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フランベル国は召喚の紋章を隠し持ってはいたがもう召喚をする気はなかったらしく、召喚の紋章のある建物は封印されるようにひっそりと隠されるように建っていた。

葵たちはお城の裏庭らしい場所に立つ石造りの祠の前にこっそりと降り立ち、厳重にかけられた鍵を壊し心の中で謝りながら侵入すると召喚の紋章を消した。


神様ごめんなさい。これはきっと罪になるだろうけど正義の為なんです許してください。


すると召喚の紋章が消えたと同時にとても眩しい光が紋章跡から放たれ、一瞬目が眩んだがすぐに光は収束した。


「人も居なかったし今回は簡単だったね」


葵が召喚の紋章が無くなっているのを確認し振り返るとヴィオが光でできた紐のようなもので胴体と手足を拘束され横たわっていた。


「ヴィオどうしたの!」


目は開いているのに意識がまるでないかのように何の反応もないことに葵は驚いた。


「ヴィオ返事をして!!」


何が起こったのか理解できず、目の前の信じられない状態に自分の身の危険も忘れ葵はヴィオの名を呼び続けた。


ガサガサガサガサガサ


やがて数人の騎士と魔法使いらしき人たちに取り囲まれ、なんの抵抗もできないヴィオと一緒に地下にある厳重な牢に投げ込まれた。


「裁きがあるまでここで大人しくしていろ!」


どうしてこんな時に限ってピアが一緒じゃないの。ピアだったらヴィオに反応がない原因が分かるかもしれないのに。ヴィオお願い返事をして。私はいったいどうしたらいいの?


葵はしばらくの間途方に暮れたがこのままではダメだと決意をする。


「ヴィオ、今回は何があっても私が守るからね!」


どうしてこんな事になったのか考えても分からない。でもさっきの騎士は裁きがあるまでって言ってた。それなら対処のしようも絶対にあるはず。


「どこのどいつが相手か知らないけどこの愛くるしい幼女が相手になってやる。どこからでもかかって来い!!」


って、ココは王城内。相手はもしかしなくても王様か? それって最強権力者だよね。不法侵入だし器物破損だけどまさかそんなことで死刑なんて事にはならないよね・・・。


「それにしてもヴィオをこうも簡単に拘束してしまうなんて相手はどんな魔法を使ったんだろう?」


ピア治癒魔法だったらこの状態を治せたのかな? あれっ、そういえば私も治癒魔法を一応教わって使えるんだった。試してみる?


「治癒!」


やっぱり怪我や病気じゃないみたいだから無理かぁ・・・。でもこの状態まるで魂を抜かれたみたいじゃない? って事は穢されているみたいなもの? だとしたら浄化が利くのか? この際できることは何でも試してみるか。


「浄化」


パキン!


「あれっ、浄化がはじかれた? 何で?」


あっ、そういえば強すぎる浄化はヴィオを消滅させちゃうんだったっけ。って事は今のかなり熟練された私の浄化はヴィオを弱らせてしまうって事か。はじかれて良かったよ。危なかった~。


あれあれ、って事はこれってもしかして何かの光魔法が関係してるって事? それでさすがのヴィオも抵抗できなくなってるとか? ああ、もっとピアに色々学んでおけば良かった。


「私はいったい今まで何をしてたんだ。ホントにもう!」


今まで自分の身の危険しか考えて無かった。そしてそれはヴィオやピアが守ってくれると安心していた。まさかそのヴィオを守らなくちゃならない事が起こるなんて考えもしなかった。まさかまさか自分が誰かを守る側になるなんて・・・。


だいたい自分の身は自分で守れるくらいにはって考えてたはずなのに、いつの間に守られるのを当然と考えていたんだろう? 幼児の体になったことを言い訳にしてたよ。ホント自分で自分が情けない。


パンパン!!


葵は自分の頬を叩き気合いを入れ直す。


こんな所でいつまでも悔やんでいても始まらない。今やれることを考えるんだ! 頑張れ私!!


そんな時コツンコツンと響く靴音に葵の体は一気に緊張していく。


「出ろ!」

「ヴィオはどうするの!」

「身動きできないのだろうそのままにしておけ」

「身動きもできないヴィオを一人になんてできないわ」

「おまえがどうして拘束されなかったのかその理由をお知りになりたいそうだ。抵抗するなら無理矢理にでも連れて行くぞ」


う~ん、ここは大人しく言うことを聞いた方がいいの? 話を聞きたいだけみたいだしすぐにヴィオや私をどうにかするつもりもなさそうな感じだし付いてってみる? ここでヴィオの側に居たって何ができる訳でもなさそうだしこの展開にかけてみるしかない?


ああそうだ。ピアにかけられた妙な設定の効果が発動しちゃってるって事じゃないよね? もしそうだったとしたら私に天罰は無理だよ。その場合悪人相手に私はどうしたらいいの?


葵はぐるぐる回る思考の渦に囚われ悩んでいると、痺れを切らした騎士に軽々持たれるように抱えられ移動する羽目になったのだった。



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