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「えっと、もしかしてこの人たち・・・」


多分今までにどこかから浚われてきた人たちだ。目が死んでるよ。

葵はけして大事に扱われてはいない女性たちのその現状に目を覆いたくなった。


「取り敢えずこれはあなた方への天罰です」


コンコンコンコン!!


この場合でも天罰を下すんだ・・・。


「ねぇピア。その天罰でこの人たちのここでの記憶も消せるの?」


そうすれば体の傷はともかく心の傷は少しは癒やされるんじゃないのかな。


「犯した罪を思い起こさせる事はできても記憶を消すのは無理ですよ~」

「そんなぁ・・・」


この人たちがこんな目に遭わなければならない罪っていったいどんななんだよ。容姿が綺麗で運が悪いだけだったら辛すぎるでしょう。


「お嬢様、でしたら僭越ながらこの私がお嬢様のご希望にお応えしましょう」

「ホント!」

「勿論です。しかし彼女たちにはもう戻れる場所も無いでしょう。ですので少し役に立っていただこうかと考えていますがよろしいですか?」


そっか、この人たちは家に帰っても別の風評被害にでも会いかねないのか。本当に胸くそ悪くなる酷い話だな。でもだからってそれよりはマシってレベルの話だったら論外だよ。


「何か酷いことをさせたりしないよね?」

「お嬢様の作るミサンガの生産数を増やせないかと強い要望がございまして、お嬢様にご負担をかけるなど論外ですので、この際この者たちに早急に覚えさせ作らせようかと考えています」


ピアと二人であんなに頑張って作ってるのに足りないのかぁ。それで外注に出すってことか。

でもそんなに売れてるんだあのミサンガ。それはちょっと嬉しいかも。みんなもやっぱり不便に感じてはいたんだな。だとしたらこの世界が衛生的になるのもそう遠くないって事だね。


「でも中には帰りたい人だって居るかもしれないし適性が無くて作れない人も居るでしょう。その場合はどうするの」

「分かりました。浚われた記憶は残しここでの記憶だけを消去します。その上で話し合い残った者にはミサンガ作りを、そして適性が無かった場合は他の仕事をさせましょう」

「無理強いをしないならいいわ。お願いね」


いくら嫌な記憶を消されてもその後に望んでもいない事をさせられるのは私だって嫌だわ。最終的にどうするかはちゃんと自分の意思で決めたい。


「私も手伝います!」


そうだよね。ここで何もしなかったら天使でいる意味が無いよね。悪人成敗だけが役目の訳ないし。それにこの人たちに浄化魔法を教えられるのはピアしかいないしね。


「それでお嬢様、私はしばらく忙しくなりますのでその間この屋敷にご滞在いただきたいのですがよろしいですか」

「分かった。この屋敷で大人しくしてればいいんだね」


要するに休暇って事だよね? ヴィオもピアも忙しいんだから迷惑かけないように大人しくしてればいいんだよね。それなら任せて、私の得意分野だわ。

まだ読んでない魔導書の類いも残ってるし、念願だったゴロゴロダラダラ生活ができるんだよね。一日中惰眠を貪っても誰にも文句言われないんだよね。もうそれってどう考えても最高じゃん。


「お嬢様にも多少急ぎでミサンガを作っていただけると幸いです」

「ええぇぇーー」


私に負担をかけるのは論外って言ってなかった? まぁ、必要ならやるよ。自分で言い出して決めた事だしちゃんとやるよ。やればいいんでしょうやれば。


「ピアも頼みましたよ」

「任せて!」


ピアも当然やる気満々なんだね。でも何を頼まれたのかちゃんと分かってるのか? その笑顔を見るとなぜか不安になるわ。


「はぁー・・・」


私の休暇は幻だったかぁ。


「お嬢様、勿論適度にお休みいただいてかまいませんよ。休養は必要ですので」


ホント!? そりゃそうだよね。当然だよね。やっぱり分かってるじゃんヴィオ。


「了解! ホワイト案件で実行しておく!」


適度に休憩しながら実質八時間労働でいいんだよね。それなら余裕でOKだよ。そうと決まれば落ち着ける部屋を見つけなくちゃ。こんな胸くそ悪い部屋は勿論のこと、広すぎても豪華すぎても落ち着けないからね。

ヴィオもピアも思う存分自分のしたい事を実行してください。私も久しぶりに気分的にまったりさせていただきます。


「あっ、ピア。ご飯とおやつは忘れないでお願いね」

「お嬢様はホントそればっかりですね」


そればっかりって事もないと思うけど。ピア、それあんただけには言われたくないわ。



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