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レガリスは王都へ行くのを渋っていたようだったが、誰も居なくなった屋敷でしばらく放心したあと意を決して出かけていった。

どこへ行ったのかははっきりとは分からない。王都の家族の元へ行ったのか、それとも人生をやり直す為に自立するのか、どちらにしても今までの横暴な態度はもうできないだろう。


葵はと言えば誰も居なくなった屋敷の客間で本を読むか食べるか寝るかのダラダラゴロゴロ三昧を満喫するかのように過ごしていた。

道を踏み外さないと誓った思いはいったいどうした?


だってしかたないじゃ無い。ここは日本とは違うんだよ。スマホも無ければパソコンもテレビも無い。だけど仕事へ行かなくても食べていけるなんて幸せの極みじゃない? 多少の不便さは感じるけどもうこのままでも良いかなって思うのは悪くないよね。だってこんなにのんびり過ごしたのは本当に久しぶりなんだもん。


「お嬢様、商人たちが街に着いたようです。私は出かけますがお嬢様はどうなさいますか?」

「お嬢様。食材を仕入れるんじゃ無かったですか? このままじゃお嬢様がリクエストする物を作れませんよ!」


何言ってんの、リクエスト通りの物を作ったことはないじゃない。しかしまぁ、やっぱりダラダラゴロゴロ三昧は無理かぁ・・・。


「一緒に出かけるよ。考えてみたら街も見てみたかったんだ」

「それが良いです!」


もしかしてピアってば屋敷に籠もった生活に飽きてたの? そんなに出かけたかった? 早く言ってくれれば良かったのに。でもヴィオは結構勝手に一人で出かけてたよ。ピアも同じようにすれば良いのに。何だろう一人じゃ出かけられない人なの? ああそうか、ピアが一人で出かけたらもめ事の種だったねこの国じゃ。ホント女一人で自由に街も歩けないなんて不便極まりない。やっぱり滅びればいいよこんな国。


ピアが暇に任せて作った洋服の数々を広げ着替えを要求してくる。

出かけるって言ってるのにファッションショーなんてしている時間は無いよ? ああ、出かけるからか。もう適当で良いよ、見せる相手も居ないし。えっ、ダメ? 一緒に歩くピアのテンションも変わるのか。そうだね幼女にも天使にもお洒落はは必要だったごめんね。


「とっても可愛いです~」

「ピアのセンスが良いんだよ。ありがとう」

「それほどでも無いですよ~」


満足して納得してくれたならホント良かったよ。これでやっと出かけられる。


「ヴィオ、街でまた絡まれても面倒だからずっと一緒に居てね」

「御意」

「あっ、でも考えてみたら絡まれたらピアがおたま攻撃すれば良いんじゃない? それだったら別行動も可能だよね」

「そうですけど、私ではお嬢様を守れるか不安です」


言われてみればそうだね。それにおたま攻撃は目立つし人目の多いところでは控えた方が良いよね。


「ごめん変なこと言った。じゃあ行こうか」


葵たちは街で商人たちと合流すると荷馬車を渡し、ヴィオは商人と打ち合わせる話があるらしくかなり待たされる事になった。なのでその間身体強化の魔法を練習して暇を潰した。


身体強化の魔法はそのまま身体が強化される物だと思っていたが、けして筋肉が強化される訳ではなく魔力で作られたパワースーツを全身に身につける感じだった。いわばそのパワースーツを柔軟になめらかに使いこなす練習みたいなものだ。


だから初めのうちは全身に纏わせる練習から始め、そのまま柔軟に動く練習に入ったがこれがなかなか難しかった。何しろかなり強化した魔力が相手だからね。気を抜くとロボットみたいなギクシャクとした動きになってしまう。


「ピア、これ難しいよ」

「練度が上がればもう少し薄い魔力でも強度を強くできます。頑張ってください」

「そもそもさぁ、私は何を想定してこの魔法を練習しているんだろう」


確かにあの時この世界を滅ぼしたいと考えてはいたよ。でもそれは身体強化を必要とするほどの強敵と戦う事を前提にした覚えはないよ。召喚の紋章をすべて消し去ったらあとはできれば普通に平和に過ごしたいんだよ。


「お嬢様は荷馬車での苦痛を楽にしたいと言ったのを忘れたんですか?」


ああ、きっかけはあの体の痛みだった。本当にこの身体強化で楽になるの? この練習で逆に筋肉痛が起きそうだよ? 


「まあさ、始めたからにはやるよ。ちゃんと身につくまで頑張るよ・・・」

「そうですよ、何事も無駄と言うことはありませんからね!」


そんな眩しい笑顔を向けられても・・・。言っていることは正しいのは分かるよ。でもなんかこうさぁ、ピアが言うとちょっと不安になるはどうしてだろうね。

葵は多少の不安を覚えながらも身体強化魔法の練習に励むのだった。



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