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どう考えてもこれって人攫いだよね。もしかしてピアはこいつらの話に出いているお館様と呼ばれる元締めまで成敗するつもりなのか。だから大人しく掴まったのか。だとしたら暴力を振るわれなかっただけ良かったのか?


ヒヒィ~ン!


突然馬の鳴き声が聞こえたと思ったら今まで高速で走っていた馬車がゆっくりとした速度になり揺れも少なくなった。


助かった。身体強化で痛みは防げても揺れには抵抗できないからもうちょっとで馬車酔いするところだったよ。それでなくてもこの荷馬車乗り心地が悪いんだから丁寧な運転を心がけてよね。ホントもう失礼しちゃうわ。


「お嬢様ご無事ですか」

「んう~、ううぅ~うううう~うううぅう~ううぅ~」

ヴィオ、絶対に助けに来てくれるって信じてた。


「お嬢様をこんな目に遭わせた者はどんな理由があろうと絶対に許せません。今すぐに消滅させましょう」


こんな目に遭わせた張本人はピアだよ。ピアを消滅させるのはちょっと勘弁して。私が困るから。


「待って、これには理由があるの」

「お嬢様に穢れた手で触れるなどどんな理由があろうと絶対に許せません」


そんな怖い顔しないでよ。さすがに私には何もしないだろうけどかなりビビるわ。


「助けに来てくれてありがとう。お陰でこうして何事もなく済んだわ。だからちょっと落ち着いて」

「私は十分落ち着いております。でなければこの場に居る者たちはすでに全員消滅させています」


今一瞬ピアのことも見なかった? まさかその全員にピアは入っていないよね?

って、ピアの縄はほどいてあげないんだやっぱり。仕方ない私がやるか。


「ピアとね悪人の成敗をしようって話になって、今その元締めらしき人の所へ案内させてるところだったの」

「そうですよ。元から絶たなきゃ効き目がないって言うでしょう」


ピアってばそんなウジ虫退治みたいな言い方しなくても。って言うか、ヴィオにそんな自慢気にしても意味ないと思うよ。


「それはちょうど良かった。私も貴族の傀儡を欲しいと思っていたのです。こやつらの元締めたる貴族は私の好きにして構いませんねお嬢様」

「え、ええ。勿論よヴィオ」


ピアってば何をそんな悔しそうにしてるのよ。ヴィオの威圧に抵抗できるなら自分で言いたいこと言いなよ。


「好きにするってどうせ消滅させてお終いにするつもりでしょう」

「あなたは何を聞いていたのです。私は傀儡が欲しいと申しましたよ。簡単に消滅させる訳がありませんよね」

「ねぇ、ちなみにその傀儡にするってどういう意味か聞いてもいい?」

「文字通りですよお嬢様。あの商人はその性格や才覚も必要でしたから意識だけを多少弄りましたが傀儡となりますと自我もなくなりただの操り人形となるのです。勿論最後はその魂ごと私がいただきますが」


えっと、違いが良く分からないけど要するに悪人が一人減るって事でいいんだよね?


「ピア残念だったね。折角元締めまで案内させてもその元締めに真天罰は下せないみたいだよ」

「仕方ありません。その他の者はもれなく私が天罰を与えますがいいですよね」


どうしてそんなに強気でいられるのピア。


「ええ、かまいませんよ。雑魚など私が相手にするほどの事でもない」


ヴィオもそれじゃまるで喧嘩を売ってるみたいだよ。ピアが雑魚しか相手にしてないって。ほら、やっぱりピアの顔が怖くなったじゃない。止めてよ二人とも。私は仲間内で揉めたくないよ。


「じゃあ私は二人の邪魔にならないように大人しくしてるね」

「お嬢様は私がお守りいたしますのでご一緒いただきます」

「お嬢様は私と悪人成敗するんですよね?」


こ、困った。これは二人の内のどちらかを選べって言ってるよね。私的には敵地だしどんなヤツが居るか分からないからヴィオと一緒に居たいけど、それを言ったらピアは絶対に拗ねるよなぁ。そうなるとまた面倒なこと言い出して面倒な事しでかしそうで不安だし・・・。ここはもうあの手を使うしかないな。


「三人で一緒に行動しよう。そうすれば間違いないよね」


どうよこの必殺美少女の微笑みは。私の渾身の微笑みだよ。これに免じて二人とも仲良くして。


「・・・・・・」

「お嬢様なんですその気味の悪い笑顔は。まぁでもお嬢様がそう言うなら三人で行動してもいいですよ」


ピアには私の必殺は効かなかったか。でも二人とも納得してくれたならまぁいいか。


葵たち一行は暴漢に案内された貴族の屋敷に着くと屋敷中の人たちに片っ端からピアが張り切って真天罰を炸裂させ、そして最後にヴィオがその屋敷の主を傀儡化させ執事を僕化していた。

葵はその間目立たず騒がず二人の後ろに隠れるようにして付いていくだけだった。



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