無いお方を選びましたから見て下さいませ」
「こちらの資料は、いったい?」
「貴女のお父様の上司であられる、ゲオンリーグ伯爵閣下が、様々な方を調べて下さいました」
「こ、こんなに、たくさんですか!?」
10人くらいの、王都に住む男爵家や子爵家の
ご子息様達の姿絵が、ずらりと…
数人は、遠い親族のようですから、そのご縁で選ばれたのでしょうけれど…
それにしても、15歳にして、将来の婚約者を会っても無いのに決めるというのは…
政略結婚とはいえ、どうしましょうかしら?
「お母様、しばらく、考えてみますわ」
「ええ、考えてみて下さいな」