終わりと始まり
「鈴香さんおはようございまーす! 今日のチェックをしますよー」
「おはようございます。お願いします」
私と同級生の子たちは高校生活をエンジョイしているだろう。
けれど、私は心臓の病気の為中学生までしか生きられないと言われてきた。ここまで生きてこれた事には感謝しているし産んでくれた両親にも感謝している。
記憶の無い頃から病院に通い小学校では保健室で長くを過ごした。クラスメイトは優しかったけれど中にはその事を悪く言う子も沢山いた。
中学生になる前から入院して現在に至る。
でもね、分かってるんだよ。
どんな治療をしても私は長くはもたない。自分の体だもん、分かるよ。
分かっているからこそ今まで自分のスキルを磨いてきた。悔いの残らないように、いつか走り回って大笑いして草の上に寝転んじゃったりして……できるようになったら絶対やるって決めてる事。
「ねぇ、看護師さん……」
「なにかな?」
「お母さんとお父さんが来てくれたら伝えておいて欲しいな……親不孝な娘で、ごめん……」
「!! 鈴香さん!? 鈴香さん、しっかり!! 誰か医師を!!」
「「はいっ」」
そこで私の意識は途切れ、たった17年の生涯を閉じた。
真っ白な空間に私は当てもなくフワフワしていた。体はなく、漂っている感じだ。
「貴女が三浦鈴香さんですね?」
真っ白な服に黄色の羽のはえたお兄さんが現れた。
「あら、違いましたか」
「いやっ、合ってますっ!」
あ、喋れるんだ……
「そう、よかったです。私は貴女に謝らなければならない。貴女のような賢く、適した人物を病に侵してはいけなかった。私の責任なのです」
「はぁ……」
「おっと、失礼致しました。私は第18世界創造神フリールと申します。ちなみにここは世界の狭間」
「第18世界? 創造神?」
「はい、説明しますね。この世には現在23の世界があります。地球は第4世界の片隅にあります。これらの世界は一つ一つ各世界の創造神が作っているんです。そしてそれら全てをまとめる最高神様。貴女はある使命を果たしていただきたい」
「使命?」
「はい。貴女には私が作った第18世界に行ってある人を軌道に乗せてもらいたい」
「ある人……」
「ええ。聖女ライナと言われる人です。彼女は転生者で貴女と同じ地球から来ました。彼女は交流の一環文化や技術の発展を目標に転生しました。この世界には魔法やモンスターなどファンタジーの物が沢山詰まっています。聖女ライナは転生者である為魔力量も多く希少な聖魔法と呼ばれる物まで操れます。聖女ライナは第二王子の婚約者となり第一王子を支えていく立場である筈が欲深く、第一王子の婚約者になろうとしている」
「……」
「本当は異世界から呼んだ人物を2人存在させてはならないと決まっているのですが特例として最高神様に許可をいただき、優秀な貴女を呼ばせていただいた。どうか聖女ライナを元の位置に戻して欲しい」
「いいですよ」
「やっぱり嫌ですよね、ってえぇぇぇぇぇ!?」
「いいですよ。そのかわりと言っては難ですけど健康な体が欲しいです」
「そんなことでいいのです?」
「……私にとってはそんな事じゃないから」
「ふふっ、分かりました。では、転生を開始します。貴女に神の祝福が有らんことを」
視界が光り輝いた後ゆっくりと闇の中に落ちていった。
〈世界の狭間では〉
「気になりますねぇ」
「苦労するだろうなぁ」
「俺の加護もつけていいかな?」
「いいですけど、皆さんお勤めを果たしてください」
「「はーい」」
沢山の神たちが集合し見送っていた……