自活計画
95日目
昨晩は晩餐の後、グランバルさんや主だった人達が集めた情報を纏めていたらかなり遅くなりましたが、その割にはバイルエ王国の狙いとか思惑とかは分かりませんでした。
まあ昨日の晩餐でそれがわかれば苦労もしないでしょうし、それで狙いがばれるような国なら大した脅威でもないんですが・・・・。
さて、昨晩のプレモーネを交易の中心とする為には現在のプレモーネの町では小さすぎるとの事で一致し拡張をする方針に決まりましたが、拡張は自分に丸投げという結論でになりました。
うん、一昨日作った城壁を分解して再度アイテムBOXに収納をしてから再度石材集めに行かないと・・・。
とりあえず現在の採石場の石材か枯渇しそうだと伝えたらその奥にも採石に適した場所があるそうで、そこまでの道作りもセットで付いてきました。
仕事を押し付けてくるくせに、そのくせ使節団が居る間は町に居ていつ呼び出されてもいいようにしろとは・・・。
町の拡張が終わったら新しく拡張した土地の大通り沿いに大きな土地2か所ぐらいと、別の場所に自宅用の広い土地を屋敷付きで頂かないと割にありません。
うん、今のうちに職人さんに設計図を作ってもらって、拡張前にグランバルさんに屋敷の建築費用と土地の約束を取り付けよう。
とはいえ使節団が帰ってくれないと町から出れませんのでとりあえず月山部長の所に行って現在プレモーネに居る日本人の元の職業などを聞きこんで何かその人に合った事をさせようと思います。
そう思いながら相談所を訪ねると、滝山さんが月山部長に何か頼み込んでいます。
「おはようございます。滝山さんどうしたんですか?」
「ああ武内さん、武内さんからも月山部長に言ってくださいよ」
「何を言うんですか?」
「いや、キャンプに行っても大丈夫だって事をですよ」
「あ~~、キャンプですか?でも一人だと夜の見張りが居ないからレベルが高くても寝込みを襲われる可能性があって危ないですよ」
「ほら見ろ、滝山君、いくらレベルが高くても危ないって武内君も言っているじゃないか」
「ですから森の奥までは行きませんし、テントの周りには鳴子を張って魔物が近づいたら分かるようにしますから大丈夫ですよ」
「鳴子か~確かに有効ですね、それなら良さそうですけど、キャンプだったら、冒険者志望の痛い人達と一緒に狩りに行けばよくないですか?彼らも毎回日帰りみたいですからアウトドアの知識も学べるし、今後役に立つから喜んで付いてくると思いますよ?」
「武内君、君はどっちの味方なんだ?」
「え~~と、どちらの味方でもないですね、それに冒険者志望組にアウトドアの基礎知識を覚えさせるには滝山さん程の適任は居ませんし」
「まあ確かに、それはそうだが・・」
「むしろ、好都合ですよ。冒険者志望組は日帰りばかりで数日森で過ごしたがってますからそのうち何の知識もなく泊まりで森にで出かけますよ?」
「じゃあ滝山君、冒険者志望組と一緒に行くなら反対はしないから一人では行かないと約束をしてくれ」
「分かりました、まあキャンプ仲間が増えるのは良い事なので、冒険者志望組にキャンプの良さを骨の髄まで教え込みます」
そう言って滝山さんはやる気満々で相談所を出ていきます。
うん、骨の髄までって、反対にキャンプやアウトドアにトラウマが出来るんじゃ・・・・・。
そう思いながら滝山さんを見送り月山部長に本題の話をします。
「今日来た理由なんですけど、プレモーネに居る日本人の転移前の職業とか特技を聞き込みに来たんですよ」
「転移前の職業や特技?」
「はい、例えば料理人だったとかですね、そう言う人たちは、こちらでバックアップして店を開店させたり、居酒屋とかで勤務していれば、それなりに料理が出来る人とセットで飲み屋開店させたりできるじゃないですか」
「まあ確かにな、店の開店資金は以前話していた投資の資金を使うのか?」
「そうですね、あとは後払いでその職場に必要そうな家電製品を魔道具化して販売します。まあリースでもいいですし」
「家電製品をか、そうですね、因みに月山部長のマッサージチェアも魔道具化して動くように出来ますよ」
「それは本当か?そうなら是非魔道具化をして欲しいんだが」
「それは構いませよ。まあそれは後で宿舎に行って作業しましょう」
そう言ってマッサージチェアの話は一旦置いておいて、元の話に戻します。
