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この街ってお城があるだけあって首都なのかかなり広いよね。この幼児の体で歩くのは結構大変だよ。


「かなり疲れたんですけど、休んじゃダメかな?」


考えていた以上に幼児体って不便というか勝手が違う。基本の歩幅も全然違うし体は軽いけど体力がすぐに尽きる感じ。ましてや駆け足に近い徒歩だしね。

お城の中もかなり広かった。そしてやっとお城を出たと思えば、やっぱり広くて大きなお屋敷が建ち並ぶ閑静な住宅街。ココを抜けるのも大変そう。

きっとココはお城に勤める貴族や役人たちが住む場所なのだろうが、お城に居た人たちを消し去ってしまったのだからココの主はもう居ないかもしれないね。


「この辺に休める場所などありませんよ」

「どこかの屋敷を使うのはどうですか。何なら中に居る者どもを消し去るのも手ですよ?」

「ホテルがあるといいよね。安心して寝られそうでしょう」


ヴィオの不穏な発言は無視無視。売られた喧嘩は高値で買うけど基本は平和主義だよ私は。


「ホテルですか?」

「こんな雰囲気の異世界だと宿って言うのが定番なのかな?」

「もう少し歩いた場所にありますね。では、今夜はそこで休むことにいたしましょう」


ピアがサーチでもしたのか目的の場所を素早く見つけ出してくれた。ピアも結構使えるじゃない。やっぱり元は天使だけあるよ。


「私は寝る必要など無いので何をしましょう」

「じゃあさぁ、私は夜まで休むから暗くなったら例の手段で移動するって言うのはどう?」

「お嬢様をお抱えし飛んで行くというアレですか?」

「そうソレ!」

「お嬢様がそれでよろしいのでしたら私はかまいませんよ」

「それじゃお願いね」


やっぱり歩いて旅をするって無理だったわ。かなり甘く考えていた。小説を読んだ限りだと歩くだけなら簡単そうだったのに、何時間どころか何日も歩くって凄いよ。やっぱりこの際少しだけ楽をさせてもらいましょう。


もうそろそろ高級住宅街を抜けるかという所に、周りの雰囲気に似合ったちょっと豪華そうな雰囲気のホテルがあった。

お屋敷に泊まった気分になれるって感じなのかな? 見るからに高級そう。でもお金はお城からガッポリ貰ってきたからそんなの関係ないよね。この異世界のホテルに私は遠慮無く泊っちゃうよ!

って、予約ですか? そんなの今日この世界に来たばかりなのにしてる訳ないよ。ヴィオお願い!!


案の定前のめりで受付に立った葵は軽くあしらわれたのでヴィオに代わって貰ったらすんなりOKって、やっぱりこの国絶対に間違ってる。ホント滅びればいい。


部屋の中も勿論豪華仕様。天蓋付きベッドに応接セット。お風呂まである。ココでしばらくゆっくりするのも悪くはないよね。転移紋章がある場所の壊滅って目的が急ぎで無いならね・・・。取り敢えず寝るか、疲れたし。


葵はベッドに身を投げ出すと程なくして意識を無くしていた。



「お嬢様」


なんだか懐かしい世界に居た気がするのに遠くに聞こえる声に意識が覚醒していく。


「お嬢様。申し訳ありませんがお目覚めを」


体を揺すられる感じがして葵は意識を覚醒させる。


「う~ん・・・」


葵は布団の中でおもいっきり伸びをする。


「お嬢様。出立を急がれた方がいいかと思われます」

「何かあった?」

「王城内のものが消えたことが騒ぎになっております」

「あらぬ疑いをかけられ面倒ごとが起きる気配がしております」


面倒ごとの気配って。騒ぎの原因は間違いなく私たちだよ。でもそうだよね。面倒ごとはできるなら避けた方がいいに決まってる。


「分かった。じゃあこのまま出発しよう」

「ではお嬢様、僭越ながらこの私めにお掴まりください」


えっ、まさかと思うけどこの窓からそのまま飛び立つ気? そっ、そうねなんの問題も無いわね。でも、ほら、心の準備みたいなものが・・・。


などと考えていると、葵を抱きかかえたヴィオは開け放たれた大きな窓から華麗に夜空へと舞い上がる。ピアもちゃんと後ろに付いて来ている。やっぱり悪魔も天使も上手に飛ぶんだね。


ヴィオの首に手を回しまるでお姫様抱っこ風で空を飛ぶ体験をしているというのに、葵の心はドキドキするよりワクワクしていた。


明かりの少ない真っ暗に近い夜空に浮かび、青白く輝く大小様々満天の星々がまるで降ってくるようで感動して感激していた。

飛んでいるから空が近いのか手が届きそうな星空の中、葵はこの冒険の行く先が何気に楽しみになっていた。



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