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Bar.アジール  作者: ぼんだ
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初夜

 「なんで夜なのにこんなに暑いんだよ、」

 大学生になって2年目、の夏。もともと住んでいた田舎から愛知県に引っ越し、今まで何とかやってきた。だけど愛知の夏は地元と比べ物にならないほど暑い。暑いにもほどがある。

スマホの画面に映る時間は22時を過ぎているのにも関わらず、スライドした画面は気温がいまだ28℃もあることを示している。愛知に来て2回目の夏だがこの異常なまでの暑さは慣れない。なにより蒸し暑い。


 友人と駅周りで飲んだ帰り、少し遠いが家まで歩くことにした10分前の自分に文句を言いたい気分だ。だが悪い事ばかりではない。未だ慣れない道をふらっと歩くのには何となく興がある。例えばあんなところにラーメン屋があるのか、なんて発見があって良かったりする。と言っても10時を過ぎているのだ、空いているお店自体ほぼないのだが、、、

 不思議な雰囲気な扉が視界に入る。木製の重厚そうな扉と花壇が暖色の照明でライトアップされ住宅地にそぐわない雰囲気がある。まさかこれは、と思い近づいてみると照明でよく見えなかった看板がはっきりと見えた。


 ”Bar.アジール”ただそれだけ書いてある。バー、アジール?agile?それはアジャイルか、それより家の近場にこんなバーなるものがあるとは。しかしこちらは20歳を超えたばかりの大学生。興味は湧くもののこんな格式高そうな、バーなるものに、しかもこの重そうな扉を開け入っていく勇気はない。

 でも少し気になるなぁ、と考えていたら扉がゆっくりと開き、意外にも恰幅のいいいかにも中年というような男性が出てきた。びっくりして固まてしまう。


「お、すまないね。見ない顔だけど飲んでいくのかい?」


 お酒が入っているからか気さくに話しかけてきた。やんわり否定しようとしても、びっくりしたせいか、はたまた開いた扉の奥の不思議雰囲気にあてられたのか言葉が出てこない。


「行くならおすすめはモヒートだよ。夏は自家製のシロップに同じく自家製のミントを使ってるんだ。これがまたおいしくてね。あ、迷惑だったかな。おじさんのつまらない話だと思てくれ。それじゃ。」


 ご機嫌そうなおじさんは鼻歌交じりに行ってしまった。


 しばらく考えた僕は、これも大人になる一歩か、、、なんて思い意思を固めた。ドアノブに手をかけ扉を引く。さて、これが吉と出るか凶と出るか、

 

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