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「それでこれからどうするのです?」

「まずはこの場所を破壊し、召喚に関する物を完全に消滅させるつもり。ピア、ここの他にも召喚できるような場所はあるの?」

「ええ、禁忌とされる召喚技術を隠し持つ国は他にも四つほどあります」

「じゃあ、そのすべてを破壊する。これから間違っても召喚なんて禁忌が行われる事のないようにね」

「分かりました。ご案内はお任せください」


取り敢えずの目的は見つけたがその前に・・・。


「服をどうしよう・・・」


さっきまで身につけていた服はダブダブで着られそうもない。もし着られたとしても元の世界の服ではこの世界では目立つだけだろう。


「それならこの私にお任せください」


ピアが自分の耳の脇でクルクルと指を回すとダブダブに纏わり付いていた服がみるみるうちに可愛いワンピースドレスへと変貌を遂げ葵にピッタリのサイズになった。

驚いた、下着までピッタリサイズだよ。


「使えるじゃない」

「素材があればそのくらいのことは簡単です!」


褒められたことが嬉しかったのかピアは自慢げに胸を張っている。


「それじゃあヴィオもピアもその姿をどうにかしなさい」

「「どうにかとは?」」

「このままずっとこの俗世でその悪魔や天使の姿でいるつもり? せめて人間に寄せて擬態することはできないの? できないなら隠れてもらうしかないけど、まさかこの私にこれから先ずっと一人で旅をしろとは言わないわよね」

「ご命令とあれば」

「仕方ないわね」


言ってみるもんだね。できるんだ。

ヴィオは二十代中盤の執事の姿に、ピアは同じくメイド姿に変貌を遂げる。

人間に擬態したヴィオは眼光鋭いといった感じの切れ長な目が特徴的なスッキリショートヘアで細マッチョ的高身長のなかなかのイケメン。

これって絶対に私の記憶にある推しを参考にしてるよね!


そしてエルはゆるふわウェーブのセミロングが柔らかい雰囲気を作っているが、羨ましいほどのナイスなスタイルを持つキラキラの美人さん。

あんたたち二人とも目立ちすぎだから! これじゃいくら着飾っても私はただの引き立て役だよ!? 負けた気になるじゃん。まぁ、幼女は最強って言うからね。これからは可愛さで勝負することにするよ。


「まぁいいわ。取り敢えず始めましょう。ココの破壊はヴィオあなたに頼める?」

「私はそういう破壊活動はあまり得意ではないのです。急ぎそういう事に長けた眷属でも召喚しましょうか?」

「そういう魔法に関してはお嬢様の方がお得意かと思いますよ」


いつの間にかお嬢様呼びになっているピアがとんでもないことを言い出した。


「私に魔法が使えるの?」

「ええ、その才能と魔力量を見込まれて召喚されたようですよ」

「もうそういう事は早く言ってよ。で、魔法ってどうやって使うの?」

「あっ、お嬢様は幼児化したせいで力が弱まっているのでした・・・。これから修練に励まれるのをお勧めします。そうすれば今まで以上となり得ます」


自分のことのように自信満々に話すピア。葵は相変わらずのポンコツ天使に期待を持たされた分ガックリと肩を落とす。


「魔法が使えるようになるなら練習くらいするよ」


ふぅ・・・。ホントため息しかないとはこのことだよ。持ち上げて落とすみたいなやり方はちょっと勘弁してよね。


「マスターはそのままでよろしいかと、面倒ごとはすべてこの私めにお任せください」


きっちりと執事的礼をするヴィオが格好良すぎて鼻血でそう・・・。

悪魔なのに動作まで洗礼されていて美しい。


「お願いね♡ それよりヴィオも私のことマスターじゃなくてお嬢様って呼んでよ。そうじゃないと慣れないわ」


っていうか、お嬢様と呼ばれたい。


「御意」


なんだかヴィオの悪魔的要素がだんだん薄くなってきている気がするね。気のせいか?


「ピア。取り敢えず私にココを破壊できる魔法を教えてよ」

「お任せください」


ピアはダイナマイトのようなこの場所を破壊する魔法ではなく、紋章を跡形もなく消し去る魔法を教えてくれた。

これだと今の幼児となった私の魔力でも無理なく使えるらしい。色々と応用が利きそうな魔法だね。えっ、練度が上がると人の記憶も消せるですって!? それってヤバい魔法なんじゃないの? でも、まぁいいか。今考えても仕方ないことだしね。


葵たちは紋章を無事消し去り真っ黒な部屋の出口を探し外へ出ると、どうやら地下だったようで上り階段が続く。そして階段を登りきった先に王城があったのには驚いた。

それにその王城内には誰一人として人間の気配がないのにもびっくり。無音の世界。綺麗な王城内なのに少し不気味。


「ねぇ、もしかしてだけど・・・」

「ええ、この王城内に居た人間の魂はすべていただきました」


当然ですと言わんばかりのヴィオにやっぱり悪魔は悪魔なのだと少し背筋が寒くなる。そして葵は目の前の事実に今になってとんでもない悪魔と契約したのだと思い知ったのだった。



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