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「ヴィオーーー。本当に戻ったのねーー。良かったよー」


地下牢へと急いで戻るとヴィオの拘束はすでに解かれていた。


「お嬢様の身を危険に晒しお守りすることもできず申し訳ございませんでした」


そんな跪かなくてもいいよ。仕方なかった事だよ。


「ヴィオのせいじゃないわよ。それに今回の件で私の反省点も見えたしやることも見えたから逆に良い経験だったのよ」


そう、守られてばかりじゃダメだってはっきりと理解できた。

彼のあのダラダラゴロゴロ生活は実力を伴った結果手に入れたみたいだしね。


「この世界に私をどうにかできる者が居るなど考えても居ませんでした。私の傲りと油断が招いた事態です。どんな罰でも覚悟しております」

「いやいやいや、ホント何事も無くて良かったよ」


何度も言うけど私がヴィオに与えられる罰なんて何も無いよ。


「しかしお嬢様、私を拘束したこの魔法、お嬢様がお使いになる光魔法よりはたいしたことありませんでした。次はこのような事のないよう私も対処し精進いたします」

「えっ、あれって光魔法だったの?」

「はい、あれをお嬢様が放たれていたら私など簡単に消滅していたでしょう」

「そんな大げさな。それに私はあんな魔法使えないよ?」

「方法は違いますが基本は同じでございます」


そうなのか、要するに光魔法の応用って事? イメージの違いって事なのかな。どっちにしても私はまだまだだってことだ。


「それでお嬢様、あの魔法を放った者はどういたしました?」

「そうそう、ピアに会いたいって言うんであの召喚紋章のあった裏庭で待ち合わせてるんだった」

「・・・お嬢様、お嬢様を危険に晒し不安にさせた不届き者の成敗を私に御命じください」


何でそうなるの?


「だから待ち合わせたって言ってるでしょう。ピアに会わせる約束をしてるのよ」

「本当にそんな必要がおありですか? この私に手傷を負わせる危険人物ですよ。早めに対処しなくては私だけでなくお嬢様の身をまた危険に晒すことになりかねません」


ヴィオならそう言うって予測できてたはずなのに私ってば・・・。


「ヴィオの考えも分かるけど約束しちゃったの。ヴィオの拘束を解いて貰うのと引き換えにね。それに彼にそんな危険な考えがあったなら私はここに無事に戻ってくる事もなかったよね。彼も私と同じで二度と召喚者を出さない為にした事なの。彼はあの紋章を守ってて私は消した。方法が違っただけだよ」


多分思いは一緒だよね?


「お嬢様はどうしてそこまでその者のことを・・・」

「同じ召喚者だったって言うのもあるけどなんだかとても寂しそうだったから。今までずっと長い間一人だったせいかどこか諦めている雰囲気があったのが気になったの」


私の気のせいかもしれないけどね。


「召喚者だったのですか」

「あっそうだ、彼って不老不死なんだって。召喚された反動だろうって言うけどびっくりだよね。きっと私もだって言うんだけど確認方法ってあるのかしら?」

「それは呪いですね」

「呪いなの!?」


いったい誰から受けたどんな呪いなの? 解除方法はあるの?


「召喚されたときに無意識にでも神に願ったのではないですか。神も我々悪魔も基本寿命という観念はありませんから気軽に与えたのでしょう」

「彼は召喚されたときに神様に会ったって事? 私はそんな覚えはないよ」


気づいたときにはあの召喚場所に居たよ。


「違いますよ。神とはとても気まぐれな存在です。たまたま彼の意識に触れ気まぐれで行った程度の事でしょう」

「そうなの? ヴィオはまるで神様を知ってるみたいな口ぶりだね」

「ええ、存じております」

「ええぇえーー」


驚きだよ。ピアならともかくヴィオまでも・・・。


「私は元々神の使いをしていたこともございました」


そうなんだ・・・。これはやっぱり詳しく聞いた方がいいところなのかな? でも話したければ話すよね。今はそんなことより・・・。


「じゃあ私は本当に不老不死じゃないんだね。良かった~」

「お嬢様は不老不死をお望みではないと?」

「そりゃそうよ。終わらない人生って本当に楽しめると思う? 限りがあるから今を充実させようと考えるんじゃないかな。少なくとも私はそう思うわ。彼も辛いって言ってたしね」

「そうでしたか。ご安心ください、お嬢様の魂は必ずやこの私がお引き受けいたします」


えっと・・・。なんだか微妙に食い違ってる気がするけどまぁいいか。


「だから少しでも彼の力になりたいの。ダメかな?」

「彼が不老不死の呪いを解きたいというのであれば私が魂ごと消滅させましょう」

「そんな事ができるの? だって不老不死だよ?」

「不老不死とは肉体にかけられた呪いです。魂を消滅させてしまえば効力を無くす程度の事です」


簡単そうに言うけど本当にそうなの? ヴィオの言うことを疑う訳じゃないけど、彼の悩んだ千年の月日はなんだったんだろう。


「じゃあ彼に教えてあげようよ。彼が望むなら死ぬのも可能だって。その為にも付き合ってくれるよねヴィオ」

「仕方ありません。しかしその時は彼の魂を私の自由にしてもよろしいですよね?」

「そうね。でも彼が望めばっていう前提を忘れないでよ」

「御意」

「じゃあ急ぎましょう。彼きっと待ちくたびれてるわ」



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