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「お嬢様さえよろしければこのままずっと飛び続けることも可能ですよ」
「何、急にどうしたの? それに日中飛んで誰かに目撃されても面倒でしょう」
「少々高度を高くすれば問題ありません」
そんなに上空を見上げてる人も居ないだろうしたとえ目撃されても簡単に判別できるほど目のいい人もそうはいないだろうしね。やっぱりピアが寂しがったから気遣ってくれてるのかな?
「高度が高いと空気が薄いとか寝ている間にうっかり落ちかねないとか別の心配があるんだけど」
「お嬢様のお体に負担をかけるような高度では飛びません。それにお嬢様を私の腕の中から落とすなど絶対にあり得ません」
「ヴィオが絶対って言うんなら大丈夫なんだろうけどヴィオの負担が大きくならない?」
「休憩する為に何度も降りるよりは楽でございます」
飛んだり降りたり何度も繰り返す方が面倒って事なのかな? 言われてみれば飛行機だって離陸着陸繰り返すの大変そうだもんな。
「それにこのまま飛んでいけば明日の夕方までにはたどり着けるかと思います」
「えっ、そんなに早く?」
隣国なんて言うから私はまた何回も途中の街に泊る覚悟だったよ。夜の内だけ飛んで昼間は休むみたいな感じでね。
でもまぁ一日くらいなら私もご飯なんかは我慢できるだろうし、ヴィオがその方が楽だというならそうしてみるか。
「今回は足手まといが一緒ではありませんのでもっと早く着けるかもしれません」
「そんな言い方したって私には普段はピアのこともちゃんと気遣ってるって聞こえるよ」
「お戯れを」
ピアのあの様子を見てヴィオも早く帰ろうって思ったんじゃないのかな。ヴィオも悪魔なのにいいとこあるじゃん。やっぱり仲間としての意識があるって事だよね。
「じゃあ私も早いところ済ませてしまいたいしこのまま向かってくれる?」
「御意」
やっぱりヴィオが一緒だと安心感が違うし仕事が早いよ。これならピアが拍子抜けするくらい早く帰れそうだな。
と思ったのが何かのフラグだったのかヴィオはフランベル国で簡単に拘束されてしまったのだった。