食料事情と魔道具制作の目途
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41日目
朝、兵舎の食堂に行くと野田課長の騒ぎ声が聞こえてきます。
「なんだこれは!!!こんなマズいもんを食わせるのか!!!」
食堂で食事をしていた兵士達は全員冷たい目で野田課長を見ています。
「野田君、いい加減にしなさい、食事を出して貰えるだけでも感謝しなさい」
そう言って月山部長が野田課長を嗜めます。
「武内さん、朝食っすか?」
そう言って沖田君が声を出して自分たちの席に呼んできます。
「おはようございます。昨晩は寝れましたか?」
そう言って全員の顔を見渡すとあんまり寝心地は良くなくなかったようです。
まあ野営の際に使ってた日本製品とこの世界の寝具を比べたら天と地ほどの差ですからね・・・。
沖田君の話では昨晩、月山部長は領主館から戻ってグランバルさんから聞いた話をしたようです。
当初は自分はネレースから得た賠償金1千万円があるといっていた野田課長ですがこの世界にはこの世界の通貨があり日本円は全く役に立たないと言われてショックを受けていたとの事です。
普通に考えたら異世界に転送する際にもらえる物を全く考えて頼まないからそうなるんですよね。
ただ、毎月費用が掛かるとはいえ転移者用の屋敷が用意されていること、仕事は何とかなるとの事で全員安心をしていたようです。
「今日は昼ぐらいに兵士さんが迎えに来てギルドで身分証を発行してくれるみたいっスよ。」
そう言っている沖田君はいくらか楽しそうに見えます。
恐らくクエストをとか思っているんでしょう。
まあギルドに行って現実をみて呆然とすればいいです。
「武内君は今日は何をするんだ?それに昨日はグランバルさんと遅くまで話していたようだが。」
そう質問をしてきたのは月山部長です。
まあ本当の事を言うと面倒そうなので適当にはぐらかします。
「部長達の捜索に行った時に魔道具の数が不足していたので魔道具の買い足しとかですかね」
そう言うと月山部長は納得します。
「武内!!お前、金を持っているんだったら私たちの生活費とか出すのが普通じゃないか!!」
また野田課長が自分勝手な事を言い出します。
「野田課長、申し訳ありませんが、お金は自分で働いて稼いでください、そこまで皆さんの面倒を見る余裕はありません、幸い仕事を選ばなければいくらでも働き口はありますから。」
そう言うと野田課長は顔を真っ赤にして今にも癇癪を起しそうです。
「まあ武内君の言っていることはもっともだ。日本に帰れるかどうかわからない状況なんだから今はここに生活基盤を確立することが優先だ。」
そう言って月山部長は野田課長をなだめます。
全員食事が終わったようなので昨日グランバルさんに聞いた近隣の国、ウェース聖教国の話をします。
転移させられた日本人が異端者として処刑されたとの事には一様にショックを受けていました。
そして各国とも日本人探しに躍起になり日本人を見つけたら攫うか、厚遇を約束して連れ去っているとの情報も伝えます。
「武内君、それは本当なのか?」
月山部長が代表して質問をしてきます。
「グランバルさんに頼んで近隣の国に転移された人の捜索をしている中での情報ですので間違いないかと思います。」
「しかしなんで、日本人を各国が競うように集めるんだ?」
「それは神託があったからでしょうね」
「神託?それは、グランバルさんか昨日言っていたやつだな?」
「そうです。ウェース聖教国以外の各国とも知識や技術を持つ日本人を集めて国力を高めようとしているんでしょう。まあ向こうが欲する技術や知識が無ければその後どうなるかはわかりませんが。」
「それはどういう事だ?」
月山部長が真剣な表情で問いかけてきます。
「このヌスターロス大陸にはいくつもの国家がありますが何処も豊かではありません。いくら転移者だと言っても無駄に人員を養うより放逐するなり、処分するなりされる可能性が高いという事です。」
「つまり、役に立たないとわかれば殺される可能性が高いという事か・・。」
「そうですね。それに役に立つとわかっても自由はあまり無いでしょう、なんせ重要な金の卵を産むニワトリのような物です。役に立つ間は、幽閉とまではいかなくても軟禁に近い状態でしょうね。」
そう言うと一同は黙り込んでしまいます。
「だったら昨日会ったグランバルさんはどうなんだ?同じ考えではないのか?」
