表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ決定】悪役令嬢に転生したら正体がまさかの殺し屋でした  作者: 結月 香
1部 はじまり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/94

第十三章 決着(3)

 目を覚ますと、見知らぬ天井と、心配そうに覗き込んでくるジーク王子の顔が目の前にあった。


「良かった! 気が付いた!」


 心の底から安堵した様子で息を吐く王子に、私は目を瞬いた。


 ああそうか、ベルフェール公爵邸の地下牢に飛ばされ、襲って来た男達を返り討ちにして、黒幕であったエリザを引き摺り出し、叩きのめしたところで気を失ったんだった。


「どこか痛むところはないか? 違和感は?」

「大丈夫よ……それより、私、どれくらい寝てた?」

「丸一日半ってとこだな。今は昼間だ。メルクリア侯爵には、お前のメイドを通じて知らせてあるから安心しろ」


 それを聞きながら上体を起こし、自分が寝ていた部屋を見てぎょっとする。


「ちょっと待って! ここは何処?」


 答えを聞くまでもない。

 この世界では見るのも初めてだが、ゲームではジーク王子攻略の際に見ている。


「王城の俺の部屋だ」


 やっぱり。

 ディアス以外のキャラクターも一周はプレイしていたのでわかっていたが、できれば違うと言って欲しかった。


「ってことは、殿下の部屋で一晩過ごしちゃったってことっ?」

「そうだが、何もしてないぞ? 意識のない女に手を出すほど飢えてないからな」


 ドヤ顔で返して来たが、論点はそこではない。


「そういう問題じゃないわよ! 婚約者候補でしかない私が、王子の部屋に一泊しちゃったこと自体がマズいのよ!」


 その一晩の間に何があったかは問題ではない。

 相手が王族である以上、一晩同じ部屋にいたというだけで、立派な既成事実になってしまうのだ。


 婚約者候補でしかなかった侯爵令嬢が、突然そんなことになったら、もう結婚までまっしぐらになりかねない。


「何が問題なんだ? 少なくともお前は俺の婚約者候補なんだ。誰も反対なんてしないぞ」

「反対されないからマズいのよ」


 私が何に困っているか、彼は本気で解せない様子だ。


 こうなれば家を捨てて逃げるしかないか。

 ベルフェール公爵が逆恨みして父に危害を加えかねないが、いっそ公爵にもエリザ同様に浄化魔術を掛ければ、思考も浄化されてそんなことなど考えないかもしれない。


 そこまで考えた瞬間、ふと思い出す。


「……そうだ、あの後ってどうなったの?」

「ああ、エリザは捕らえて、魔術師用の牢獄へ入れた。今ベルフェール公爵とクリフが事情聴取を受けているが、爵位剥奪及び、国外追放は決定的だ」

「そう……」


 国外追放となると、筆頭魔術師であるセインによって『国内に足を踏み入れたら死ぬ』という魔術を掛けられることになるはずだ。

 メルクリア家に対する逆恨みの報復行為については、ほぼ心配しなくて良いだろう。


 私は胸を撫で下ろした。

 それから、一番気になっていたことを口にする。


「……メルクリアとベルフェールの関係については?」


 その質問に、王子は苦虫を噛み潰したような顔をした。

もしよろしければ、ページ下部のクリック評価や、ブックマーク追加、いいねで応援頂けると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