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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ジェネレーション・ホームズ 読み切り

作者: 日常に入り浸り

これは友人に言われて投稿する小説です。続編前日譚等は作る予定はありません。しかしもし筆者がその気になったら作ろうと思います

主要人物

保頭ほず 斜肋しゃろく探偵 主人公

火戸ひと 存斗そんと 医師

旭川あさかわ みなと 警視庁捜査一課警部

??? 犯罪のスペシャリスト

ーーーーーーーーーーーーーーー

 日本の首都、東京

 そこには、ある私立探偵がいる。頭脳明晰、運動神経抜群、顔良しスタイル良しの完璧超人

趣味がサイコパスなことを除けば

 東京、渋谷。人が集まる大都会

 その中の一つのマンションの29階に探偵は住んでいる

「大丈夫かな?」

 その部屋の前にたたずむ一人の女性。彼女は部屋のインターホンを押すのをためらっていた

 すると後ろから声をかけられた

「あの…」

「あっ、すみません」

 彼女は後ろに立っていた男性に頭を下げる

「依頼ですか?」

「は、はい」

「では中へどうぞ」

 女性は男性に部屋に入れてもらった


 部屋の中はとても散らかっていた

「はぁ…斜肋。お前な。片付けぐらいしろよ」

「別に俺はこれで構わない。逆に集中できる」

 部屋の奥で椅子に座り外を眺める男性がいる。この男こそ探偵の『保頭 斜肋』である。そして玄関で声をかけてきた男性が、保頭探偵の助手であり医者の『火戸 存斗』である

「依頼人が来てるんだ。依頼を聞くぞ」

「ああ」

 保頭探偵は立ち上がり、別の椅子に座る

「どうぞ」

 保頭探偵の対面の椅子に女性は座る

「とりあえず名前は?」

「はい。水谷みずたに 由香ゆかと申します」

「で、依頼というのは?水谷さん」

「実は最近、仕事帰りに視線を感じることがありまして…」

 水谷は少し体を震わせながら最近起こったことを話す

「最初は気のせいだと思っていたのですが、仕事帰りは必ず、休みの日でも視線を感じるようになってしまって。そして1週間前には血で紙に『あなたを愛しています。どうか結婚してください』って殴り書きしてあって…」

