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序章

 大陸の三分の一を占める巨大な王国、ウェスタニア。

 歴代の国王は皆明君で、栄光と繁栄を誇ってきた。今代の国王も例外ではなく、王国は平和な時を刻んでいる。


 しかし問題は次期国王である第一王子、ジーク・ウル・ウェスタニアだった。

 不真面目で奔放、女好きで毎晩違う女を連れ込んでいると専らの噂で、次期国王として相応しくないという声が上がっているのだ。


 ジークが国王になることを反対する一派は、第二王子のルイス・ワン・ウェスタニアを次期国王に擁立しようと画策している。

 しかし、ジークは正妃の息子、ルイスは側室の息子であり、長い歴史の中でも、正妃に男児がいるにもかかわらず側室の子が王になった記録はない。


 ルイスを王に据えるなら法律を変える必要があり、安易に法律を変えるべきではないと唱える保守派とルイスを王に据えたい変革派で国内の有力貴族が真っ二つになってしまい、現国王も頭を抱えていた。


 そこへ現れるのが、この世界のヒロインであるシルヴィ・ブランシュという伯爵令嬢で、のちに彼女は聖女と呼ばれる存在である事が判明し、彼女と結ばれた方が国王となるのだ。


 ーーーーーというのが、この世界の舞台設定。


 そう、これはシルヴィを主人公とした恋愛シミュレーションゲーム『ローズオブキング』の世界。


 私? 私はこの国の侯爵令嬢、レリア・ルーン・メルクリア。現在第二王子の婚約者候補に名を連ねている。


 ある日王城で開かれる舞踏会に突然現れたシルヴィが二人の王子に見初められ、最終的にどちらかを選ぶというのがメインストーリーだが、私は突然現れて王子達に気に入られた彼女に嫉妬して嫌がらせしまくるという存在である。


 そしてヒロインがハッピーエンドを迎えると、悪役令嬢はそれまでの行いが露呈して断罪、処刑されてしまうのだ。


 何故私がそんな事まで知っているのか、それはこのゲームを前世で散々やり込んでいたから。


 先月迎えた十七歳の誕生日に、突然頭痛がして倒れ、前世の記憶と共にこのゲームのシナリオが蘇ったのだから驚いた。

 前世の私は、ゲームが趣味の冴えないアラサー独身OLだった。どういう訳か短い生涯を閉じて、この世界の、悪役令嬢に転生してしまったらしい。


 そこまではまだ良い。

 捻くれた性格だった前世の私は、レリアというキャラが決して嫌いではなかったから。

 

 レリアは前世の私とは正反対で、良くも悪くも自分に正直であり、そのため暴走してヒロインに嫌がらせをしてしまう訳だが、内向的だった前世の私には彼女の真っ直ぐさが少し羨ましかった。

 何なら、冴えないアラサーOLだった前世の自分とは似ても似つかない美少女に転生したので、前世の記憶が蘇った直後に鏡で自分の顔を見て小躍りした程だ。


 処刑されるというエンディングも、ヒロインに嫌がらせをしなければ回避できるはずなので、彼女がまだ登場していない今ならまだ何とかなる。


 問題は、悪役令嬢レリアの正体にある。

 レリアには、前世でこのゲームの大ファンだった私でさえ知らなかった裏設定があったのだ。

 

 実は、レリアの生家であるメルクリア侯爵家は、古くから秘密裏に暗殺家業を営んでいた。

 そう、レリアの正体は、殺し屋だったのだ。


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