そう言って月山部長は真剣な顔で聞いてきます。
「まあ技術や知識が欲しいのは確かですよね。ただ短い付き合いですが信用は出来ますよ。」
「信用か・・・何をもってそう言い切れるんだ?」
「そうですね・・・囲い込んで技術や知識だけが欲しいなら自活を促したりしないでしょ。むしろ自活をされたら困るのは囲い込んだ側ですから。」
「まあ確かにそうだな・・・自活できれば国や領主に従う必要はない、そういう事か?」
「そういう事ですね。」
そういうと月山部長は少し納得したようです。
「それはそうと昨日、武内君はグランバルさんと何を話していたんだ?」
「あ~、気になりますよね。」
「まあ気になると言えば気になる。できれば隠し事とかはして欲しくないというのが本音だ。」
そう言うと月山部長が真剣な目でこちらを見ます。
「まあ、皆さんには直接関係しない話ですよ。」
そう言って昨日聞いた魔物の活発化によって近隣の国から、そして領内の物流が滞りつつあること、いくつかの村が魔物に襲撃されたこと、今後の日本人捜索と保護についての依頼や食料の輸送を依頼されたことなどを話します。
「そういう話をしていたのか。我々では何も手伝えないな。」
そう言って月山部長をはじめ全員は納得をしたようです。
「街道で魔物を討伐するとかなら皆さんにも出来ますよ。魔物の群れにあたれば一攫千金ですし。」
「冗談はよしてくれ。危険を冒して金を得ようとは思わないよ。」
そう月山部長は笑いながら提案を否定します。まあ妥当な判断でしょうね。
そうしてしばらく雑談をして一行と別れ自分は商家に向かいます。
「ちわ~ッス!みかわやで~す!」
とりあえず一度は言ってみたいフレーズを言ってみたら商家の人が一斉にこちらを見ます。
「これはこれはマサト様、よくお越しくださいました。人員もそろえてお待ちしておりました。それにしても(みかわや)とは屋号を取得されたのですか?」
そう言って声をかけてきたのはこの商家の主の男性です。
「いえ、ただ言ってみただけで屋号とかではありませんよ。」
そう苦笑いをしながら答えます。
うん、このネタ通じないよね、なんせ異世界だし・・・
そう思いながら小麦15tと米5tを納入します。
「そういえば倉庫にはどのくらい収納出来てどのくらいで無くなるんですか?」
ふとした疑問を商家の主に聞いてみます。
「そうですな、大体本日お売りいただいた3倍くらいは保管できます。消費に関しては安く売っていただいているので買い控えもなくなり消費も上がっているのですがそれでも大体3.4月以上は困らない量です。」
「てことは倉庫が溢れてるんじゃない?」
「それに関しましては商隊を組んで近隣の村や町に販売に行っています。まあ現状かなり倉庫がパンパンではありますが・・」
そう言って商家の主は笑います。
「グランバル様より買えるだけ買っておくようにと依頼が来ておりましたので・・」
「それで売りに来るたび買ってくれてたんですね。」
うん、これは少し販売量を減らさないと反対に穀物が値崩れ起こすな・・・
そう思いながら一度3軒ある商家の主たちと会合をしようと思います。
商家3軒を回って倉庫の状況を聞くと何処も同じ感じで倉庫はパンパンのようです。
一応後日3軒の商家の主全員と話し合いをし販売量の調節をすることが決まりました。
転移3回目が終わったら他国に行商にいってお金稼ぎに行かないとな・・・・。
そう思いながら今度は魔道具屋に向かいます。
「こんにちは~。」
そう言って魔法具屋の中に入ります。
「ああ、マサトさんいらっしゃいませ。」
そう言ってハノンさんは作業の手を止めてこちらにやってきます。
「以前買われた魔道具はお役に立ちましたか?」
「ええ、役に立ち過ぎで買い足しに来ました。」
そういって雑談をしながら商品を見ます。
「ハノンさん、ランタンや室内で明かりを確保する魔道具ってどのくらい在庫ありますか?」
「そうですね、魔石を使用しているものでランタンが6個と天井から吊るすタイプのライトが8個程でしょうか。」
「じゃあ全部頂いていいですか?明かりが足りなくて困ってたんですよ。」
「全部ですか?こちらは買って頂いてうれしいのですが・・・」
恐らく一回来ただけの客が上客になるなんて思ってなかったんでしょうね。
戸惑っています。
ハノンさんにお金を払い魔道具を貰いアイテムBOXに収納します。