 火戸医師は彼女の前にお茶を置き保頭探偵の横に座る

「それは、警察に言いましたか?」

「はい。ですが警察も誰がやっているのか分からず、1週間前に届いた紙もなくなっていたので、夢の中の出来事だろうといってそれ以降、調査してくれなくて」

「………」

 保頭探偵は彼女の話をただ無言で聞き続けたが彼女が紙をなくした話をした途端立ちあがった

「証拠もなかったらそりゃ警察も動かないよな。そして俺もだ」

「え…?」

「斜肋…」

「俺は証拠もない話には付き合わない。もしこれで本当に夢の話ならどうすんだよ。はっきり言って時間の無駄だ」

 そう言い放ち保頭探偵はその場を去っていった。水谷は少し泣いていた。そんな彼女を見て火戸医師は彼女に優しく声をかける

「斜肋はこんな性格ですが根はやさしいです。なのできっとあなたの力になりますよ」

「いえ…もう大丈夫です。迷惑な押し付けですみません」

「あ、あの…」

火戸医師が彼女を止めようとするがそのまま彼女は出て行ってしまった

「全く、素直じゃないから面倒なことになったぞ。斜肋」


 一方保頭探偵は警視庁に向かっていた。そして顔見知りの警部、旭川あさかわ警部に会った

「なあ旭川。水谷さんのストーカー事件の調査はどうだ?」

「あれは彼女の夢の中の話。私たちは今調査してないよ」

 旭川警部がそういった瞬間保頭探偵は机を思いっきり殴った

「なめてんのか?お前ら警察は本当に無能だな」

「君こそいい加減見つけてきたらどうだ?犯罪の王、犯罪卿を」

『犯罪卿』という名前がでた瞬間、保頭探偵の顔がこわばる

「俺らだって、あいつを放置している訳ではない」

 それを聞くと旭川警部は後ろにある調査資料のうち、1個を取り出す

「これが水谷さんの調査資料だ。これを見てもまだ彼女が本当のことを言っていると思うのか?もし調査したいなら別に止めないが…」

 旭川警部はたばこを取り出し火をつける

「フゥー。俺たちは協力しないぞ」

「そんなこと言いながらもこれを出したってことは協力するんだろ?」

 そういって保頭探偵は資料を持ち警視庁を後にした


 夜7時、保頭探偵と火戸医師は働いている警備会社の玄関から出てきた水谷の後をつけていた

「分かってると思うが、彼女のストーカー被害。なかなか深刻だろうな」

「ああ。そもそもおかしいと思っていたさ」

 彼女をつけていき、彼女の家に到着する。一軒のアパートだ。彼女が家の鍵を開けて入ろうとした瞬間、水谷は悲鳴を上げた

「「!?」」

 保頭探偵と火戸医師は走って水谷のもとに向かう

「どうしました?」

 火戸医師は水谷の肩を支えて保頭探偵は中を見る。その瞬間、保頭探偵の顔が一気に青ざめる

「こ、これは…」

 そこには血を流してうつぶせに倒れる男性がいた

 保頭探偵は急いで中に入り脈を計る。だが首を横に振った。すでに死んでいる

「マジか」

「くっ、存斗!警察に連絡!水谷さんはその場から動かないでください!」

「分かった」

 火戸医師が携帯で警察に連絡する

「まさか…」

 水谷は『まさか』と声に出す。それを保頭探偵は聞き逃さなかった

「あの…まさか?とは。もしかして顔見知りですか?」

「は、はい。その人は私の元カレです」

「元カレか」


 警察が到着し、現場検証をしている中、水谷は事情聴取を受けていた。保頭探偵は旭川警部にもらった資料を確認する

「ストーカー被害でさらに殺害…そもそもこの人がストーカーだったのか?」

 保頭探偵は頭を抱える。いくら頭脳明晰な名探偵でもヒントが無さすぎるため真実にたどり着けない。すると事情聴取を終えた水谷さんが帰ってきた

「旭川警部、事情聴取の結果を」

 保頭探偵は事情聴取の資料を受け取る

(被害者は澄田すみだ 順平じゅんぺい28歳。水谷さんとは同級生で16歳から交際を始める。しかし関係は徐々に悪くなる一方で18歳になったとき澄田さんの浮気が発覚して別れた。よくある恋人事情だ。その後、澄田さんは人生も狂い始めてパチンコや競馬に明け暮れる日々が続いて、お金を求めて電話をしてきた。それを断ったらいきなり怒鳴り散らし、『絶対に君を取り戻す!』と言い残し電話を切られた。なんだ、ストーカーが誰かわかっていたのか…じゃあなんで警察にこのことを言わなかった?まさか…)

「水谷さん。一つ聞きたいことがあるんですけど」

 保頭探偵は水谷に近づく。だが水谷はずっと死体を睨み続けていた

「………」

 保頭探偵は水谷を見て確信した

(犯人は水谷さんだ。証拠もある。今ここで推理ショーでもおっぱじめたいが、なんだ?このムズムズする感覚は…まるで推理が違うと体が警告しているようだ…)

「斜肋!」

「!! どうした?」

 考えに没頭していると火戸医師が声をかけてきた

「大丈夫か?」

「ああ…」

 保頭探偵は少し考える

「なあ存斗。お前は犯人は誰だと思う?」

「………はっきり言って水谷さんが怪しいな。だが被害者の生前を見るとほかの人の可能性もある」

「だよな…」

「だが一つ気になることがある」

「え?」

 火戸医師は死体を指さす

「この死体、死亡推定時刻が今日の朝7時なんだ。いくら警備会社に働いている水谷さんでも7時に死体があったら気づくだろ」

「!!」

 保頭探偵はその瞬間、鳥肌が立つほどの推理が思いついた

(そうか!なるほどな!!)

