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【コミカライズ決定】悪役令嬢に転生したら正体がまさかの殺し屋でした  作者: 結月 香
2部 旅立ち

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序章

 爽やかな風が吹いていたあの晴天の日、私は旅に出た。


 本当は一人で行くはずだったのに、どういう訳か総勢六名での出発になってしまった。

 これは本当に痛恨の極みだ。


 私の名前はレリア・ルーン・メルクリア。

 恋愛シミュレーションゲーム《ローズオブキング》の悪役令嬢である。


 元々は地味なアラサーOLだった私は、ひょんなことからレリアに転生した。

 厳密には、こっちの世界でのちょっとした事件をきっかけに、魂が切り離されてこの世界のレリアの身体に憑りついた状態なんだけど、ややこしいから転生したと思う事にしている。


 前世の私はこのゲームの大ファンだった。


 しかし、悪役令嬢のレリアには、ファンにも知られざる裏の顔があった。


 メルクリア侯爵家は代々暗殺を生業にしている、殺し屋の一族で、レリアもまた、殺し屋見習いだったのだ。


 そして十七歳になった私に初めて与えられた暗殺任務の標的は、第一王子のジークだった。


 結論から言うと、私はしくじった。

 更に、それがきっかけでゲームのヒロイン、シルヴィの攻略対象であるはずジークに求婚され、最終的に本来シルヴィがなるはずの聖女に、私がなってしまった。


 その後ちょっとした事件もあり、追い打ちをかけるように、第二王子ルイスと王国筆頭魔術師のセインからも言い寄られ、平和にのんびり暮らしたいという夢の実現の危機を感じた私は国を飛び出そうとした。

 が、彼らに見つかって同行される事になってしまい、更に私の専属メイドのサーシャと、国王陛下からジークとルイスを連れ戻せという命を受けた騎士団長のアーネストまでついてきてしまった。


 ちなみにこの世界、私が知っているキャラクターの性格が軒並み変わってしまっていて、前世でゲームのファンだった私は発狂寸前だったりする。


 怠惰で女たらしのはずのジーク王子は、真面目で一途な俺様キャラに。

 優しい王子様キャラのはずのルイス王子は、コンプレックス拗らせ腹黒キャラに。

 インテリ系ドSキャラのはずのセインは、超絶ドMキャラに。

 真面目で硬派なはずのアーネストは、女好きのチャラ男キャラに。


 そして、前世の私の推しキャラだった悪役令嬢の兄ディアスは、クール系ツンデレキャラのはずが、シスコンでロリコンでヤンデレだった。

 これが何より、何よりも辛かった。


 一方ヒロインのシルヴィはと言うと、メンヘラのヤンデレキャラという、ヒロインらしからぬ性格で、ディアスに一目惚れして、かくかくしかじか今は一緒に暮らしている。はずだ。

 正直、この二人にはもうあまり関わりたくないので、頼むからそっちはそっちで平穏に暮らしていてくれと願うばかりである。


 ちなみに、この世界で十七歳までまだこの身体で生きてきた本物のレリアの人格は、前世の私の体に入ってオタク人生を謳歌しているらしい。

 夢の中に出てきたレリアがそう言っているだけなので、本当かどうかはわからないけれど。


 とまぁ、そんな波乱の予感満載の中、私達が最初に向かったのは、ウェスタニア王国の北東にあるブルーバード公国である。


 そこは、大陸最大の領土を誇るディーヴェス帝国配下の小さな国で、自然豊かで一年を通して過ごしやすい気候のため、避暑地として人気の土地だ。


 魔術師だけなら飛翔魔術で移動してしまうんだけど、サーシャとアーネストは魔術が使えないから、移動は原則徒歩だ。


 飛翔魔術は、魔術師ではない者を飛ばす事もできるが、魔術師が単身飛翔するのと比べるとかなりの魔力を消費してしまうのだ。

 短距離や戦闘中などに短時間だけ飛翔させる分には問題ないが、長距離移動となると魔術師側が相当しんどい思いをすることになってしまう。


 ちなみに、転移魔術はそもそも魔力の消費が激しい上に、移動人数と距離に比例して消費魔力が増えるという特性があるため、こういった旅では緊急時以外で使う事はほとんどない。


 まぁ、いずれにしても先を急ぐ度ではないから、徒歩移動に不満はないのだけど。


 そんな事情もあり、私達は王都から数日掛けてウェスタニア国境近くの村まで移動したのだった。

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