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焦がれた色よ。  作者: 劣
3/9

彼女の手。


追手から身を隠す為、少し離れた飲食店に入る。

店内でマントは目立つ為、

渋々マントとスカーフを外す。


浅葱あさぎの肌はとても白く、美しい。

店員や客たちが思わず見惚れる程、

透き通っている。

紅珠こうしゅ朱洸しゅこうにも劣らない、

人によっては隣に立つのを嫌がるだろう容姿。


しかし浅葱あさぎは、自らの容姿を嫌う。

普通に嫌うのとは、少し違う。

様々理由はあるが、顔を覆い隠す理由の1つ。


その為か絳樺こうかがマントは脱ぐも、

スカーフを取らない事に触れなかった。

それは浅葱あさぎが逆の立場なら、

聞かれたくないし答えたくないと思う。

無理強いする必要はない。


…ちなみにどうして、飲食店なのかと言えば。


「遠慮せず食べてね。」


「…すみません。」


浅葱あさぎは何日もの間、食べ物を口にしていない。

先程走った事もあり、相当体力を消耗していた。

気付いた絳樺こうかは、飲食店に行き先を決めた。

浅葱あさぎは手持ちがない為断ったが、

奢るからと強引に連れて来られてしまった。


「旅をする中で困っている人が居たら、

依頼として引き受ける代わりに報酬を頂くの。


普段は自給自足で、お金はほぼ使わない。

けど持ってないと、何かと困るから。

本当に必要な時だけ、だけどね。」


「…なるほど。」


目の前の食べ物たちに我慢出来ず、

食べながら話に頷いた。

それにしても、先程の怪異たちが見当たらない。

移動中は居たが、店に入る前に姿を消した。

浅葱あさぎは店内を見渡すが、それらしき姿はない。


「あぁ、2人ならここだよ。」


「ここって…え。」


浅葱あさぎは思わず、口に運ぶ途中の手を止めた。

絳樺こうかは巻いていたスカーフを少し下にずらす。

鎖骨の少し上の方。

其処に描かれていたのは、2匹の九尾狐。

まるで絳樺こうかの“首を絞める“かの様に、

2匹が巻き付く姿があった。


「えっ…と。それは、生まれつきの、?」


「ううん、2人は引き取ったの。

もうずっと前の事だから、詳しく覚えてないけど。


幼い頃から一緒なの。素敵でしょ?

