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第一話 


高校1年生になるとギルドで探索証を発行することができる。


俺は探索者としての第一歩を踏み出すために先日配布された高校の制服と学生証をもって友人たちと意気揚々とギルドの扉を開けた。


窓口には受付嬢がいて俺らのほうににっこりとほほ笑んでくれたがあいにく対人スキルが人並みな俺は肩をすくめて愛想笑いをすくことしかできなかった。


「初めての方ですか?」


そう問いかけてくる受付嬢。高校の制服を着てギルドにくるやつなんて高校生探索者ならたくさんいるだろうにまるで俺のあふれ出る初見オーラを見破られたみたいだ。まあきっとこの時期は新規登録する人が多いんだろう。そう思って俺はうなずくと


「では学生証の提示お願いします。固有スキル情報を発行いたしますのでしばらくお待ちください。」


すぐさま学生証を渡すとしばらくは待たされるようだ。国が管理している個人情報にアクセスし自分のスキルを見せてくれるらしい。人は生まれつき固有スキルを持っていて、魔力の配列の仕方でスキルの詳細が分かるらしい。高校生になるまでは国がその情報を管理しており本人は知ることができない。これは様々な利権が絡んでいそうだけど建前の理由としては道徳をしっかり身に着けてからでないと危険だかららしい。とはいえAランク以上の希少性が高く強力なスキルを持つ子供は国がひっそりと集めているといったうわさもあるが。


「優くん楽しみだね~」


そう言ってにこにこしているのは幼馴染の百瀬綾香。幼稚園からの腐れ縁で俺が探索者を目指し努力し始めてからは綾香も俺のトレーニングに付き合ってくれている。本人も探索者になることには特に抵抗はないらしく

必ず高ランク探索者になると意気込んでいる。目鼻立ちがはっきりしており化粧なんかはしてないみたいだが中学の時は相当な頻度で告白されていた。


「できればCランク以上のスキルだといいね」


そう言うのは中学からの付き合いである高波颯。なんでもそつなく器用さと整ったイケメンフェイスの二つを持ち合わせていていいやつだけどたまに嫉妬してしまう。


いまギルドにはこの二人と俺の三人で来ているが正直俺だけ浮いてると思う。

二人と違って顔は普通だし綾香は地毛が茶髪で颯は金髪に染めているなか俺はいたってありふれた黒色だからだ。探索者になるためにある程度トレーニングは積んだとはいえ一般的な高校1年生の範疇に収まるので自慢できるのはちょっと頭がいいことぐらいという何とも情けない特徴しかない。


ふと周りをみると俺らと同じような新米探索者をほかの探索者が自分のパーティやクランに勧誘されていた。その中のほとんどはきっと良い固有スキルを持っていたのだろう。


探索者にとっての第一関門として挙げられるのはやはり良い固有スキルを持っているかだ。

颯の言うように固有スキルはCランク以上でないとかなり厳しいだろう。

スキルのランクは明確な基準はないためF~SSSランクまであるが細かいランクがわかることはあまりない

ほとんどがB~Aランクといった評価を受けることになる。


スキルの性質によってランクも変わってくるのでわかりずらいがたとえば火魔法適正Ⅰなんかは代表的なCランクスキルで火魔法の熟練度を110%に高めてくれるものであり探索者としての方向性も決めやすくシンプルながら強力な固有スキルだ。

火魔法はスキルとしてのちに習得することができるが火魔法適正Ⅰは固有スキルのみなのだから固有スキルの重要性がわかるだろう。

現在世界中の探索者たちの中で上位勢と呼ばれる者たちの固有スキルのほとんどはB~SSSランクで固められておりCランク以下で探索者として大成するのは厳しいといわれている。


そんなこんなで3人で駄弁っていると先ほどの受付嬢に呼ばれた。俺らの固有スキルの詳細が分かったらしい。


「お待たせいたしました。まず百瀬様の固有スキルですが火魔法適正Ⅲでした。おめでとうございます!」


「やったぁ!!火魔法適正ⅢっていったらAランクスキルのなかでもあたりなほうだよね。アヤは魔法使いになりまーす」


手をぶんぶん振り回しながらよろこぶアヤ。Aランクとか探索者の1%も持ってない。


正直うらやましすぎるが同じパーティを組むことを約束しているのでいい火力枠ができたと素直に喜ぶ。


「次に高波様ですが経験値増加Ⅰです!素晴らしいスキルです」


「よっし、これで足を引っ張らずに済むね」


颯もめっちゃ良いスキルだ。取得経験値を上げる効果は固有スキル以外では装備の効果のみでありスキルにはない。経験値増加ⅠはBランクに該当する。上位を目指すことも可能なスキルだろう。


さて俺がトリに回されたわけだが前二人がこんなにもいいとプレッシャーだ。

どうにかCランク以上のスキルであってくれと思いながら受付嬢の言葉の続きを待つが、受付嬢は言いずらそうに口をゆがめる。


「その...川瀬様の固有スキルですがデータベースにまだ登録されていない効果でして...」


「覚悟はできてます教えてください!」


もうこの時点で嫌な予感がびんびんしていたがまだだれも持っていない効果と聞いて少し心がはずむ。


「川瀬様の固有スキルは装備の心得という名前でして効果は装備のステータスなどがわかるというものです」


装備のステータスは魔力の配置から固有スキルと同じように調べることができる。


まごうことなきFランク。俺は目の前がまっくらになった...















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