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「という訳で、ピアが一人で頑張っている間にヴィオとパパッと行ってチャチャっと終わらせてくるね」

「何がという訳なんですかぁ~。私を一人置いて行くなんて酷いですぅ」

「だってしょうがないじゃない。ピアはみんなに頼られてるんでしょう。途中で見捨てるなんてできないよね。それに付与ミサンガがここで安定して量産できれば世界中の人の為にもなるんだよ」


ピアはなんだかんだいって面倒見もいいし憎めないからきっと好かれるんだよね。それにみんなからピア様とか呼ばれて喜んでるのバレバレなんだからね。


「そうなんですけどぉ」

「ミサンガ作りはともかくそれに付与する魔法を教えるの大変そうだよね。でもピアにしかできない事なんよ。その間私もこの部屋に籠もりっぱなしって訳にもいかないし、ヴィオが付き合ってくれるって言ってるんだからいいでしょう。ピアにとって面倒な案件を一つ片付けてくるだけだってば」


召喚の紋章に関してピアも思うところはあるようだけど、積極的に関わりたいって感じでもなさそうだからね。もしかしたらココで時間を延ばしてるもそのせいじゃないかって思うんだよ。


「お嬢様も一緒にミサンガ作りを手伝ってくれればいいじゃないですかぁ」

「何言ってんのよ。こんな幼気な幼女が大人より早く付与してたらみんな不審に思うでしょう。それこそどんなトラブルを招くか分からないよ」

「でもぉ・・・」


でもじゃないよ。覚えの悪い人にまで付き合って根気強く教えてるピアを尊重してるんだよ。あと何日かかるか分からないのに私はのんびり待ってられないっての。


「それに私が気づいてないと思ってるの?」

「な、何をですか?」

「私が寝たあとにこっそり抜け出してあちこちで天罰炸裂させてるでしょう」

「ど、どうして知ってるんですか?」

「気配の消し方が甘いのよ。それに帰ってきたピアのスッキリした表情を見れば察しも付くってものよ」

「そ、それはですね。お嬢様を襲う不届き者を一人でも減らそうと思ってですね」


私に妙なトラブル引き寄せ設定したのを一応反省してるって事なのだろうけど私を理由にしてるだけじゃないの?


「別に責めてないし反対する気もないよ。だから私が留守の間思う存分好きにしたらいいよ」


寧ろ天罰炸裂に引っ張り出されない方が私的には悪人と関わることがなくて気が楽だよ。心の平和を保てるよ。


「いいんですか?」

「だってそれが天使の役目なんでしょう」

「ありがとうございますぅ」


これで納得してくれたのかな? 出かけてもいいんだよね?


「でもお嬢様。ご飯はどうするんです?」

「ピアに寂しい思いをさせるんだから私もピアの料理は我慢するよ」

「じゃあ帰ってきたらお嬢様のリクエストに何でも応えます。だからすぐに帰ってきてくださいね。ヴィオと二人だけで羽目を外したり寄り道なんて絶対にダメですからね!」


ピアじゃあるまいしヴィオが羽目を外すってどんな風になるんだろう。想像ができないよ。


「分かってるって。ピアをのけ者にして二人だけで楽しんだりしないって」

「絶対に絶対ですよ」

「だいたいさぁ、しばらく昼夜逆転生活になるっていうのにこの世界でどうやったら羽目が外せるのよ。私はまだこんなに愛らしく幼気な幼女なんだよ」


日本だったら夜でも賑やかな場所があって遊ぼうと思えば遊べたけど、それでも今の私は幼女だよ。外出禁止だよ。それにこの世界で夜開いてる店はどう見ても怪しい感じだしそもそもみんな寝てるよ。


「ではでは、美味しい食材探しは絶対に私とですからね! ヴィオと美味しい物見つけて内緒で食べるのも無しですからね」

「うん、それだけは誓うよ」

「えぇー。他は違うんですかぁ」

「出かけたら何があるか分からないでしょう。そこまでは約束できないよ。私も嘘はつきたくないしね。でももし美味しい物見つけて食べるときはピアにはちゃんとお土産で持ち帰るよ」

「約束ですよ。破ったらお嬢様の罪が増えることになりますからね」


えっ、その程度でも私の罪がさらに増えることになるの。約束は破るものなんて誰かが言ってたけど気をつけなくちゃな。それに食べ物の恨みは恐ろしいって言うしね。


「ではもうそろそろいいだろうか。お嬢様もよろしいですか」


さすがにヴィオが痺れを切らしたみたい。でもいつもよりピアに優しい感じ? やっぱりヴィオもピア抜きで出かけることに何か思うところがあるのかな?


「うん、お願い」

「じゃあ行ってくるね」

「お嬢様~。絶対に約束忘れないでくださいよ~」


葵は泣きながら手を振るピアに見送られ、ヴィオに軽々と抱かれ空へと飛び立った。



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