2人とも美人だから、私の自慢なんだ。」


首元の2匹が少し、鮮やかに輝いた様に見えた。

そう話す絳樺こうかも、幸せそうに笑う。

絳樺こうかは、はっきり“2人”と言う。


“怪異”は通常、2匹や2体と表現される。

こうして絳樺こうかの様に、

人間同様に扱う者は少ないのが現状。


怪異をモノとして扱い虐待をする者も居れば、

宝石かの様に集めたがる者も居る。

そういった者たちを“狂欲家きょうよくか“と呼んだ。


狂欲家きょうよくかは怪異の他にも、

“珍しいもの”を好み収集する。

そんな者たちが集う裏市場は、

深刻な社会問題だった。


「2人が出て来る時は消えちゃうんだけどね。

普段はスカーフしないと目立つから。


私は気にしないんだけど、怖がられるの。

2人を悪く言われるのは悲しいから。」


「そう、ですか。」


「あ、ごめん。

見慣れない人からすると、怖いよね。」


浅葱あさぎの呆気に取られている顔を見て、

慌ててスカーフを元に戻した。

浅葱あさぎは驚いただけなのだが、

気分を害してしまったと勘違いしたらしい。

浅葱あさぎはまた、食事する手を再開する。


「どう、でしょう。

他人の事なんて知らないですが、

僕は、綺麗だと思います。


…言いにくかったでしょう。

教えてくれて、ありがとう。」


「…。」


「?顔に何か、ついてますか?」


「あ、ううん!何でもないの、気にしないで。


…あと、ありがとう。綺麗とか、

言われた事なかったから。嬉しくて。」


「思った事を、言っただけです。」


浅葱あさぎ絳樺こうかが、

頬を赤らめた事に気付かなかった。

静かに食事をする音だけが2人の間に響く。

すると絳樺こうかは、ある事を思い出す。


「そう言えば、さっきの話。


あまり大きな声で

話せる内容じゃないと思うけど…。

聞いても良いかな?」


「…さっき?とは、どの話でしょう。」


「…その頰の、傷。」


飲み込もうとしたものが、喉につかえそうになる。

絳樺こうかが指差すのは自身の左頰。

浅葱あさぎの背中に、冷たい汗が流れる。

手が、微かに震えている。


「私が“それ”を確認したのは、屋根に移動する前。


間近ではっきりと見たから、

見間違いの可能性はない。」


絳樺こうか浅葱あさぎを立ち上がらせた時。

まじまじと見ていたのは、頰の擦り傷だった。

絳樺こうかは怪我に気付き、

あとで手当てをしなければくらいにしか思わなかった。


しかしその後、ほんの数分で傷が消えた。

驚かない訳がない。

そこで絳樺こうかの頭に、ある本が浮かぶ。

その後の浅葱あさぎの反応で、確信した。


「ねぇ浅葱あさぎ、もしかして君って…。」


「…。」


「__ごめん。食事中に話す事じゃなかった。」


浅葱あさぎの顔を見て、言う事をやめる。

浅葱あさぎの目には、苦しい感情が滲んでいた。

絳樺こうかは申し訳なさそうな顔をしていた。


そこからはお互い話はせず、静かに食事をとった。

店に入る前に言った通り、

食事は絳樺こうかの奢りだった。


「初対面で助けて貰った上に、ご飯まで…。

その、…ありがとう。」


「ううん、気にしないで。

私が勝手にやっただけだから。」


「…少し、話さないか。」


反応が怖く、俯いたまま絳樺こうかの返事を待つ。

予想外の浅葱あさぎの提案に驚いた

絳樺こうかだったが、笑って承諾した。


落ち着いて話が出来る様にと、

街から少し離れた人の居ない丘のある場所に移動。

到着してすぐ絳樺こうかを包み込む煙が現れ、

紅珠こうしゅ朱洸しゅこうが出て来た。


「はぁ〜やっと絳樺こうかに触れられる。」


「おい紅珠こうしゅ、様を付けろ、様を。


絳樺こうか様。触れる事、どうかお許しください。」


煙が消えたかと思うと、

大きな2人に抱き付かれていた。

2人はまるで浅葱あさぎなど眼中にない。


置いていかれている感は否めなかったが、

先程の首元を見せてくれた時の絳樺こうかの顔。

きっとあれは、家族を想う愛情の色。

それを感じた浅葱あさぎには、何も言えなかった。


「はーい、待って。お話しする為に来たのに、

これじゃ出来ないでしょ?


お願いだから、離れてね。

出来ないなら戻って貰うけど、嫌でしょ?」


「「…御意。」」


渋々、絳樺こうかから離れる紅珠こうしゅ朱洸しゅこう

紅珠こうしゅに至っては、浅葱あさぎを強く睨んだ。

どうやら、嫌われてしまったらしい。

浅葱あさぎはどう反応すればいいか分からず、

苦笑いするばかりだった。


丘は芝生で、座るに丁度良い。

浅葱あさぎ絳樺こうかは向き合って座る。

紅珠こうしゅ朱洸しゅこうは獣姿になり、

絳樺こうかにぴったりと寄り添う様に周りを囲う。


獣姿は狼のように大きい。

力を使えばまだ大きな獣姿になれると、

いつかの本で読んだ事を思い出す浅葱あさぎ

また尻尾も9本ある為、

普通の狐とは明らかに違う生き物だと実感する。


話に興味なく、目をつぶって眠っている様。

そんな2人を絳樺こうかは優しく撫でる。

目線は真っ直ぐ、浅葱あさぎに向けた。


「わざわざ時間を割いて貰って、すみません。」


「いえ、気にしないで。それに、敬語やめない?


