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「お嬢様~、大丈夫ですかぁ-」


目の前の空間が一瞬歪んだと思ったらなんとそこからピアが現れた。


「・・・どうしたのピア」

「お嬢様が助けを呼んだんじゃないですか。私ちゃんとキャッチして急いで来たんですよぉ」


ああそういえば、あの召喚の時も突然現れんだった。


「それって転移? でも本当に急いだ?」


ピアに本気で助けを求めたのはもうだいぶ前だよ。あれが殺されるような危機だったらもうとっくに私死んでるよ。


「そうです。これは転移魔法の一種なのです。でもお嬢様ってば私を疑うんですか。取り敢えず命に危険はなかったので向こうでの仕事をちゃんと引き継いでから来ました。なのでちょっと時間がかかってしまいましたけど、お嬢様の呼び出し以上に大事な事はありませんからこれでも急いだんですよ」


何そのドヤ顔。


「私の呼び出し以上に大事な事がないなら取るものも取りあえず駆けつけるもんじゃないの?」

「でも理由がお嬢様のピンチではなくてこやつのピンチのようでしたから・・・」

「ふぅ~ん、でも全部終わった後に現れても有り難みが薄いよ」

「そ、そんなぁ・・・」

「うそうそ。ちゃんと私のSOSをキャッチしてくれたのも嬉しかったし、こうして駆けつけてくれたのもスッゴく嬉しいよピア。本当にありがとう」

「本当ですか? 本当にそう思ってくれてるんですよね?」

「えっ、ピアってそういうの分かるんじゃないの?」


察知とか検知とかなんかそんな能力を普段使ってるじゃん。


「なぜかお嬢様の心の中は読めないんです。きっとそんなことができていたら私はもっと神のお役にも立てていたでしょう」


ああ、なるほど神の心も読めないのか。まぁピアだしね。でもちょっと安心した。心の内まですべて読まれてると思うと疲れるしね。


「ピアがこうして一緒に居てくれるだけで本当に楽しいし嬉しいよ。一応私の本心だからね」

「なんですかその一応って!」


一応は一応だよ。ちょっと照れくさい感じがしちゃったんだから仕方ないでしょう。分かってよ。


「お嬢様、かの者を待たせているのではないのですか?」


あっ、忘れてた。待ち合わせに急いでたんだった。


「ピアに会いたいって言う子が居て一緒に帰るところだったんだ。手間が省けたね。紹介するよ」

「私にですか?」

「ピアが使う魔法に興味があるんだって。なんと私と同じ召喚者でずっと不老不死で悩んでるらしいよ」

「召喚者? 不老不死・・・。もしかしてかの者の事でしょうか」

「知ってるの!?」

「ええ、召喚されたときに死にたくないと強く願っておりましたので私が不老不死の肉体を与えました」


犯人はピアだったかぁ・・・。


「ピアってそんな事してたの?」

「召喚された者の願いを叶えるのも私の役目です。その為にお嬢様のところへも赴いたのですがあり得ないことが起こってましたのであの時は本当に焦りました。本来は姿を見せる予定はなかったのですがあまりの事に私もつい止めに入ったのですが、結果としてお嬢様とこうして旅ができて私も楽しいです」

「・・・・・・」


えっと、何をどう突っ込んだら良いんだろうか。

まず召喚を止めろよ。召喚者の願いを叶えるってそれって召喚を推奨してたようなものじゃん。

それに召喚者に会わずに願いを叶えるってある意味それって有り難迷惑だよ。

でもそうツッコんだところで暢気な顔して自慢気に話してるピアに通じるだろうか?

多分召喚を願っていた奴らの思いを汲んでたとか言い出したりするんだろうなぁ。きっと。


「ねぇ、念のために聞くけど、もし私が大人しく召喚されてたらあの時は私のどんな願いを叶えてくれる気だったの?」

「そんなの分かりませんよ。お嬢様はあの時本気でこの世界の崩壊を願ってましたからね。私はその願いだけは叶えられませんから。でもそう言われたら私ってどうしてたと思います?」

「私が聞いてるんだってば! でもそうだね。こうしてヴィオとピアが一緒に居てくれて本当に良かったと思ってる。だからピアに叶えて貰った願いだと思っておくよ」

「お嬢様ぁ~」


いや、別に泣かなくていいよ。そんな感動的な話でもないと思うよ。


「それよりさ、彼の不老不死は解いてあげられないの?」

「一度与えた加護を解くのは難しいんですよ。それに本人が本心から望んでないとできません」


呪いじゃなくて加護だったのか。


「本人が本気で不老不死から解放されたいって願ってたらできるんだね?」

「そ、それは、ハイ・・・」

「お嬢様、しかしピアが与えた呪いで不老不死になったのは伏せた方がよろしいかと思います」

「それもそうだね」

「呪いじゃないです。失礼な。でもどうしてですか?」

「彼がピアにどんな感情を抱くか分からないからだよ。無駄な揉め事は避けたいでしょう」

「でも私は天使ですよ。彼の願いを叶えたんです」

「分かってるって。ピアを責めてるんじゃないよ。ただ人間はその時の状況や感情で考えも気持ちも変わるんだよ。だから今の彼が何をどう思うか分からないでしょう。嘘をつく訳じゃない。ただ言わないだけだよ。必要ないだろうから知らせない。それともピアは彼に復讐でもされたい?」

「どうしてそうなるんですか!」

「彼は不老不死になった事で随分と長い間苦労して悩んだみたいだよ。そんな彼に余計煩わせるようなことを言うのはどうかと思うんだ。彼が知りたいと思ったときに話すことにしよう」

「お嬢様がそう言うのなら従いますけど・・・」

「分かってる。その時は私がピアと一緒に彼の思いを受け止めるから安心して」

「お嬢様ぁ~」


だから泣かなくて良いってば。もう・・・。



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