表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷魔法の弓騎士 ~パン屋の息子は騎士になる~  作者: もっちゃれら
第一章 訓練生編
14/45

第14話 試合3 準決勝

読んでくださってありがとうございます!

準決勝。

オレとトーマスは向かい合う。フェイスオフだ。


入団試験では頼りにしていた。騎士にならなければいけない理由も知っている。

立派な男だと尊敬もしている。

だからこそ、ここで超える。


「負けねえぞ」


トーマスの刺すような見下ろす眼を、正面から受け止める。相変わらず、デカい身体だ。


「オレが勝つ」


眼で射殺すつもりで決意をぶつける。


「両者、所定の位置へ」


オレとトーマスは振り返り、一歩ずつ進む。十メートルの距離を空けて向き直る。

表情を崩さず、大地を踏み締めるように立っている。その姿からは、地面そのものと繋がっているような、揺るぎない自信が感じられる。

奴の得物は大柄のメイス。土魔法使いは打撃重視らしい。


「準備はいいな・・・始め!!!」


コンラッド教官の合図で、同時に魔力を拡張する。

まずはエーテルの奪り合い。奴の魔力を広範囲に感知するが・・・薄い。

魔力操作はオレに分がある。

前面に魔力を集中させ、奴の背後のエーテルまで支配した。


「よし」


奪られたことを察知するや否や、トーマスは舌打ちをしながら岩壁を生成した。

直ぐに守りを固めることは賢明だな。

直ぐに魔法を使うことでエーテルを消費し切り戻ってくるエーテルを再度支配して足りない分を補う算段らしい。


ならば。


早速切り札を使ってしまおう。

魔力を岩壁の向こうへ集中させ始めたその時、真下に魔力を感知した。

これは無視できない。


急いで()()へ飛び込み、その場から離脱する。その瞬間、後方で()()が大地を突き破った音がした。危なかった。


集中する時間は無さそうだ。


直ぐに発動できる魔法をと、オレはトーマスの周囲の地面を凍らせ走り出す。

次いで左手を振り翳す。瞬間、冷たい霧が立ち上り氷剣が手に現れる。


先手を取るべくオレは直進する。目の前に生成した氷の台を使い岩壁を飛び越え、上からの攻撃を狙う。

同じタイミングで岩壁が勢いよく粉砕され、メイスが顔を出す。


目の前にオレがいないことに気付いたトーマスは、眼だけで周囲を見回したあと上を見上げた。


「オラァァ!!」


脳天目掛け大上段から剣を振り抜く。鋭い冷気が剣から漏れ出し、空気を切り裂く音が耳に届く。

だが、奴は冷静だった。


メイスを氷の刃と交差するように受け止める。その瞬間鈍い衝撃が腕を伝い、剣を通して全身に広がる。


「さすがに重いな・・・!」


剣を引き戻し、奴の胸元を蹴飛ばしてバック転で距離を取る。だが、トーマスはその隙を逃さない。


「逃がすかよ!」


今度はトーマスが、メイスを振り下ろす。

それを右に避けると、鈍い音と共に地面が抉れた。

すかさず振り上げてきたメイスは、岩塊を纏っていた。


一撃でも貰ったらやられる。


縦横無尽に振り回されるメイスを紙一重で回避し続ける。

攻め終わりを狙うが、トーマスの体力は尽きる気配がなく、避け続けるのはそろそろ限界だ。反撃に出るしかない。


「いい加減食らいやがれ!」


「上等だ!」


真上からの重撃に、全力で剣を振り上げ迎え撃つ。

そして当たった瞬間に少しだけ手首の力を抜く。岩鉄の塊が氷の刃を滑るように逸れてゆく。

そのまま、氷剣を振り抜く。

氷剣は、狙い違わずトーマスの顔面に吸い込まれ、無数の小さな氷片がオレとトーマスの目の前に舞い上がった。

斜めに斬り上げた剣は赤く染まり、トーマスの顔から鮮血が舞う。

確実に勝利がオレに傾いた。


だがトーマスは諦めなかった。


勢いのまま後ろに回り込み止めを刺そうとするも、見事な回し蹴りを頭に受け無様に吹っ飛ばされた。

何とか立ち上がるものの、視界がふら付く。

それはトーマスも同じで、激痛に顔を歪めている。


一瞬の静寂の後、オレとトーマスは同時に動いた。

明らかに集中を欠いたトーマスは、巨大なメイスを手に全力で突進を仕掛ける。


「ウオオオオッ!!」


――トーマス、氷魔法使いにそれは悪手だ。



魔法を発動し、奴の足元を凍らせる。

滑って勢いよく転倒したトーマスは、自らの武器に肩を打ち付ける。

痛みを堪え、立ち上がろうとするトーマスを前に、オレは氷剣を振り抜く。

剣先を彼の喉元に突きつけ、静かに言い放った。


「勝負ありだ」


トーマスは息を荒くしながらも、苦笑いを浮かべる。


「お前、強ぇな……参ったよ」


コンラッド教官の声が響く。


「勝者、ルーカス・フール!」


周りの歓声が耳をつんざく中、オレは剣を捨て手を差し伸べる。


「いい勝負だったな」


トーマスは少し照れくさそうにそれを掴んだ。


「楽しかったぜ」


「ああ、オレもだ」


「二人とも、お疲れ。いい勝負だったよ」


ロイと水魔法の教官が来てくれ、手当てをしてくれる。ロイが大きな水筒を開けるとフヨフヨと浮いてきてトーマスの顔を包む。

すると、トーマスの顔の傷が、みるみるうちに治っていく。


「ちょっと苦しいけど、すぐ終わるから我慢してね」


顔を水で覆われ、苦しそうにするトーマスが面白かった。

互いに笑顔を見せながら改めて握手を交わし、試合場から離れてそれぞれの属性の所へ戻る。


「お疲れ様。いい戦いだったじゃない」


「ありがとう。一つ違えば負けていたけどな」


次は、決勝だ。

ここまで来たら優勝したいものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