私はずっとこんな口調だし、

もっと肩の力を抜いて欲しい。」


「…分かった。」


助けて貰った手前、敬語が抜けなかった。

当の本人に言われてまで、続ける理由もない。

浅葱あさぎは深呼吸をして、息を整える。

こんな風に人と話す事など、いつ振りか。

それに自身の事を話すのは、初めてだった。


「…君は気付いた通り、僕は特殊体質。

それも、別格とされる体質。」


「“不老不死”、かな。」


「そう、だな。

厳密に言えば少し違うが、間違ってはいない。」


「少し違う、と言うと?」


「現に僕は“歳をとっている”。

だから“まだ”、不老じゃない。


それに傷の治りこそ早いけど、痛覚はある。」


「けど、死なないのね。」


「…あぁ、死なない。

たとえ心臓が止まろうと、刃物が刺さろうと。

毒を呑んでも、飛び降りても。


死ぬより先に、傷が消えてしまう。

傷は痛いし、治る時も激痛を伴う。


それでも、僕は死なない。」


どうしてこの体質になったのか、原因は不明。

浅葱あさぎが特殊体質であると

判明したのは幼少期の事。

生まれた当初は、“普通”の子どもだった。


よくつまずいて怪我をする子で、

膝や腕にはよく絆創膏や包帯があった。

当時、怪我の治りが早い事もなかった。

痛みに弱く、泣き虫で知られていた。

ちょっとした事で泣いては、両親を困らせた。


そんなある日、親子3人で山に来ていた時。

前日は雨が降り、地面は少しぬかるんでいた。

だが空はすっかり晴れて、幼かった浅葱あさぎ

両親に遊びに行きたいとせがんだ。


当時の浅葱あさぎは内気で小柄だった為か、

近所の子供たちに馴染めなかった。

そんな浅葱あさぎの遊び相手は、両親だった。


普段なら両親も仕事がある為、

付きっきりで遊んではくれない。

しかしその日は珍しく、時間に余裕があった。


そうして山へ出掛けてしまった親子は、

山を少し登った川辺で遊ぶ事にした。

その川辺には、大きな岩が多い。


父親に手を引かれながら川に入り楽しげな浅葱あさぎ

母親は木の影になっている岩場に座って、

水遊びを楽しむ2人を見ていた。


川は心配していたより増水しておらず、

流れもいつもより緩やかで遊びやすい。

1度休憩しようと、

飲み物を持つ母親のもとまで移動した2人。


先に浅葱あさぎに飲ませてから、

父親も水分補給をする。

母親は持ってきていたタオルを取り出す。

本当に、その一瞬の出来事。


「何を思ったか僕は、

近くにあった大きな岩に登ってしまった。


両親が気付いた時にはもう、

登り切っていたらしい。」


「もしかして、そこから…?」


「前日の雨で、岩場はまだ濡れてた。

父親が慌てて駆け寄ろうとしたけど、

僕は足を滑らせた。


頭から、岩場に落ちたんだ。」


絳樺こうかは、言葉を失っていた。

浅葱あさぎは少し俯いて、芝生を見つめる。

もちろん頭から落ちて、ただでは済まない。

しかもそこは1面岩だらけ。


落ちた事に驚いたせいか、落ちた後の記憶は曖昧。

両親から聞かされた話によると、

見る方が血の気が引く程血が流れたらしい。

両親は慌てて浅葱あさぎに駆け寄り、

必死に名前を呼んだ。


浅葱あさぎからの返事はない。

とにかく出血を止めなければと思った両親は、

持ってきていたタオルを使おうと思い至る。

しかし母親は泣くばかりで、混乱していた。


父親が急いで荷物を取りに行き、戻って来た時。

驚きのあまり、その場に立ち尽くしたそう。

母親もまた、目を疑う光景に声を失う。

横たわっていたはずの息子が、座っている。


岩場を染めていた血液は、蒸発して消えていく。

