表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/29

ゲームやろうぜ♪

死霊皇帝(マサル)は超次元に潜む観測者であり、介入者である。

彼はこの世界の大部分の真実を観測している。


『明示的に、20世紀後半から21世紀にかけて地球人類は自らを支える基盤を解体し、それを進歩だと思い込んでいた。

少なくとも、そう思い込んでいた層が多数派だった。

自身らを多様で複雑な生命体であると思い込んでいた地球人類は、それが誤りであることに現時点でも気づいていない。

腹が減り、クソをひり出し、水を欲し、寒過ぎても暑過ぎてもダメ。繁殖のために複雑なプロセスを必要とし、時には強制的に行わなければ種が存続できない。

つまり『他から何かを得ないと生存できない。そして生存しなければ活動できない。活動しなければ種の存続すらできない』という様々な動植物と同様の絶対法則を抱えている生命体。

それが複雑なわけがないのだ』


と結論している死霊皇帝は、元人類として億年単位で人類を眺め、介入し、遊んできた。

だからなんだという話だが、死霊皇帝の遊びのターゲットになった駒は、否応無く災厄に巻き込まれるだろう。


分かりやすく数値化してみよう。

この世界独自のシステム値である『存在力』という値がある。言わばマネーのような値だ。

平均的な大人の男性で300。

秀治の存在力は2000。

健治の存在力は2100。

死霊皇帝の存在力は超次元を除外してこの世界限定で計測しても約777京であり、これは超次元からいくらでも足すことが出来る。

「数字は嘘をつかない」という必ずしも正しく無い妄言を信じる限り、この世界の人類は死霊皇帝に抗う術は無い。

ゆえに、否応無く災厄に巻き込まれるしか無いのだ。そして、そこに慈悲は無い。


オンリーナウ! オンリーミー! レッツ エンジョイ&ジェノサイド!

「今だけさ! 自分だけさ! さぁ、楽しく大虐殺しようぜ!」


この世界に関われる最高位の勝ち組である死霊皇帝の声もまた、絶対である。

人類の大多数がその誤りに気づくまで、は。


***


話はおよそ5ヶ月前に遡る。


死霊皇帝は秀治と健治では無く、漆黒の爪のトップである闇の炎侯レンゴクに目をつけた。

ボット(アンデッド)化した人類を使い、彼にチケット提供とチェンジャーが扱わない武装を提供する。

パーフェクトでクレバーだと自認しているレンゴクは、当初いぶかしんだ。しかし人類は弱い。目先のストレスと大きな利益に対しては特に弱い。

ずぶずぶと死霊皇帝の手に落ちるのに比例して、漆黒の爪とレンゴクは権力財力武力の三大パワーを拡大させた。中心街を肩で風切って横断するなんてこともやった。他の組のシマもお構いなしだ。もちろん、挨拶などしない。


外部から力を得て拡大するのは、当然ながら依存するということを意味する。

1度依存したら、相手はそこから抜け出せないようにあの手この手でハメる。

結果、相手の言いなりになるしかなくなる。

人類の歴史でも、依存関係成立後にそこから抜け出せた例はほぼ無い。

無論、漆黒の爪とレンゴクも同じ途を辿る。

漆黒の爪の急激な拡大に反応し、同じ勇者評議会の下部組織の1つが妨害に出る。

妨害が抗争に発展したのは、漆黒の爪やレンゴクや下部組織のせいでは無い。

そうなるよう仕組まれたのだから。

抗争になれば、勇者評議会も黙っていない。

手打ちが不可能ならば、数百といるチート能力者が鎮圧にかかる。

当然だが、死霊皇帝は手打ちの芽を潰す。

対立している下部組織の長を、ボット化した漆黒の爪の組員を使って暗殺したのだ。

しかも、ボットはすぐに超次元に召喚して処分した。そいつがどこにいったのか、この世界の人類には絶対に分からない。

抗争中ではあるが、まだ本格的な武力衝突には到っていなかった。なので対立組織は暗殺犯の引渡しを要求した。

しかし、レンゴクにしても誰が殺ったのかは分かったが、そいつの行方は不明だった。取引しようが無い。

結局これも抗争継続&激化の要因となった。

対立組織は勇者評議会に漆黒の爪の非道を訴える。

勇者評議会は全会一致で漆黒の爪の解体を決議した。レンゴクから大量のチケットを上納されている一部の勇者らも、この流れでは庇い様が無かった。


勇者評議会は当初5人の勇者を派遣し、降伏勧告を行う。

漆黒の爪とレンゴクは都市からの逃亡準備に入っていたが、レンゴク始め大半が降伏に傾く。全部差し出せばそう悪いことにならないだろうと思ったのだ。

しかし、甘い。組織の秩序を破った者が持つモノは全て奪うし、その上で過剰な見せしめをしなければ組織も社会も成り立たない。第二第三の漆黒の爪を出すわけにはいかないのだから。


そこで、レンゴクらの与り知らぬうちに謎のチカラで『チート封じ』を展開され、5人の勇者は虐殺された。

勇者たちの首と性器が切り取られ、どこからか出現した箱に収まり、それが終わると箱が空中を飛んで勇者評議会に送りつけられた。


「ど、どうなってるんだ! これはぜんぜんパーフェクトじゃない!」

と現実に起きる急展開についていけずに泣き叫ぶレンゴク。


神妙な顔のボットは「神の御業です」と妙な格好で上に向けて拝礼する。

「ふ、ふ、ふざけるなぁぁぁあああぁぁあああぁっ!」

と泣きながら激高するレンゴク。

ボットは掴みかかられてもどこ吹く風である。

そして、

「おぉ。レンゴク殿。神よりお言葉ですぞ」

と言い、漆黒の爪の組員たちの前で中空を指さす。

すると、そこに黒と紫の斑模様をした1m大の看板のようなものが出現する。

「さぁ。神のお言葉を拝受なさい」

レンゴクは驚愕したままボットを掴んでいた手を放し、看板を見る。


『最期まで遊んでくれて、ありがとう』

とだけ書かれていた。

膝折れるレンゴク。ざわめく漆黒の爪組員。

その情景を無表情に見ながら、ドロドロと溶けていくボット。

そして看板。

跡には何も残らなかった。


「は、ハハッ、ブハフガハッドファ」

レンゴクの口から漏れる意味不明の音。

死霊皇帝が何かをしたわけではない。彼は依存相手に最悪の状況で捨てられた現状を理解しただけだ。

「ヒヒッ。まるで飽きた玩具を捨てるように、捨てら……れ」


そこまでレンゴクが呟いたところで、彼らは閃光に包まれた。

BARラスボスが入っていたビルと漆黒の爪とレンゴクは、勇者評議会108連の一斉攻撃を受け消滅した。

隠蔽チートと環境閉鎖チートにより、解体作業よりも静粛性を持って粛清は行われたのだ。


この都市の住人でもほとんどはこの騒動を知らない。

勇者評議会の下部組織の1つがいつのまにか消えていたなんてのは、話題にすらならない。

なぜなら、この都市ではそんなことは日常茶飯事なのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