すごいね、アン・サツシャさん。
ドッカーン。べキッ。
アニメだったらそんな音がついてそうな感じで王子様が吹っ飛んでお城の壁に頭からめり込んだ。
心配だからと一緒にお城に着いてきたアン・シャツサさんのワンパンチによって。
ツインテ女が一生懸命、王子様を引っ張ってるけど女の人には難しいんじゃないかな。周りの人達は助けようともしないし、王子様お友達いないんだね。元気だして!
「きゃー!!!しっかりしてください、アレクセイ様ぁ」
ちなみに、アン・シャツサさんってアンさんとシャツサさんどっちで呼ぶべきかな。お姉ちゃんは全部読んでたからどっちで呼ぶべきか分かんないや。男の人だし、シャツサさんがいいよね!
なんて思ってたら、王子様が壁からボコっと頭を取り出して、私を指さしてシャツサさんにワンパンチされる前と同じことを言ってきた。
「婚約破棄など認めない!お前は俺のために馬車馬のように働くのが仕事だろう、なんのための俺の婚約者なんだ。分かったら、さっさと帰れ!」
笑止千万である、何となく今使うべきかなって思ったどこかの主人公が言ってたやつである。
「アレクセイ様。残念ながら婚約破棄については既に陛下にも申請させて頂いております。もちろん、婚約破棄に至る証拠や理由などの書類についても提出済みでございます。そもそも、本日偶然会うことがなければこのまま穏便とは行かないまでも、婚約解消という運びになりましたでしょうに、なぜお会いに来られたのか…」
口から出るのはアンジェラお姉ちゃんっぽい言い回しだから不思議。こういうところが、この身体が私のじゃないって確信を持てるところ。
「ええい、うるさいうるさいうるさあああああい。お前は黙って、私の言うことを聞いておれば良いのだ!!」
ママが見てたドラマ、花よりお菓子の俺様ヒーローよりもわがままで人の話を聞かないなこの王子。いかにイケメンでお金持ちでも人の話を聞かない人とはお付き合いできないわよねって、ママがドラマみて呟いてぞ。イケメンでも強引なのは許されないのだ。
俺様、ダメ絶対、守る、常識!なのだ。
どうしてやろうかこのポンコツ男と思っていたら、シャツサさんがどこからか兵士さんを連れてきてくれて、王子(笑)はどっかへ連行されて言った。
さよなら、ポンコツ王子!