私そんな名前じゃない
「これは、どうしてか分かりませんが、精神年齢が退行してしまっていますね。理由は分かりませんが、身体の方に異常はありませんし、頭の方も何処か打ったという訳でもないとの事ですし……念の為、治癒魔法もかけましたが変化はありません」
「変化がないじゃないわ!明日は王立学園の卒業式だとだというのに。この子は王太子様の婚約者として、出席しなきればならないのよ!?有能な医者だというから雇っているのに無能じゃないの!いいわ。他の医者を呼ぶから。誰か!この無能を叩き出してちょうだい」
「お母様、落ち着いてください。アンジェラが脅えてしまいます。それに、ロディア医師は我が王国一の医者でもあり、国王の信頼も厚いお方。他の医者などを呼んでは、派遣して下さった国王の顔に泥を塗ってしまいます。」
うるさい。うるさくて仕方ない。このおばさんとお兄さんもみんなどっか行ってくれたらいいのに。
頭が痛いよぉ。がんがんする。
それに気持ち悪い。泣いていたら、メイドの女の人がこの身体の家族に私の様子が変だって密告したらしい。
そしたら、あっという間にベッドに寝かされて医者に見てもらうことになっちゃった。
それであの何とかって言うお医者さんが手からきらきらした何かを放出したって思ったら、この身体の記憶を思い出した?吸収した?みたいになっちゃった。
あのきらきらは治癒魔法だってこの身体の記憶が訴えるから、その魔法のおかげで記憶が浮上?したみたい。
まだ混乱してるからこのうるさい人達、お医者さんもどっか行ってよ!
「騒々しいから、出て行って。少し寝たいわ」
「アンジェラ!元に戻ったのかい?」
「そうよ。でも、まだ混乱してるから外に出て行ってちょうだい」
そういうとみんな出ていっちゃった。
メイドさんにお茶を入れて貰ったから、飲んで落ちつきたい。うううう。まだ頭が痛いよぉ。
でも、この身体の人のことを知って元の私の身体に戻らなきゃ。
「私はアンジェラ・マリアージュ。誇り高き公爵家の娘。この国の次期王であるアレクセイ・リアン・ヒステンブルクの婚約者ですわ」
口からスルッと出てしまった言葉を理解する前に、頭の奥からいろいろな記憶が溢れ出して、今まで以上の頭の痛みに私は意識を失ってしまった。