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プロローグ
時間の流れは生き物によって異なる、大きな象の幼少期が小さな蟻の一生であったりする。時間の流れは年齢によってことなる、大人の少しという言葉は子供には嘘に感じられることがある。時間の流れは感情によって異なる、幸せな1年の思い出よりも孤独な1日は耐えかねる。
だから我々の永遠もそれぞれ異なっていて、私は孤独に日々を引き伸ばされないために、様々な思い出を呼び起こすのだ。
我らは古く世界が産声をあげた時から存在し、ふさわしいものに望む力を手に入れる手ほどきをする妖精の類だ。どれほど前だったか世界が魔族と人間のものとして分断された時手ほどきした者が勇者と呼ばれていたことがあった。だから我らの住む森は成長の森と呼ばれ、我らは進化の妖精と伝記に載せられている。
まったくはた迷惑なことだ。観光気分のものがむやみに森に入ってきてかなわん。…話が逸れたが、つまりこれは勇者の物語ではなくその伝記に少し出てくるちょっとした妖精の紡いだ日々を綴ったものである。