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Bar.アジール  作者: ぼんだ
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閑話(大学生のひとりごと)

 ピピピピッとなる目覚ましの音で心地よい眠りから否が応でも現実に引き戻される。部屋に散らかった服を見て、そうだ、昨日あの後はめんどくさくなってそのまま寝てしまったんだった、、、と思い出す。

 それにしても面白い体験だったな。と思い返しながらカーテンと窓を開けていつものルーティンを始める。お湯を沸かして、顔を洗い、歯を磨き、お湯を飲みながらフローリングの掃除をする。これで一日が始まるのだ。

 今日は休日、大学生の休日は(僕だけかもしれないが)バイトが無ければ予定が詰まっている日なんて滅多にないもので、今日はどうしようかと朝ご飯を作りながら考える。もう一度あのバーに行ってみようか、でも肝心のオープン時間を知らないため行くとしても昨日と同じ12時前後だな。とりあえず愛知の猛暑の中日中に外に出るのは自殺行為だ。こんな時に彼女でもいたらなー、とぼんやり考える。つい半年前まで1年以上の付き合っていた彼女がいたかが、こっぴどく振られてしまった。今思えば彼女に負担をかけていたとも思うし思いやれていなかったとも思うが、当時の自分には彼女に執着していたし、だからこそか一挙手一投足に振り回され疲弊しきっており、気使う余裕も自分と向き合う余裕も無かった。そんな辞めてしまえと思う恋ではあったが大好きだったのだ。

 だから、バイトのない週末をその彼女とばかり過ごしていた。結果、一人だとやることがないのだ。おしゃれなカフェ?一人で行くにはキラキラしすぎだ。ショッピング?そんなのネットで十分。旅行?んー、悪くはないけど。詰まるとこ出不精で何もする気が起きないのだ。大好きな彼女がいた時は調べる気概もあったし、それなりに胸を高鳴らしていたがその労力を自分のためだけとなると何とも力が出ない。外が涼しければ散歩にでも出るかもしれないが、こんな熱い中出る選択肢はない。あー、彼女に悪いことしたな、とは言え嫌なこともされたな、でもそんときには別れてたか、気を使わせていたな、、、結局悪いやつではない自分が至らないだけだ。


「あー、しんど」


 思わず声に出る。そんなぐるぐるとした思考と醜い未練を持ちながら、ただただ夕日が落ちるのを待った。

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