「飲食関係、個人的にはバーテンダーをしていた人が居て欲しいんですが、その他に横山さんみたいに服を作ったりする人やそういう趣味の人、あと以前お願いしてた農業機械を扱える人なんかは、農業機械を使って各地の開墾や収穫などをして食料自給率を上げる仕事もあります。そろそろ本格的に動くべきでしょう」
「確かに、ほとんどがプレモーネに慣れてきているからこそやるなら今か」
「はい、それにプレモーネの拡張計画に紛れてしれっと土地を確保すれば後は建物を立てて商売を始めるだけですから」
「土地の話はグランバルさんに相談して、あとは日本人の人達へのヒアリングだな」
「そうですね、土地に関しては自分は拡張したんだからそれなりにいい土地をと強気で望んでいいと思いますし、新しく拡張したところに移転する店もあるでしょうからそこに店を出すのも手ですね」
「ただやはり手に職がない人間は仕事にあぶれるぞ?」
「そこは、ウエーターや経理、など日本人が仕事を始めればそこで働く人も出て来るでしょう。あとはそこで学んで自分で商売を始めるなりも出来ますし」
「そうすればかなりの日本人が働けるか」
「はい、それに自分が製糸工場や機織り工房、それに輸出用に日本の品を卸売りする店を出しますから、そこで日本人を雇えばかなりの人数が働けると思います」
「だが、日本人に糸を紡いだり、機織りとかしろと言っても出来るか?」
「そこは管理の仕事をしてもらい、実務は現地の人を雇います。それなら日本人も自分達は優遇されてると思って不満も少ないでしょう」
「確かに、それなら何とかなりそうだな。じゃあとりあえず私は日本人リストを職種別にまとめて、飲食、服飾関係からヒアリングをしておこう」
「お願いします。あと料理人はグランバルさんからの急な依頼、来賓とかですね、そう言う場合に臨時で招集がかかる事を伝えといてください。グランバルさんとの交渉材料になりますから」
「わかった、その旨も伝えたうえでヒアリングをしよう」
「ありがとうございます」
そう言って冷めたお茶を飲みながら雑談をします。
「そう言えば、この世界の通貨って統一されてますけど、どこが発行してるんですかね?」
「それについては自分も疑問に思ってグランバルさんに聞いたことがあるが、オダ帝国と言う国が、金を買取り貨幣を発行しているようだな」
「オダ帝国?」
「そうだ、約4百3〜40年前に出来た国らしいがそこが中心になって貨幣を統一したそうだ」
「貨幣統一なんて思いついてもそう簡単に出来ないでしょうによく出来ましたね」
「それがな、オダ帝国の旗が木瓜紋なんだ」
「木瓜紋?それって自分の記憶が正しければ有名な織田家ですか?」
「そうだ、約4百3、40年前日本では何があった?」
「自分達が居たのが2020年ですから1580~1590年代ですよね。本能寺の変?まさか織田信長?」
「私はそう思う、歴史でもよく死体は見つかっていないと言われているだろう、この世界に来たとしたら死体なんか見つかるわけがない」
そう言って月山部長は鼻息も荒く力説をしますが、あながち否定も出来ません。
「仮定として織田信長がこの世界に来てたとしたから、帝国の繁栄?貨幣統一?でも貨幣が統一されたのって江戸時代じゃないんですか?」
「いや、織田、豊臣の時代には民間による金・銀・銭(銅)の発行は織豊政権が引き継いでいたんだよ」
「それなら辻褄が合いますね」
「そうだろう、今オダ帝国は当時程繁栄はしていないが、金を輸入し貨幣を市場に流すことで利益を出しているそうだ」
「一貫して貨幣を発行しているオダ帝国が滅びない限りは今の貨幣が流通し続けるんですね。まあ貨幣が統一されてれば貿易もしやすいですからこちらとしては願ったりなんですが、今度そのオダ帝国についても調べてみますね」
「そうだな、私もオダ帝国には興味がある。まあ私の興味は今のオダ帝国より建国時のオダ帝国だがな」
どうやら月山部長の興味は歴史のようです。
まあ過去に日本史で出てくる人物が異世界に飛ばされていた可能性が高ければ歴史好きもそうでなくても興味も湧きますよね。
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拙い文章・誤字脱字が多く読みづらく申し訳ございません。
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