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「そういえばヴィオって人間の姿ごと消してたけどあれってどうなってんの? 悪魔って魂を抜き取るものだと思ってたよ」


葵たち一行は目を回し続ける男たちをそのまま放ってまた街道を歩き始めていた。


「魂しか抜き取れない低級な悪魔と一緒にされたくはありませんね。私の場合は対象を目に見えないレベルまで分解させそのすべてを余すことなくいただいています。もっとも魂だけ抜き取れと言われればそうすることも可能ですよ」

「でも確かあの時黒い霧みたいのが見えたけど?」


あの召喚の間で葵は確かに黒い霧を目にしていた。


「あれは個体の持つ穢れを浴びたかったのでちょっとした演出みたいなものです。そういう気分の時もございますでしょう」


ないよ・・・。


「今更だけどあのお城で人が消えた事は世間的にどう思われてるんだろう?」


日本に居た頃はそういった怪奇事件の話を聞いたこともあったよ。


「悪魔の仕業と判断して悪魔狩りが始まってましたよ。ですからこうして急いで移動したのではありませんか」

「私たちが悪魔だって思われたって事?」

「お城で目撃された上にあの街の住人ではありませんから疑わしきは捕らえて処罰をというところでしょう」


魔女狩りみたいなものだね。


「それにしても悪魔ってそんなに一般的なんだ」

「過去には悪魔が召喚される事もあったようですから」


何それ、普通に怖いんですけど・・・。


「その召喚された悪魔はどうなったの?」

「悪魔を消滅させる方法はあるんです」


なぜかピアが自慢げに胸を張る。

だったらなぜあの時ヴィオを消し去らず止めて欲しいって懇願したんだ?


「低級悪魔ならそれも可能でしょう。まぁでも大丈夫ですよ。たとえまだ生存していたとしてお嬢様の前に現れた瞬間私が消滅させます」


そっか、ヴィオが居れば安心だね。というか、やっぱりヴィオも元々はこの世界の存在じゃなかったんだ。ってことは、悪魔が普通に存在する世界もあるって事か?


「ねえ、ピア。もしかしてこの世界には聖女様なんかが居たりして、それで浄化の力なんて使ったりするの?」


もしかしたら私は聖女召喚に巻き込まれたのか?


「そうですね。高位の聖者なら浄化の力も使えるかもしれません」

「やっぱりか。じゃあ私は聖女かもしれないって事だね」

「お嬢様は賢者となり得る魔法の才能と魔力量を条件に召喚されたようです。修練次第では可能かもしれませんが聖女かと問われたらその限定はできません」


そっか、聖女じゃないのか・・・。


「じゃあピアは聖女の力を使える?」

「勿論可能です。しかし人間に対して攻撃的な力を使うことはできないんです」


聖女は人間を癒やす存在だよ。人間に攻撃的なことはしないと思うけどピアの中で聖女っていったいどうなってんだ? それにさっきのおたま攻撃は? あれだってしっかりと攻撃になっていたと思うけど・・・。あいつらは人間じゃないって事かな。


「じゃあさぁ、なんであの時ヴィオを浄化させなかったの?」

「えっ、そ、それは・・・」

「私の存在が高位すぎてそこの天使には無理だったと言うだけだ」

「そうなの?」


ヴィオってどれだけ高位の悪魔なんだよ。自分で呼び出しておいてなんだけどホントびっくりだね。


「実はそうなんです・・・」


ピアもはっきり認めたよ。っていうよりピアがポンコツなだけって可能性もあるのか?


「この世界がまだ若く未熟なため私もそんなに力を持っていないというのが現実です」

「じゃあピアが力を付けるのには何が必要なの?」

「この世界の人々が正しく信仰心を深めれば私の階級も上がり、いずれは神となれる日が来るのです!」


ポンコツなままで神になられても不安しかないけどね。


「信仰心かぁ。難しいね」


私もよく神様にお願いするけど信仰心が厚いという訳じゃないし、特定の神様を信じてた訳でもないからなぁ。これは確実に私の専門外だ。


「そんなことはけしてありません。いずれは私も女神となりこの世界を見守る存在になるのです!」


天使って女神になれるのか。ピアの夢は果てしなく大きいんだな。


「応援するよ」


誰かの夢が叶うのは見ているだけでも嬉しいしね。


「ありがとうございます。お嬢様にそう言われるとできそうな気がします! 何しろお嬢様は私たち二人としっかり契約できた存在ですからね」


ニパっと笑顔を向けるピアがいったい何を言っているのか理解が及ばずにいた。



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