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音楽のような風-10

そう言いながら萌はこの間のモグラが気になって部屋に足を踏み入れた。水槽に近づくと餌をやっていた山口おさむが振り返った。萌はちょっと微笑んで、

「モグラ…どう?」と訊ねると、おさむはにっこり笑って答えた。

「大丈夫。まだ、元気」

萌が近づいて覗き込むとモグラはちょうど割り箸で与えられたミミズをもそもそと食べているところだった。

「ホント、元気そうね」

「ん」

「このミミズどうしたの?」

「獲ってきたの」

「雨の中?」

「ん」

にんまり微笑むおさむに萌もつられて頬が緩んだ。ふと足元を見ると、おさむの靴もズボンもずぶ濡れだった。驚いて足元を見つめていると、おさむは話し掛けてきた。

「五月先生の子だよね、君」

「うん」

「こないだ、ピアノで賞とったんでしょ」

「…ん」

「今日はクラブないの?」

「……行きたくないの」

「え?どうして?」

「……だって、…みんながうるさいんだもん」

「ふーん。じゃあ、ここにいればいいよ。生物部はあんまり集まらないから、静かだよ、大抵」

「…うん」

 とんちんかんな答えをしてそれ以上何も問い掛けようとせず、モグラに餌を与え続けるおさむに萌は安心した。


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