頭から流れる血液も、

そこから蒸発している様だった。

我にかえった父親は浅葱あさぎに駆け寄る。

浅葱あさぎはただ、泣いていた。


『ごめん、ごめんな。目を離したばかりに、

怖い思いをさせてしまった。』


泣くばかりの浅葱あさぎに、

父親は抱き締める事しか出来なかった。


浅葱あさぎの両親は“その手”の知識に強く、

“特殊体質”に辿り着くのに

時間は掛からなかった。

その日、浅葱あさぎは特殊体質者であると判明。

浅葱あさぎは当時5歳だった。


「2人とも特殊体質について

すごく調べてくれた。


僕はまだ幼くて、

2人の話を聞く事しか出来なかった。」


「どんな、話をしたの?」


「まず“特殊体質”とは。から始まって、

自分の身体について。


僕は“普通じゃない”って事も。」


突然の事に、もちろん両親は戸惑った。

しかし両親が不安になれば、

浅葱あさぎにも伝わってしまう。

両親は決して浅葱あさぎの前で

不安を漏らす事はなかった。


難しい事は出来るだけ噛み砕きながら話をし、

両親の努力のおかげで

浅葱あさぎは自らの体質を負に感じず育つ。


「良い、ご両親なんだね。」


「…うん。2人のおかげで

自分の体質を知る事が出来た。


この体質は言わば“異常”。

だけどちゃんとした知識を学べたから、

偏見を持たずに受け入れられた。」


「異常なんて…」


「いいんだ、本当の事だから。

だって“通常”はみんな、生まれて死んでいく。


けど、僕は死なない。それはこの世界の中で、

“異常であるのは間違い無い。」


それ以上、浅葱あさぎは何も言わなかった。

絳樺こうかはふと、昔読んだ本を思い出す。

知識として知った“不老不死”について。


特殊体質者の中の“不老不死”において、

その者の容姿に特徴があった。

浅葱あさぎの容姿も、例外ではない。


「“不老不死”を持つ者の容姿は、


目を奪われる程美しい__。」


「そう、言われてるね。

だからこうして顔を覆ってる。


そうじゃないにしても僕は、

自分の顔が好きじゃない。」


「そう、だったの。」


絳樺こうかは何も言えず、目線を伏せた。

それから少しの間、沈黙が続く。

優しい風が、2人の間を通り抜けていった。


「…僕を、追って来ていた者たちだけど。

あれは僕の不注意で、その、気付かれてしまって…」


「え、待って。バレたって事?」


“特殊体質”の中でも別格の“不老不死”。

何故別格なのかと言えば、その数の少なさ故。

他の体質に比べて圧倒的に居ないのだ。


その為裏市場でもまず出回らない事から、

欲しがる狂欲家きょうよくかは少なくない。

噂に過ぎないが、他とは桁違いの金が動くという。


裏市場に身を置く者の下の方は皆、

金銭に困っている者で溢れかえっている。

何故なら1人“特殊体質者”を連れて来ることが出来れば、

考えられない程の報酬が与えられる。


裏市場を仕切る組織が存在するらしいが、

そいつらを通しても浴びるほどの金が手に入る。

一応裏市場の中にもルールが存在する。

それは取引を行う場合、必ず“組織”を通して行う事。


裏市場自体が法外なのに対してルールなどと

よく言ったものだが、破ればどんな目に遭うか

分かったものではないらしい。


しかし狂欲家きょうよくかの中には、

そんな事など気にも留めない者が居る。

自らの欲求を満たす為なら、手段は選ばない。

応えた者には余るほどの報酬を。

自身は安全な場所から見ているだけ。


そんな組織や狂欲家きょうよくかから

"仕事"という形で特殊体質者を捕らえ、