「ハノンさん、天井に吊るすタイプの魔道具あと2,30個欲しいんですけどどのくらいで作れますか?」
「2,30個ですか?そうですね・・・相当日数がかかりますが・・・」
そう言ってハノンさんは考え込んでしまいます。
数がそろうまで時間がかかるなら作り方教えてもらえば自分で作ってしまえばいいんじゃないかと思います。
「そういえばハノンさん、魔道具作るのには付与術で作成するって言ってましたよね?」
「そうですが、それは工程上付与術が必要でその他にも鍛冶師や木工師が作った素材が必要ですから」
「その素材の加工は自分の錬成術で何とかなりそうですし付与魔術も使えますから」
「錬成術ですか?聞いたことないスキルですが」
「そうですよね、聞いたことないですよね・・・」
そう言って苦笑いをしながら錬成術について話します。
ハノンさん、は最初は猜疑心の籠った目で話を聞いてましたが実際に錬成術を見せたら納得してくれたようです。
「すごいですねマサトさん、初めて聞くスキルなのでどんなものかと思いましたがこれほどとは・・」
そう言ってくれるハノンさんに、アイテムBOXにからオーガの魔石を取り出し魔石への付与を教えてもらいます。
「マサトさんの付与魔術の技術は自分以上ですね。」
そう言って驚きを隠せないハノンさん、ですが少し興奮しているようにも見えます。
「マサトさんの錬成術と付与魔術があれば何でも作れる気になってきます。」
そういってハノンさんが店の奥に行き一枚の設計図を持ってきます。
「これを見てください!!自分が考えた空を飛ぶ魔道具です!!」
そう言って目を輝かせているハノンさんの広げた魔道具の設計図をみるとそこには鳥のような形をした絵が描かれています。
「飛行機みたいなものですね。」
「飛行機?それは何ですか?」
不思議そうな顔で聞くハノンさんに日本から来た転移者で異世界にはこれに近い形で空を飛ぶ乗り物があることを教えます。
だまって話を聞いていたハノンさんですが話し終わると堰を切ったかのように質問が飛び出してきます。
色々と質問を受け一通り説明をしおえたら結構な時間が経っていました。
「マサトさんの居た世界では普通の物でもこの世界では今まで誰も実現できていない夢の乗り物です。これが出来る事で魔道具のさらなる有用性と明るい未来が見えてきます」
うん、なんか変なスイッチが入っちゃった・・・・どうしよう・・。
そう思いながらハノンさんに提案をしてみます。
「ハノンさん、その空飛ぶ魔道具ですが自分の居た世界の飛行機の詳細な設計はわかりませんがアドバイスならできますので、よかっらたそれと交換で魔道具作り教えてもらえませんか?」
そう言ってハノンさんに提案をしてみます。
多分渋るだろうと思っていましたがハノンさんは意外とすんなりokをだします。
「是非、私の知っている技術でよければいくらでも教えますので飛行機という物のアドバイスをお願いします。」
そう言ってハノンさんとの相互技術供与のような物が出来ました。
まあ飛行機作ると移動が楽そうですけど滑走路的な物や飛行する魔物が居た場合の対処などあるんで自分で作って使う気にはなれないのでこの世界初の飛行体験はハノンさんにしてもらいましょう。
と言うより、自分で作った怪しい飛行機に自分の命を乗せて空を飛びたいとは思えません。
そう思いながら明日、また来ることを伝えてお店を後にします。
魔道具制作の詳細な方法がわかれば自分で欲しいときに欲しいものが作れるのでかなり今後の役に立つはずです。
そう思いながら次はギルドに向かいます。
昼を過ぎでもうすぐ日が傾き始める時間ですがギルドに入るとかなりの人が居て建物に入ってきた自分に一斉に目を向けます。
その目は、品定めをする目、敵対心の目、好奇心の目、怯えの目など様々です。
なんかトラブルの予感がするな・・・
そう思いながらギルドの受付に向かって歩き出します。
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拙い文章・誤字脱字が多く読みづらいかと思いますがご拝読頂ければ幸いでございます。
あと、図々しいお願いではございますが、評価頂ければなお幸いでございます。
また、気になる点のご指摘等誠にありがとうございます。
誤字のご指摘ありがとうございます。
出来るだけ1日1話を目指しますが仕事の関係で2日に1話になる日もあるかもしれませんがこれからも頑張って書いていきます!!!




