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隣のエルンスト国とは山脈とそこから流れ出た川が国境になっていて、抜けるには険しい峠を越えるか橋を渡るしか無かった。


馬車で移動する葵たちは橋を渡る選択しか無く、橋の手前に設置された関所で厳しくチェックされるのか街道は馬車渋滞が起きていた。


これじゃあ戦争をするのも難しいよね。だから禁忌の召喚に手を出したのか。その前に戦争をしないって選択は無かったのだろうか。


「あともう少しなのに面倒ですね」


ヴィオは飛んで移動していればすぐだったのに、馬車移動を選択したもどかしさを感じているようだった。


「慌ててもしかたないよ、お陰でミサンガ作りがはかどってるよ」


渋滞でイライラするのはどこの世界でも共通なんだね。それにしてもこの行列、この国中の商人全員逃げ出そうとしてるんじゃ無いの? えっ? 商人だけじゃ無いのか。情報や判断の速い人が平民にも居るんだね。


「少し見て参ります」


ヴィオってば意外にせっかちなんだな。渋滞でイライラしないのには諦める心を持つのがコツだよ。考える時間を貰ったと思って人生を豊かにする為に使うのも良いんじゃない。まぁ時間の使い方は人それぞれだけどさ。


「お嬢様、動き始めましたよ!」

「ホントだ。急にどうしたんだろう」


もしかしてヴィオが何かしたのかな・・・。

今まで遅々として動かなかった馬車がスムーズに動き始めた。


「お帰りヴィオ。もしかして何かした?」

「出国する者たちに賄賂を強要しているようでしたので反省していただきました」


それってピアの必殺技の出番っていうか役目じゃ無いの? ヴィオが何をどうやってそんな悪いやつを反省させたっていうの?


「えっとぉ、まさかとは思うけど魂を抜いたりしてないよね?」

「まさか。この程度のことで魂までは抜き取りませんよ。少しの間仕事に忠実になっていただいただけです。ついでに商人たちから取り上げ溜め込んでいた賄賂はいただいてきましたけどね」

「それって犯罪だよね!」

「お嬢様に不便をかけさせた慰謝料です。このくらいは当然でございましょう」


当然って・・・。確かに私もお城でピアに同じ事を言ったけどさぁ。それに考えてみたらこの世界の法律を知らないし、今更取り上げた人たちに返すのもできないだろうし、悪いやつが得をするのはちょっと面白くないからまぁいいか。その分困っている人に還元することを考えよう。


「それよりヴィオは疲れてないの? 大丈夫?」

「お気遣いいただきありがとうございます。大丈夫ですよ」

「お嬢様それより手が止まってますよ。次の街に着くまでに終わらせるんじゃ無いんですか」


ピアってばまた顔が怖いよ。ピアの前で下手にヴィオにお礼も言えないんだね。でも確かにピアだって頑張ってミサンガ作ってくれたし浄化魔法の付与も手伝ってくれてるのにまだお礼も言ってなかったね。


「ピアも私に付き合ってくれてありがとう。凄く助かってる」

「どういたしまして」

「早く終わらせたいけどやっぱり馬車が動き出すとやりづらいね」

「そうですね。でもやると決めたのはお嬢様ですからね」


分かってるよ。分かってるんだけどね。ピアってばちょっと頑張りすぎじゃ無いの? 


「だってさぁ、この山になったミサンガ見てると終わりが見えなくてさぁ・・・。せめて少しずつ出してくれないかな?」

「私の成果をお嬢様にきっちり見て貰おうかと思いまして」


えっ、そんな意図があってのことだったの? 私はまた仕事を手際良く進めた結果だと思ってたよ。


「ピアが凄く頑張ったのはちゃんと見てたよ。仕事も早くてホント助かってる。ありがとう」

「やっぱりお嬢様には私が必要ですよね! 分かってくれたんならいいんです」


ピアを必要無いなんて言ったことなかったよね? でもそんなこと思わせてたのなら反省反省。


「私にはピアが絶対に必要だから。居なくなられたら本当に困るから。私がピアを無意識にでも蔑ろにしたら態度で示すんじゃ無くてすぐに言ってね。私って言われないと気づけない人だからさ」

「分かりました。これからはきっちり言わせて貰います!」

「ホントそうして」


ふぅ・・・。ピアの機嫌が直ったようで良かった。ホント人間関係って難しい。って、相手は天使だけどね。



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