表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/41

11


街道まで戻ってくると盗賊たちも意識を取り戻していて自分たちの犯した罪を悔いて項垂れていた。

悔い改めているならもう大丈夫だよね。これからは持っている者から奪うことを安易に考える行動は慎んで欲しいよ。それに苦労して手に入れた物の方が大切にできるしね。


ヴィオはリーダーを僕にするとあの村を開拓し農業に力を入れるか他国へ引っ越し仕事を見つけるかなど話し合いを始めた。

なんだかんだ面倒見が良いんだね。悪魔なのに。


結局最終的に僕とした商人に仕えることになった。ヴィオはこれから商人の店を全世界レベルの商会にするつもりらしい。情報の入手と私たちの旅の助けにすることを目的にしているみたいだ。

簡単では無いと思うけどきっと成し遂げてしまうんだろうな・・・。


盗賊たちとは国境に近い街で落ち合うことにして葵たち一行は馬車に乗り込んだ。人を乗せる為の馬車ではなく荷馬車だから乗り心地はちょっとアレだけど、幼い体で歩いていたことを考えれば移動速度だけは速くなって便利だった。


そして移動中はやることもないのでピアに教えて貰い魔法の勉強をしていた。

始めは魔法に関しての知識。魔法の危険性に始まり歴史的な知識や可能性。そして発動方法や種類等など、ピアは教えるのが楽しいのか目を輝かせて話し続ける。


話はとても興味深いけどじっとしているから体中が痛くなってきたよ。退屈とは言わないけどそのせいで集中力が途切れるんだけど、もっと効率の良い教え方ってないものかね?


「ねえピア。そろそろ実際に魔法を使ってみたいんだけど何か教えてよ」

「今ココで使える魔法ですか?」

「そう。例えばこうして狭い場所に座っていても苦痛が無くなる魔法とか痛んだお尻が楽になる魔法って無い?」


荷台に積まれた荷物の隙間に体を潜ませている感じなので窮屈極まりなかった。


「それでしたら回復魔法か身体強化魔法ですかね!」

「荷台が狭いのならやはり荷物を収納してしまいましょうか?」


ヴィオが御者台から声をかけてきた。

だからそれは街に入るときに不審がられるから止めようって決めたじゃない。この荷物全部売り払うつもりなんでしょう。


ヴィオの考えでは今積んでいる荷物をすべて売り払いお城から貰ってきた武器や防具や装飾品の類いを隣国へ行ってから売り払うつもりらしい。

国の紋章が入っていないしあの国が戦争する為に備えていた物なのでどこの国でも需要がありそこそこの高値で売れるそうだ。そしてそれを資金に商店を大きくしていく考えらしい。


その辺の政治的問題や商人的知識は皆無なので黙って見守るしかない。第一アレもコレも持ち出したのもスケールの大きな事を考えているのもヴィオだからね。口だけ出そうなんて愚かなことは考えないことにするよ。


「取り敢えず街までの辛抱でしょう、大丈夫だよ。お陰で魔法の発想や練習にはなるしね」

「そうですね。お嬢様。では早速教えますね!」


えっ、魔法って教えますねで覚えられるものなの? そんなに簡単ならもっと早く言ってよ。って、そういえば召喚の紋章を消滅させた魔法もかなり簡単に使えてたわ。あの時は気分が上がってて夢中になってたからなぁ。気分が落ち着いたらすっかり忘れてたよ・・・。


「そういえばピアが持ち出したあの本も読んだ方が良いんだよね?」

「あっ! そ、そうでした」


ピアはお城から持ち出した本のことをすっかり忘れていたらしい。ふっ、やっぱりピアはピアだった。

本を読むのはまた今度にして早速身体強化魔法と回復魔法を教わり練習を始める。


「そういえばさ、私ってあの時より魔力が増えてる気がするんだよね。何でだろう?」


あの消滅魔法を使ったときは自分の魔力量の限界を見た気がしたけれど、ピアに教わって身体強化魔法を繰り返し練習していてもあまり魔力の減少を感じない。


「申し訳ございません。それは私が適度にお嬢様の魔力をいただいているのが関係していると思われます」


申し訳ないって言いながら絶対にそうは思っていないよねヴィオ? 口調が笑ってるよ。


「まあ、なんと言うことでしょう!」

「魔力は適度に使い巡回させないと滞り固まってしまうのはあなたもご存じじゃないですか。私はお嬢様のことを考えてそうしているのですよ」


絶対に違うと思う。私の魔力の味が忘れられないだけじゃないの? でもそれで他人の魂を欲する悪魔的欲求が抑えられるなら別にいいけどね。あっ、もしかして抱っこされてたときに優しげに微笑んでいたのは私の魔力を吸い取っていたからなのか? もうヴィオってば、なんだか騙されたような気になるじゃん。ホント、ピアといいヴィオといい勘弁してよ。


葵は悪魔と天使という二人の仲間を前にこの先を思いやりため息をつくしかなかったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