報酬を得る者たちの事を“ヒミズ”と呼んだ。


ヒミズには貧しい者が多いと言ったが、

もちろんそんな者ばかりではない。

ヒミズを、生業とする者が居る。

生業とする者のほとんどは

"特殊能力保持者"であると言われている。


ここでそうだと確定出来ないのは、

誰も真相を知らないから。

裏市場自体が、不確かで曖昧な存在。

どれが真実で嘘かなんて、誰も知らない。


特殊能力保持者。

例を挙げると炎や水を自在に手や口から

出現させ操る者や、

物に直接触らなくとも操る事が出来る者。


能力の種類は未知数とされており、

どれだけの数の能力があるのかは不明。

“人外な力”を持つ者たちを、そう呼んだ。


「待って、どうしてその人たちは

そんな事を生業とするの?


すごい力を持ってるなら他にもっと…」


「それは…」


「特殊能力保持者たちもまた、

沢山の好奇の目に触れてきた。


中には保持者でない人と同じ容姿の方から、

容姿から保持者であると判別出来る方も居る。


腕が獣のそれだったり、尻尾が生えていたり。

その方々は特に、容姿で苦しんできたはずです。」


眠っていると思われた朱洸しゅこうが口を開く。

ゆっくりと目を開けると、鋭く光る。


「そんな者たちが、コンプレックスを感じず。

思う存分力を発揮出来る場所があるのなら。


迷う事はないでしょう。」


「…その通り。狂欲家きょうよくかの中には

保持者をもコレクションしたがる奴も居るが…。

保持者は一般人よりはるかに強い。


それが特殊能力保持者が

コレクションされない理由だ。」


特殊能力保持者からしても、

特殊体質者を捕らえるのと

特殊能力保持者を捕らえるのでは話が変わってくる。


同じ仕事でも特殊体質者の方がずっと、

安全に報酬が手に入る。全く居ない訳ではないのだが、

同志狩りは極めて珍しい。


「弱き者は狩られる。

昔から揺るぐ事ない、食物連鎖です。」


「そんなの、あんまりじゃ…」


「どう思ったって、現実は変わらない。

現に僕はこんな生活をしてる。


君が思っている以上に、

世界は残酷なもので溢れてるんだよ。」


君には、分からないだろうけど。

その言葉を、浅葱あさぎは飲み込む。

それは朱洸しゅこうの目が強く光ったから。

_それ以上を言う事は許さない。

声にこそしなかったが、浅葱あさぎを強く牽制した。


「…他にもたくさん、そんな人たちが居るの?」


「あぁ、会った事こそないけど…。

存在するのは確かだよ。」


「…どうにか、出来ないのかな。

だってあまりにも、理不尽で、」


「…。」


浅葱あさぎは、何も思わなかった。

浅葱あさぎ自身も何度も思い、願ってきた。

どうか安心して暮らせる日が来る事を、

心置きなく笑える日々を。


「変わらない、何も。」


浅葱あさぎの目の奥に、悲しげな色が広がる。

絳樺こうかは勢いよく立ち上がった。

周りで寝ていた紅珠こうしゅ珠洸しゅこうは驚き、

慌てて身体を起こす。


「ねぇ、浅葱あさぎ。私と一緒に来ない?」


「…は?」


「私ね、“ある目的”があって旅をしてるの。

私はその目的を必ず、果たさないといけない。


浅葱あさぎはこの先、

見えないものに怯えながら生き続けるの?」


「そ、それは…。」


「聞いて浅葱あさぎ。」


浅葱あさぎが顔を上げると、

真っ直ぐに笑う絳樺こうかが手を伸ばしている。

優しい風が、眩しいワインレッドを揺らす。


「私と一緒に、世界を変えよう。」


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