お土産
コンテナに交易用の品などを詰めていたらいつの間にか昼を回っていました。
とりあえず一旦領主館に向かって食材と酒を卸してから、夕方までの間、町を散策します。
町をぶらつきながら空き店舗が無いかと物色をしていると正面に残念な人が買い物をしています。
「土田、お前その格好でよく町を歩けるな・・・」
「ああ、武内か、なぜだ?この格好の何がおかしいんだ?」
そう言って土田は不思議そうな顔をしていますが、明らかにおかしい気がします。
「お前、どこのコスプレ会場から転移に巻き込まれたんだ?ていうか何で真っ赤なシ〇ア専用ザ〇型の鎧のようなものを着てるんだよ」
「これも最初ネレースに頼んで貰ったんだよ、サ〇ビー型の鎧もあるんだぞ!!」
そう言って良いだろう!と言わんばかりに胸をはってドヤ顔をしています。
「いや、とりあえずツッコミどころが沢山あるんだが、とりあえず他国の使節団に属する人間が町をフラフラ歩いている理由は何だ?」
「それはとりあえず今日一日は自由時間だとの事だから夕方まで町を散策してたんだ、領主の許可も取っているぞ」
どうやらグランバルさん公認で町に解き放たれたようですが、なぜこの格好をチョイスしたのか理解に苦しみます。
「とりあえずもう何も言わんが取り合えず土産があるから土田のアイテムBOXの容量とあとどのくらいの量が入るか教えてくれ」
「土産か?何を土産にくれるんだ?」
「とりあえず木刀とキーホルダーとペナントだ」
そう言うと土田がなんかジト目でこちらを見ています。
うん、土田のくせに・・・・。
「お前、土産に木刀とキーホルダーとペナントっておかしいだろ、いや確かにお土産物の定番ではあるが、異世界で渡す土産じゃないだろ」
「土田のくせにまともな回答だな・・・。まあ実際は酒や食べ物、石鹸やシャンプー・リンスなどの日用品だ、要らないならまあいいんだが、とりあえずバイルエ王国に居る日本人全員に行き渡るかは分からんが適当に分配してやってくれ」
「ほんとか?アイテムBOXなら無限に入るから心配しなくていいぞ。」
そう言うと土田は満面の笑みを浮かべています。
「無限に入るなら木で出来たコンテナに入っているからコンテナごと持って帰ってくれ」
「コンテナに入れて準備までしていてくれたのか、何から何まで・・・。ホントお前いい奴だな」
「まあとりあえず、コンテナを出せる広い場所に今から行くか、それとも晩餐の前後辺りに渡すか?」
「俺は特に意味もなく町をぶらついているだけだから今からでもいいぞ」
「それなら取り合えず日本人の宿舎に行ってその庭でコンテナだすから宿舎に行こうか」
そう言いながら相談所の月山部長に一声かけてから宿舎に向かいます。
「すいません月山部長まで付き合わせてしまって」
「いや、構わんよ、宿舎の中を案内するなら私が必要だろ、それに土田君も私たちの生活が気になるだろうしな」
そう言って月山部長が先導してくれて宿舎の見学をした後に、昨日用意していた木のコンテナを庭に出します。
「この木のコンテナ丸々持って帰っていいのか?」
「そうだな、とりあえず土産物を入れる用に用意したんだから構わないぞ、中身見ていくか?」
「そうだな、とりあえず見せてくれると助かる」
少し驚いた様子の土田にコンテナの中を見せるとかなり興奮しながら目を輝かせています。
「ほんとにこれを持って帰っていいのか?」
「いいぞ、まあ土田だから言うけど、このコンテナにある物資はそこそこ在庫があるから問題ないんだ。それにバイルエ王国にいる日本人も望みの品が無い異世界でストレスも溜まってるだろ」
「確かに皆口には出さないがストレスは溜まっている感じだな、まあバイルエ王国側がかなり優遇してくれるからこれ以上わがままを言うのは申し訳ないって感じだが・・・やはりどうしても不満はな・・・」
「まあこれとかは交易が開始されればバイルエ王国にも流れるから少しは土田達にも回って来るだろう」
「そうなったら助かるな、それと出来れば風呂に使う魔道具の作り方を教えて欲しいんだが」
「いや、プレモーネにある風呂は確かに魔道具を使っているけど、五右衛門風呂とか薪で加熱する風呂とかなら作れるだろう」
「そうなんだが、取り合えず五右衛門風呂的な物はあるんだが、ここみたいな大浴場が無いんだ、だから、まあ、なんだ、・・・・・できればだがな・・・・・」
「歯切れが悪いな、魔道具が欲しいのか?」
「そうなんだが魔道具となると手持ちの金がな・・・」
「レベル100超えるくらいだから魔物倒してその素材や魔石を売った金とかないのか?」
「いや、まあ最初はあったんだが、その、まあ転移して来た人の当座の生活費として渡してしまってあまり残ってないんだ」
どうやら土田は相当のお人よしのようです。
「因みにバイルエ王国に居る日本人で戦闘、ていうか魔物を討伐して稼いでいる人いないのか?」
「いるには居るが少数だな。後は王国が雇用してくれてはいるが・・・」
「そうか、じゃあ明日の朝までに風呂用の魔道具を作っておいてやるから持って帰れ、とりあえず迎賓館に届けてやるから」
「本当か?だがさっきも言ったが金はないぞ?」
「まあそこは出世払いで今回はツケにしとくよ」
そう言って丁度宿舎に居た滝山さんに土田の案内を頼んで一旦家に戻ります。
滝山さんはえ~って言ってましたが、バーベキューコンロ一台あげると言ったら快く引き受けてくれました。
うん、土田もちょろいが滝山さんもちょろいな・・・。
そう思いながら一旦家に戻り風呂用の魔道具を2個制作します。
とりあえず男風呂と女風呂を分けないと流石にかわいそうなので両方作って渡す予定です。
まあ物を与えれば与えるほどドグレニム領側の方がいいと日本人が言い出すでしょうし、それを阻止する為にバイルエ王国は日本の品を仕入れないといけない、こちらにとってはいいことづくめです。
そして夕方までは魔道具作りに時間を費やし、領主館で開かれる晩餐に向かいます。
うん、明日の朝までに作るって言ったけどもう出来ちゃったんだが、簡単に作れると思われるとありがたみが失われるから明日の朝に渡そう・・。
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