表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

音楽のような風-17

「たくさんの子供たちに楽しく音楽を教えることができれば、その方が、ピアニストになるよりもいいなって」

「そうか」

「変かな?」

「いや。全然。だけど、どっちにしても、音大に行くことになるんだぞ」

「でもね、お父さん。理科の先生も楽しそうだなって、思うの」

「…そうか」

「草花を育てたり、メダカ飼ったりして、そういうことしながら、…楽しみながら、お父さんがこないだ言ってたようなことが感じられれば、いいな」

「…うん」

「お花は好きだし、お母さんと一緒で。動物やお魚も可愛いなって思うの。お父さんと一緒ね。あたし、…何もできないよ。たまたまピアノを褒められたけど、成績はまぁまぁかもしれないけど、だからってどうってこともないよ。だからって何もできるわけでもないよ。おさむ君?だったかな、彼なんか立派だと思う」

「うん」

「……あたし、このままで、いい…」

「そうか」

「あたし、ピアノ、好きだよ。草木も好き。モグラも好きだし、メダカも好き。いまの学校が好き…。……このままで、いい…。……家にいたいの。……それだけなんだけど……、そんなことだけかも…しれないけど……、それでも、いい?」

「それでいい。萌が自分で決めたことだ、それがいいんだ」

 萌は表情をほころばせながら父を見た。父の視線は温かく、萌にはそれが何よりも嬉しかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