男女関係と嘘と金属環
健治と秀治は、珍しく健治が主導して手頃なチンピ団を襲撃することにした。
「いくらか物資とチケットは手に入るかもしれねーけど、キャリアには届かないだろ?」
と秀治。
「だから、キャリアを頂戴する」
と健治。
「ちょっと待て。キャリア持ってるようなのは、手頃なチンピ団じゃねーだろ?」
「だから、奪うで無く頂戴する」
「お、おぅ」
「大丈夫だ。俺たちならヤれる」
根拠は無いが、秀治もやれるだろうとは思っていた。
採らぬ狸の何とやらだが、低級BPARすら手に入るかもしれない。
秀治は不確定式の皮算用も始めていた。
「資源輸送隊が入ってきたようだな」
秀治が皮算用で注意散漫になっていると、健治が立ち止まって呟く。
ゲートが稼動しており、厳しい重低音とともに巨大な隔壁が開きつつある。
健治は1秒ほどゲートを見つめ、
「アレをヤろう」
と言い出す。
「……は?」
同じくゲートを見る秀治。
「おいおい、アレは無理だろう? 下手すれば工部局に逆戻りだ」
「できる」
自信満々の健治。
「……オーケー了解だ。で、どうやる?」
「こうだ」
健治は秀治に作戦を手短に説明した。
***
歓楽区『大世界』にある高級連れ込み宿。
その紫と金と桃色で彩られた豪華な一室に、ブーツ以外を全裸にされたカリンとバロスがいた。
カリンは散々バロスにケミカルよりも強い合成酒を飲ませた。
ただその一点に彼女は集中した。
羞恥心は既に無い。
体中に奴隷の環を埋め込まれた裸身を晒そうとも、相手は既に散々それを晒したバロスなのだから。
「ぶひひ。オマエには工夫が無いな。いつも同じだぁ」
とバロスは強い酒を率先して呷る。
「そうだよ。アタシにはもうあんたを殺すなんて気は無いんだ」
と殊勝なフリをするカリン。
「そうかぁ。じゃあ、特注の奴隷の環をぶちこんでやらねーとなぁ。ぐひひ」
とバロスはゲームに飽きたナニカのような顔で、豪奢なテーブルの上に直径20cmくらいの金属環をゴトリと置く。それは、環というよりは鈍器と言った方が正確だろう。
あんなモノを体に入れられたら、死ぬ。200ミリクラスの砲弾を輪切りにしたようなそれは、自重で人体を破壊するだろう。
「冗談だよね? パパ」
と青褪めながら言うカリン。
「お前とのゲームはつまらなかったな。ぐへへ」
と真顔で返すバロス。
「や、やめておくれよ。何でもするからさぁっ!」
とカリンは後退る。が、すぐに桃色の壁に後退を遮られる。
「ぶひひひひ。オマエにはもう飽きたんだ」
とバロスが特注の環を手に立ち上がり、カリンを追い詰める。
あげても無意味なことは熟知している悲鳴をカリンがあげそうになった時、部屋の入り口が開く。




