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「ところでさ、天罰の与え方って何がどう変わったの?」

「天罰の与え方は変えませんよ。天罰にレベルを付け確実に執行できるように頑張りました!」

「天罰のレベル?」

「そうですよ。人間生きている限り誰しも罪を犯します。それに見合った天罰のレベルを考えてみたんです」


えっと、なんだか色々方向性が違ってる気がするけどそれで良いのか?


「ちなみに一番軽い天罰ってどんなの?」

「たんこぶができるんです。ちなみに足の小指をテーブルの脚にぶつけるような痛みです」


痛っ。今想像して思わず痛みを感じた気がしたよ。微妙に嫌な天罰だね。


「じゃあ一番重い天罰ってどんな感じになるの?」

「意識はしっかりとしているけれど、意識しか動かせずその寿命が尽きるまで生かされ続ける天罰です」

「嫌だわ。そんな天罰私は絶対に嫌。周りの人たちまで不幸にしそうじゃない」

「周りの人にどう扱われるかも含めた罰です。考える時間だけはありますから改心することもあるかもしれませんが、もうすでにすべて遅いって感じですね」


そっか、罪を悔いてもどんなに辛くても死ぬまで自分自身と向き合うことになるのか。それは本当に辛い人生になりそうだ。せめて寝ている間くらいは幸せな夢が見られると良いけど、きっと夢の中でも例の被害者側を体現させられ続けるんだろうな。そもそも天罰って考えが悪魔的じゃない? 


「ちなみに私だとどんな天罰を受けることになるの?」

「お嬢様ですか。そうですね・・・。目が見えなくなるか口がきけなくなるか味が分からなくなる、または歩けなくなる等の内のどれかですかね」

「ちょっと待って私ってそんなに重い罪を犯してたの?」


今まで生きてきて法律に触れるようなことはした覚えがないよ? 無自覚の内に人を傷つけることがあるのは知ってるけど、それにしてもそんなに重い天罰を受けるほど誰かを傷つけてたの?

あっ、親より先に死ぬのは親不孝って言うけど、お父さんもお母さんもいきなり姿を消した私を心配してるだろうな。やっぱりそれも私の罪になるの? 私は不可抗力だったのに。


「お嬢様、これでも身内贔屓でだいぶ罰を軽くしているのですよ。そのレベルの天罰って事で、実際お嬢様にどの天罰が下るかはお嬢様の罪次第なので私でもまだ選べないですけどね」

「えぇぇーーー! そんなに? そんなに重い罰を受けなくちゃならない罪って私がいったい何をしたというのよ」


本当に何も覚えがないよ。でもそのレベルの天罰をどうしても受けなくてはならないなら、どうか口がきけないって方向で許してください・・・。それでもだいぶ不便だけど。


「まずヴィオをこの世界に召喚したのは不味かったですよね。あの時この世界を滅ぼそうとしたでしょう。他にもこの私に略奪の手助けをさせましたよね。まぁ他は微々たる罪の数々ですから全部は言わないでおきますけど」

「・・・ごめん。まったく罪の意識も無かったわ」


さっきの祈りを返せ! だいたいこの世界に召喚さえされなかったらその罪は犯さなかったよ? って事はやっぱり悪いのはアイツらで、私のせいじゃないよね? いや、でも、そう考える時点でダメなのか? やっぱり私は到底聖人君子にはなれないわ。


「お嬢様ご安心を。その罪はこの私がすべて引き受けましょう」


やめてよ、罰は受けたくないけど誰かに自分の罪を背負わせるなんて私には無理。それにヴィオの目が見えなくなったり歩けなくなったりしたらこの世界では私が途端に困るじゃない。


「お嬢様が困るようなことを私はしません!」


ピアも同じように考えてくれてたんだ。今、自分のことを超利己的なヤツだと落ち込みかけたけど、ヴィオへの罪悪感をピアと分け合った気がするよ。天使も同じ事を考えるならギリセーフだよね? これ以上罪を増やしたくないよ・・・。


「それは残念」


全然残念そうな顔じゃないよ。もしかして私やピアを試したの?


「それよりお嬢様。これからはこの私、ガンガン天罰を与えていきますから!」

「ガンガンって、それ死語だよ。それにそんなに積極的に動いたら色々大変じゃない?」

「何がですか?」

「世界中の全員に天罰を与えるのは無理でしょう。結局不公平って事で新たな罪を生むよ。それにピアは今は目的のある私と旅してるんだからそんな暇はないよね。売られた喧嘩を買うくらいにしておこうよ。天使に喧嘩を売るなんて運が悪かったって事で」

「折角特訓したんですよ」

「別の機会に生かしてよ」

「そうですね・・・」


そうがっかりしないでよ。


葵は間違っても自分が天罰を受けることがないようにと願いながらピアを説得したのだった。



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