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道具の調達とアンダーダーク

二人は主要路に出て、しばらく歩き、再度裏通りに入る。

セントラル・シャフトからだいぶ離れた街区であり、ビルなどの建築物も小ぶりでボロい。

それらの1つに『自由立憲党』という看板が掲げられたビルがある。他のビルよりはマシだが、ボロいことに変わりは無い。

自由立憲党のビル前では、頭の悪そうな男が軽機動車の車台らしきモノを組み立てている。

金属パイプと金属網を所定の嵌め込み箇所に合わせて螺子を入れ接着するだけの作業だが、重労働である。

製造は出来ないが、使用法さえ知ってれば既製部品の組み立てはできるし、軽い整備は可能だ。頭の悪そうな男でもできることは、目の前の光景が実証している。

組みあがったものが満足に機能するかどうかは別の話であるが。


秀治は頭の悪そうな男にそのままの速さで歩み寄り、男が気づく前に頭部に胴回転蹴りを当てる。

男の頚椎がグギリッという順当な音を発し、臭い液体を吐きながら男は倒れる。


秀治が頷き、健治が自由立憲党ビルの入口のドアを蹴破る。

「なんだっ! 出入りかぁ!」という大声がビル内に響く。

大声など意に介さず、二人は自由立憲党ビルの中に消える。

すぐに怒声やガラスが割れる音や人が壁に叩きつけられる音、連続する銃声、破壊される器物の音、割れてない窓ガラスに飛び散る大量の血。


3分後。


二人は無傷で蹴破った入口から出てきた。

入った時と違い、拳銃や十数枚のチケット、を持っている。


「なんとかなるもんだな」とチケットを数えながら秀治。

「ま、たった6人しかいなかったし」と手にした拳銃に不満顔の健治。

「チケットは17ってとこだな。銃はどうだ?」

複倉式中型自動拳銃(コミュニスト666)が3挺あったけど、まともに使えるのは1挺。弾は合わせて43発残ってた」

「いけるか?」

「なんとか。だがこいつは暴発が怖いので、すぐに他のが欲しいな」

「オッケ。じゃ、行くかぁ」

秀治の言に健治は頷き、コミュニスト666の複数ある弾倉を抜き、薬室にある1発も抜いて全て腰のポケットに収める。

「暴発、そんなにするのか?」と秀治。

「さっきもしてただろ」と健治。

「あいつらが下手なわけじゃなかったのか。こぇえな。コミュニスト」

「訓練はしていたようだな。だが訓練なんてこの拳銃には無意味だ。安全を求めるなら見つけ次第廃棄するのが正解だ」

「なるほどなぁ」


二人はそのまま支夷奴(シイド)十四号街の端にあるBAR『ラスボス』に向けて歩き始める。


ビル内の壁に掲げられている『自由は死せず』のお題目は、二人が立ち去った後に残された党員らの亡骸が否定していた。

「少なくとも、党員らの自由は死んだね」という完全否定は、自由という概念が個人所有された時点で確定していたのかもしれない。

さておき。

自由が死んだお陰で、二人は最低限の道具とチケットを得ることが出来た。

そういう意味では、党員らの死にも、自由の死にも意義があるのかもしれない。


しばらくして都市略奪者(アンダーダーク)という最底辺の連中が大量にワラワラと下水から上がってきて自由立憲党のビルを略奪し始めた。

二人は食糧や携行に向かないモノには手をつけなかったので、アンダーダークたちは喜々として食糧や家財、軽機動車のパーツや()()を略奪した。

こんな裏通りには都市衛兵は来ない。来ない理由は、自明である。都市衛兵も命は惜しいのだ。

管理されて日常的に恩恵を受けている者ほど、命を惜しがるものである。

エサがもらえるなら、野生の獣も檻の中で寿命を終えるのだから。

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