「存斗、手伝ってくれ!」

 保頭探偵はいきなり火戸医師の肩を掴む

「ちょっといきなりなんだよ」

「これから楽しい楽しい推理ショーが始まるぜ」

「うわっ出た」


 保頭探偵は水谷を呼び出した。近くの公園のベンチに座り話を聞く

「今日はずっと質問だらけで申し訳ないが何個か聞きたいことがある」

「はい。なんですか?」

 水谷はまだ少し気が動転しているようだった

「あなた、事情聴取でうそをつきましたね?」

「え?何のことですか?」

「事情聴取の資料を見ると気になることがあったんでね。澄田さんがあなたに電話をしてきてお金を求めたって、あれ逆でしょ?あなたが澄田さんにお金を求めた」

「!」

「知っていますか?犯罪卿という名前を」

「さあ、知りませんね?」

 水谷の頬に一滴の汗が流れる

「あなたは警備会社で働いている。なのに会社に頼らずに、自分で守ることもせずに警察と俺に頼った。もしかしてあなたは助けてほしかったんじゃないですか?」

「確かに私はストーカーを止めてほしかった」

「いえ、あなたはストーカーをする澄田さんを止めたかったんではなく、借金を取りに来た澄田さんを殺せと命じてきた犯罪卿から助けてほしかった。そうじゃないですか?」

 水谷の目から大粒の涙があふれてくる

「いえ…違います。私は!」

「大丈夫です。あなたの家族も助けますから。犯罪卿に人質にされているんでしょ?あなたの家族は」

「………ッ」

 すると後ろから誰かが近づいてくる。その人は右手に金属バットを持っている

「!?」

 水谷が後ろにいる人影に気づき保頭探偵に教える

「急いで逃げて!でないとあなたが犯罪卿に殺されちゃう!」

「逃げるわけありませんよ。この人は別に犯罪卿ではありませんし」

「!!」

 後ろにいた人影は火戸医師だった。だがその後ろに人影がまだいる。その人を見た水谷は後ろに後ずさりする

「約束を破る気ですか?水谷さん」

 火戸医師の後ろにいる人影は火戸医師を思いっきり殴りつける

「な!存斗!!」

 その後ろの人影は黒いフードを深く被り手には火戸医師から奪った金属バットを持っている

「約束は破りません!」

「じゃあそいつらを今すぐ殺せ」

「そんな…こと…」

「水谷さん!大丈夫です!」

 犯罪卿がバットを振り上げた瞬間、周りがライトで照らされる

「くっ」

『そこまでだ、犯罪卿。お前を逮捕する令状なんていくらでも出てるんだ。お前を逮捕する』

 そこには大量の警察と旭川警部がメガホンを持って立っていた

「旭川!油断するな!!相手は犯罪卿、何してくるかわからないぞ」

 すると犯罪卿は懐から煙球を取り出す

「!! 煙球だ!」

『絶対に逃がすな!!』

 保頭探偵と旭川警部と警官たちが走り出す。しかし煙球が爆発し周りに煙が散乱する

「くっ」

「保頭 斜肋。現代のシャーロックホームズよ。また会おう」

「犯罪卿!!!」

 煙が消えたときには犯罪卿の姿がなかった

「くっ、逃げられた」

 後ろを見ると水谷は泣き崩れていた。しかしそこに水谷の家族が現れる

「え?」

「大丈夫?由香」

「お母さん?」

「何てことしたんだ、由香」

「お父さん?」

 泣き崩れる水谷に旭川警部が近づいてくる

「この人たちは昨日の時点で発見されていた。そしてつい1時間前に意識を取り戻してね。ここに連れてきた」

「あ…あ…」

「このことを早く君に言っておけばこんなことにはならなかった。すまない」

そういって旭川警部が頭を下げる

「…別にいいですよ。家族を助けていただいてありがとうございます」

そして水谷は俺たちに一礼して警察に連行されていった

「結局、犯人は彼女だったんだな」

「ああ。彼女は犯罪卿に利用されたんだ。お前には真相を伝えたろ?」

「あれか?」


「犯人は水谷さんだ。おそらく彼女は犯罪卿に利用されたんだ。彼女は澄田さんと婚約したが、彼女がパチンコや競馬にハマってしまい、澄田さんから婚約破棄を言い放たれた。だが彼女はそれを許すことができずに澄田さんからお金を盗んでいた。それに気づいた澄田さんは借金として彼女に取り立てにいった。そこで犯罪卿に命令された水谷さんは澄田さんは殺した。おそらくストーカーというのは澄田さんを悪役に仕立て上げただけだったんだ」


 翌日、水谷さんの父親から依頼料をもらった

「1000万円!!!!」

 保頭探偵は急な大金に驚きを隠せずに叫んでしまった

「水谷さんの父親はどうやら実業家だったらしく…こんな額…」

「え…えぇ…」

 保頭探偵も火戸医師も困惑したが、250万ずつもらい残りの500万は水谷さんの父親に送り返した

「さすがに大金すぎだしね」

「ちょっとあれはもらえねぇや」

                         END

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